子どもの虫歯予防に効果はない?正しい電動歯ブラシの使い方

子ども 電動歯ブラシ

子どもの虫歯予防に効果はない?正しい電動歯ブラシの使い方

電動歯ブラシは通常のブラッシングよりも細かく振動するため、歯の汚れをしっかり落としてくれると人気です。ただ、あまり「子どもも電動歯ブラシを使うといい」という話は耳にしませんよね。これには実は理由があり、ブラッシングの基礎的なテクニックが身につかないことから、歯医者さんが積極的におすすめしていないというのです。ここでは、電動歯ブラシの必要性と、もし使うのであればどのように使えばいいのか、その正しい使用法について紹介していきます。

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子ども 電動歯ブラシ

この記事の目次

1.歯医者さんが子どもに電動歯ブラシを勧めないワケ

電動歯ブラシは子どもでは扱いきれない

自分で歯ブラシを動かして一本一本磨くよりも、電動歯ブラシは確かに細かく振動してたくさん動いてくれます。しかし、電動歯ブラシの動きは歯ブラシとは違うため、扱い方も通常の歯ブラシと同じではありません。電動ブラシを使うときは、ブラシ自体を上下させるのではなく、歯茎に45度の角度でそっと当てるようにして磨いていきます。このような扱い方は、小さな子どもが完璧に行うのは難しいでしょう。
また、電動ブラシは自動でガタガタと振動を続けています。その振動を制御するだけの力が、子どもではまだまだ足りません。握力が弱い子どもの場合、しっかりとブラシが握れずに振動に流され、下手をすればお口の中を傷つけてしまう可能性もあります。

歯ブラシの技術が身につかない

歯ブラシを持って自分の手を動かして磨くテクニックは、歯みがきの基本として身につけておくべきものです。しかし、それは電動歯ブラシでは身につきません。子どものうちは通常の歯ブラシで磨くテクニックを練習して、歯みがきの習慣をしっかりと身につけることが大切です。
実際に、いつでも電動歯ブラシだけが使えるわけではありません。幼稚園や学校では、電動歯ブラシを使えないことが多いのです。そのため、基本的な歯ブラシの扱いにも慣れておく必要があります。ブラッシングの技術を身につけることは、日ごろのケアをしっかりと行うためにも大切なものなのです。

電動歯ブラシは、手を上下に動かさなくても勝手に磨いてくれる優れものです。しかし、当てる場所、当てる時間などをきちんと把握していなければ、磨き残しも発生しやすくなります。自分の手で動かさないため、「どこまで磨いたんだろう?」と途中でわからなくなることもあります。また、振動があることから磨いた達成感を感じやすく、全体の歯みがき時間が短くなってしまい、実際にはあまり磨けていないという恐れもあります。

振動や振動音で子どもが怖がる

すでに使用して慣れている子どもならいいですが、これから初めて電動歯ブラシを使う子どもにとっては、振動や振動音は不快なものに感じられてしまうかもしれません。そうなると、歯みがき自体が嫌になることも考えられます。歯みがきはただでさえ嫌がる子どもが多いので、電動歯ブラシを使い始める際には、様子を見ながら徐々に慣れさせていくように意識しましょう。

電動歯ブラシ推奨派も?

歯医者さんの中には、電動歯ブラシをおすすめする人もいます。その理由は、やはり正しく使えば汚れがきれいに落ちるためでしょう。子どもに合った製品を選んで、使い方もきちんと教えれば、電動歯ブラシは虫歯予防に大きな力を発揮します。正しく使えれば、虫歯などのトラブル予防にとても期待できるものなのです。

2.子どもの電動歯ブラシを選ぶときのポイント

子供用の電動歯ブラシを使って

お子さんに電動歯ブラシを選ぶときには、必ず子供用の電動歯ブラシを使うようにしましょう。年齢などが書いてあれば、子どもの年齢に合った製品を選んでください。大人用のものを無理やり使わせてしまうと、ブラシが硬かったり、ヘッドが大きすぎて狭いお口の中に入り切らなかったりと、きれいに磨けない、お口の中を傷つけるなどのデメリットの方が大きくなってしまいます。

コンパクトヘッド・毛先の丸いブラシを

子どものお口には、コンパクトヘッドの電動歯ブラシが適しています。ヘッドの大きさがいくつか選べるものもあるので、そのなかでも小ぶりのブラシを選ぶようにしてください。また、電動歯ブラシは振動で歯茎などに傷をつける可能性もあります。毛先は丸くカットされている物を選び、歯ブラシの硬さはやわらかめ、またはふつうのものを選び、子どものお口の中が傷つかないように配慮しましょう。

お口の中が傷つかない仕様のものを

振動する電動歯ブラシの場合、お口の中にヘッドやネックの部分が不用意に当たってしまうことも少なくありません。ヘッドやネックの部分がラバー仕様になっているなど、お口の中が傷つきにくい構造になっている歯ブラシを選びましょう。

