※ 掲載する平均費用はあくまでユーザー様のご参考のために提示したものであり、施術内容、症状等により、施術費用は変動することが考えられます。必ず各院の治療方針をお確かめの上、ご自身の症例にあった歯医者さんをお選びください。
この記事の目次
1.どっちが複雑?
皆さんは、子どもの歯と大人の歯では、どちらが複雑な形をしていると思いますか?それは当然大人の歯でしょう、と答えたくなると思いますが、実際は逆なのです。
お子さんがいらっしゃる方は、口の中を覗かせてもらってみてください。奥歯の表面がデコボコしているかと思います。
これを小窩裂溝(しょうかれっこう)と呼び、大人の歯の表面にも存在する凹凸なのですが、子どもの場合は特に複雑な形態をしています。このデコボコ(小窩裂溝)に汚れがたまり、子どもの虫歯の原因になりやすいので、虫歯予防のためにそこをふさぐのが「小窩裂溝予防填塞法」こと「シーラント」なのです。
2.複雑なものほど掃除をしにくい?
お部屋の掃除をする上で、平面であったり、丸みがある物の方がお掃除しやすいですよね?これが複雑な形をした木彫りの置物だったりすると、なかなかホコリや汚れを落とすことができません。
全く同じことが、歯にも言えます。
この複雑な形をした子どもの歯を、ピカピカにお掃除するには、それなりのコツと時間が必要になります。
3.それなら磨きやすくしてしまおう
日常生活を送る上で、子どもの歯が複雑であることに、大きな意味は存在しません。複雑であれば、噛み合わせも悪くなりますし、噛んでいくうちに、段々と摩耗していくのです。
けれどもその間に、きちんとした歯磨きを行っていないと、子どもの歯は簡単に虫歯になってしまいます。
それならば、いっそのこと歯をツルツルにしてしまおうというのが、小児歯科における虫歯予防の発想です。
4.歯の溝にプラスチックを流し込むことで表面がツルツルに
そこで使用されるのがシーラントです。
前に書きましたが、「小窩裂溝予防填塞法」=「シーラント」でしたね。漢字の内容がそのものずばりシーラントをあらわしています。子どもの歯のデコボコや溝(小窩裂溝)を、虫歯予防のため(予防)に、デコボコや溝をうずめて(填塞)、虫歯を予防する方法なのです。
具体的には、シーラント治療では、プラスチック製の液体を歯の溝に流し込んで、光を照射することで固めます。すると、複雑に入り組んでいた歯の表面が、平面に近い状態となり、歯磨きをするのがとても簡単になります。子どもというのは、余程でもない限り、歯磨きが嫌いです。ですから、こうしたシーラントを用いることで、歯磨きをしやすい状況を作ってあげることが大切なのです。
5.シーラントの費用はどのくらい?
シーラント治療を受ける場合、保険が適用されるかどうかで、治療費も大きく変わってきます。
保険適用の場合であれば、1本あたり400円程度で治療を受けられます。一方、自費治療の場合は、1本あたり1,000円から2,000円程度となっています。
6.保険と自費の線引きは?
シーラントにおける保険治療と自費治療は、歯の状態によって線引きされます。これはあくまで乳歯や出てきたばかりの大人の歯への虫歯予防が目的のためです。
それに加えて、保険が適用されるには、シーラントを施す歯に初期の虫歯が存在する必要があります。健康保険というのは、病気の治療を対象としているため、全くの予防に対しては、適用されることがほとんどないのです。
このように、シーラントというのは保険が適用されるほど、その効果が広く認められている治療です。特に6歳前後で萌出してくる6歳臼歯はその後一生使わなければいけない歯です。そのため、お子さんのお口の健康を考えたら、できる限りこうした予防処置をとってあげることが大切かと思います。