赤ちゃんの口の中は成長とともに日々変化していくため、そのときどきの歯の状態や、赤ちゃんの歯みがきへの慣れ具合に応じた歯ブラシを選ぶことが大切です。ここでは赤ちゃんの歯ブラシ選びの基本や、月齢・年齢別の選び方のポイントなどをご紹介します。赤ちゃんのお口の健康を守り、トラブルなく正しい歯みがきができるよう、環境を整えてあげましょう。
この記事の目次
1.赤ちゃんの歯ブラシ選びの基本
小さなヘッドの歯ブラシ
歯ブラシのヘッドが小さめのものを選びましょう。ブラシの幅は、生えている歯2本分くらいが目安です。赤ちゃんの歯は小さいため、ヘッドが大きすぎるとブラシが歯にしっかりとあたらず、磨き残しの原因となってしまいます。
また、赤ちゃんは口を大きくあけることに慣れていないため、大きなヘッドの歯ブラシを口に入れることが負担になったり、強い異物感を感じることによる歯みがきへの抵抗が強くなってしまいます。
赤ちゃんがにぎりやすく安全な歯ブラシ
自分で歯ブラシを持てる時期になったら、赤ちゃんのにぎりやすさと安全性を重視しましょう。
にぎりやすさの面では、あまりに柄が長いと赤ちゃんが歯ブラシがあつかいにくくなってしまうので、短めの柄のものがおすすめです。また、持ち手が丸くなっているものを選ぶのもよいでしょう。
安全面では、歯ブラシを喉まで入れすぎてしまわないよう、安全ガードがついているものを選びましょう。
ブラシがやわらかい歯ブラシ
しっかり磨けるようにと、毛が固い歯ブラシを選ぶ親御さんもいるかもしれませんが、赤ちゃんの口の中は想像以上にデリケートです。固すぎるブラシで口の中や歯茎を傷つけてしまわないよう、ブラシはやわらかめのものを選びましょう。これなら歯茎に触れても違和感が少ないため、歯みがきに対する不快感を軽減することもできます。
仕上げ磨き用歯ブラシも忘れずに
小さいお子さんの歯みがきは、いくら自分で磨けているように見えても完全には汚れを落としきれていないことが多いので、大人による仕上げ磨きが必要になります。
赤ちゃんの歯みがき準備の際には、仕上げ磨き用の歯ブラシも忘れずに準備しましょう。(仕上げみがき用歯ブラシの選び方は3章でご紹介します)
2.月齢・年齢別の歯ブラシ選び
生後6か月ごろからの歯みがき
一般的に、乳歯は下の前歯から生えてきます。このタイミングで歯みがきを始めましょう。この時期の歯ブラシは、大人が磨いてあげるものと、自分で磨くものとに分かれます。
◆大人が磨いてあげるもの
汚れを落とすことよりも、歯みがきに慣れさせることが目的となります。ガーゼや綿棒などで、歯の表面をやさしくなでることからスタートしましょう。ウェットシートタイプや、お母さんの指にはめて使うサック式のものなども売られています。まだ自分で口をすすげない赤ちゃんにもおすすめです。
◆自分で磨く用の歯ブラシ
赤ちゃんが誤飲したり、喉の奥まで歯ブラシを入れすぎてしまわないよう、安全ストッパーがついているものを選びます。同様の意味合いで、柄は短いものがおすすめです。赤ちゃんが持ちやすいよう、持ち手が丸い形になっているものもあります。
また歯ブラシを噛んでしまう赤ちゃんには、シリコン製のものを選んであげるとよいでしょう。
1歳からの歯みがき
奥歯が生えてくる時期です。本格的に歯を磨く習慣をつけるトレーニングをしていきましょう。
選び方としては、
・ どんな歯にもブラシがあたるよう、ヘッドの角度が工夫されていたり、360度全体がブラシになっているもの
・ 安全ストッパーがついているもの(誤飲や喉つきの防止)
・ 赤ちゃんがにぎりやすい持ち手(小さな手でも疲れず無理なく持てるもの)
・ 毛先がやわらかいブラシ(力加減がわからず口の中や歯茎を傷つけてしまうことを防ぐ)
などをポイントにするとよいでしょう。
2歳〜3歳の歯みがき
イヤイヤ期に突入する時期です。大人による仕上げ磨きも嫌がることが多く、お母さんが一番頭を悩ませる時期かもしれません。なんでも自分でやりたいという意識が強くなるため、お子さんのつたないあつかいでも、上手に磨けるように工夫されている歯ブラシを選びます。
具体的には、ネックやボディが曲がるもので、お子さんがどんな持ち方や磨き方をしてもブラシが歯にあたり(きれいに磨ける)、かつ歯にかかる圧力が分散される(痛くない・歯茎が傷つかない)ようなものがよいでしょう。
またイヤイヤ期の乗り越え方として、子どもが好きなキャラクターの絵がついている歯ブラシを使って、楽しい歯みがきタイムを演出してあげるのもよいでしょう。