ブラシはこまめに交換を

通常の歯ブラシもそうですが、ブラシの交換はこまめに行いましょう。ヘタったブラシでは、歯みがきしてもきちんと磨けず、歯垢や汚れが落ちません。1か月程度でだめになってしまうものもあるため、まとめ買いで安くなる製品を選ぶなどしてコスト面も考えながら、継続して使いやすい製品を使ってくださいね。

3.電動歯ブラシを子どもに使わせるときのポイント

幼児には難しい?使い始めは小中学生から

電動歯ブラシを使い始めるなら、早くても小学生くらいを目安に与えるようにしてください。電動歯ブラシと手みがきの違いを認識して、正しく使える子どもであれば使わせても大丈夫です。正しく使えなければ、むしろお口のトラブルの方が増えかねません。電動歯ブラシを使っているときは親御さんが近くで見守って、きちんと使えているかをチェックすることも大切です。

電動歯ブラシは軽く当てるだけ

手みがきの歯ブラシは、上下左右に細かく動かしますよね。ですが、電動歯ブラシの場合は、軽く当てるだけというのが正しい使い方です。ゴシゴシと当てずに、歯茎に対して45度の角度でブラシを当てるようにしましょう。電動歯ブラシを使うときは、お口の中に入れてから電源を入れるのもちょっとしたコツです。

歯みがき粉の選び方にも気をつけて

電動歯ブラシを使う際は、歯みがき粉の選び方にも気を配りましょう。
まず、研磨剤入りの歯みがき粉はあまり適切ではありません。というのは、振動で歯を磨く電動歯ブラシに研磨剤が加わると、健康な歯の表面まで傷つけてしまう恐れがあるためです。
また、発泡剤入りの歯みがき粉の場合、電動歯ブラシの振動でお口の中が泡だらけになって、磨きづらくなってしまいます。発泡剤は入っていないか、少なめのものを選びましょう。

動かす順番を決めておく

電動歯ブラシはうっかり磨き残してしまうことが多いのがデメリットです。「上の奥歯から磨いていく」など、磨く順番を決めておくのが無難です。時計などを見ながら行わせて、歯みがき時間全体が短くならないように工夫するのもいいでしょう。

仕上げ磨きは必ず大人が

歯医者さんが電動歯ブラシをおすすめしない理由のひとつとして、親御さんが「電動歯ブラシを使えば仕上げ磨きは必要ないだろう」と判断しがちだということがいわれます。どんなによく汚れが落ちる電動歯ブラシでも、磨き残しの可能性はゼロではありません。親御さんの仕上げ磨きは省略できるものでないということを肝に銘じておきましょう。仕上げ磨きに便利なLEDライトつきの歯ブラシなども販売されているので、有効活用していきましょう。

4.電動歯ブラシは仕上げのみ?使い方いろいろ

手磨きも大切だから

歯みがきをする上で大切なのは、一本一本丁寧に磨くということです。小さいころから電動歯ブラシだけを使ってしまうと、いざ電動歯ブラシがないときに正しい磨き方ができません。学校などでは電動歯ブラシを使えないことも多いので、将来的に困らないためにも、手磨きの練習は必要でしょう。電動歯ブラシに使うなら、仕上げ磨きに使うなどして使い分けると効果的です。

デンタルフロスなど、他の製品も合わせて

一般的なデンタルケアでもおすすめされるデンタルフロス。歯みがき以外の歯間や歯周ポケットの手入れも虫歯予防には重要ですので、必ず行いましょう。電動歯ブラシを使えば他のケアは必要ない!と、たかをくくっていると虫歯になってしまう可能性もあります。併用すれば鬼に金棒です。

手磨きしにくい場所を電動歯ブラシで

上下左右に動かして磨く手磨きの場合、奥歯などの磨きにくい部分に汚れが溜まりやすくなります。そこで使うと便利なのが電動歯ブラシです。なかには、奥歯が磨きやすいようにデザインされたものも販売されています。ヘッドを当てるだけで磨けるので、磨き足りない部分を補完するのに有効です。

5.まとめ

子ども 電動歯ブラシ

電動歯ブラシは確かに汚れを落とすのに効果的です。通常の手磨きではできない動きで磨くので、よりきれいに汚れを落とすことができます。しかし、磨き残しやすかったり、子どもにとっては扱いが難しかったりと、子どものデンタルケアアイテムとしては今ひとつな面も見受けられます。手磨きと電動歯ブラシを一緒に使うなど、上手に使い分けをするようにしてください。また、電動歯ブラシでは磨けていない可能性もあるため、定期的に歯医者さんで虫歯がないかどうかを確かめてもらうことも忘れずにするようにしましょう。

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監修医 飯田尚良先生

飯田歯科医院

院長

【経歴】
1968年 東京歯科大学 卒業
1968年 飯田歯科医院 開院
1971年 University of Southern California School of Dentistry(歯内療法学) 留学
1973年 University of Southern California School of Dentistry(補綴学・歯周病学) 留学
1983年~2009年 東京歯科大学 講師
現在に至る
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