4歳〜5歳の歯みがき
乳歯が生えそろう時期です。奥歯までしっかり磨けるような歯ブラシを選びます。奥歯を磨くにあたり、これまでよりも少し長い柄のものにしてもよいでしょう。
また、まだ歯みがきの力加減が適切でない場合もあるので、ブラシはやわらかく毛先に丸みのあるものを選んで、歯茎が傷つくのを防いであげましょう。毛先に丸みといっても、赤ちゃん用の毛先に球体がついているものでは汚れがきれいに落ちないので、毛が丸くカットされているものを選んでください。
3.仕上げ磨き用の歯ブラシ選び
赤ちゃんの状態に合わせたものを
どんなに磨けているように見えても、赤ちゃん自身が行う歯みがきだけでは汚れを十分に落とせていません。そこで必要になるのが、大人による仕上げ磨きです。お父さんお母さんがしっかりとフォローして、虫歯予防に取り組んでいきましょう。
仕上げ磨き用の歯ブラシもさまざま売られていますが、ポイントはブラシの固さと柄の長さ、ヘッドの大きさです。一般的に、仕上げ磨きで使用する歯ブラシの固さは「普通」がよいとされています。しかし、歯や歯茎にブラシがあたることを嫌がる赤ちゃんにはやわらかめのブラシを使ってやさしく、何らかの理由で仕上げ磨き自体を嫌がる赤ちゃんには固めのブラシを使って手早く行うなど、赤ちゃんの状態に応じて、臨機応変に歯ブラシを選びましょう。
仕上げみがき用歯ブラシのポイント
以下は、仕上げ磨きに適しているとされる歯ブラシ選びの一例です。前の項目でもご紹介した通り、赤ちゃんの状態や好みに合わせて、適切なものを選ぶことが大切です。
◆ブラシの固さは「普通」
やわらかすぎると汚れが落ちにくく、逆に固すぎると歯茎を傷つけてしまう恐れがあります。赤ちゃんの好みでやわらかいものや固いものを使用する際には、この点に注意して仕上げ磨きをしてあげるとよいでしょう。
◆柄は少し長め
口の奥まで無理なく歯ブラシを入れることができるよう、長めの柄の歯ブラシを選びましょう。
◆ヘッドは小さめ
赤ちゃんの小さな口の中で自由に歯ブラシを動かし、細部まで磨けるよう、ヘッドは小さめのものを選びましょう。ヘッドに少し角度がついている歯ブラシの方が、仕上げ磨きがしやすいという意見もあります。
4.赤ちゃんの歯みがき粉選び
歯みがき粉を使用するタイミング
赤ちゃんに歯みがき粉を使い始めるタイミングは、上下に6本以上の歯が生えてきたくらいです。しかしそれ以前でも、離乳食などによって歯の汚れが気になるようなら使ってもよいでしょう。使用する量は、1歳ころまでは歯ブラシの先に少しつけるていどで十分です。また、慣れていないと、うまく歯みがき粉を吐きだしたりができないことがあります。赤ちゃんが自分で歯みがきをするときには使用せず、大人による仕上げ磨きのときにだけ使用するという方法もあります。
赤ちゃん用歯みがき粉のポイント
赤ちゃん用の歯みがき粉は、以下のことを考慮して選ぶようにしましょう。
◆赤ちゃんが嫌がらない味
子ども用の歯みがき粉には、辛くないフルーツフレーバーなどが各種売られているので、赤ちゃんの好みにあわせて嫌がらない味のものを選んであげましょう。
◆からだに優しい成分
赤ちゃんが飲みこんでしまったときのことを考え、天然素材を使用しているものや、保存料・合成着色料等を使用していないものを選ぶことも大切です。
◆ジェルタイプ
上手に口をすすげなくても使用できる、泡立たないジェルタイプもおすすめです。泡で歯が見えなくなることがないので、汚れが落ちているかを確認しながら歯みがきをすることができます。仕上げ磨きにも適しています。
5.まとめ
赤ちゃんの歯みがき、お父さんお母さんにとってもドキドキですよね。赤ちゃんの歯をきれいにするのも大切ですが、安全はしっかりと確保しましょう。近年、子どもの歯みがき中の事故は増加しているそうです。特に歯ブラシをくわえたまま転んだり、ソファから転落、ぶつかるといった場合が多いようなので、歯ブラシをくわえたまま移動しないように十分注意するなど、子どもの歯みがきの時にはお父さんやお母さんが付き添ってきちんと見ていてあげることが大切です。
歯は一生付き合っていく大切な存在です。赤ちゃんのころから歯みがきに慣れさせ、歯みがきを好きになってもらうために、また、虫歯治療でつらい思いをさせないためにも、適切なツールを使って、しっかりとした歯みがき習慣を作っていけるとよいですね。