寝たきりの高齢者や機能の衰えた人がリハビリをすることで、食べられる、動けるようになる、そして、歯医者ってそんな事が出来るんだと分かったことが訪問診療を始めるきっかけでした。院内診療と比べると器具がなかったり、照明が悪かったりと条件はよくありませんので限界はあります。
訪問診療の患者様は高齢者であり、寝たきりや車いすで認知症をわずらっていらっしゃる患者様もいます。自分で動けなかったり、口も思い通りに動かせません。診療する内容は院内も訪問もおなじですが、患者様の違いが大きいです。そんな訪問先でどのようにコミュニケーションを取るか、どのようにこちらの想いを伝えるか、患者様に症状をお話していただくか、そこが特に苦労するところです。
訪問先での人間関係づくりはリラックスできる世間話から入ることで信頼関係を築きます。私はそのように考えて実行してきました。難しい話は緊張の為なのか、信頼関係が無いと口をきいてはくれませんが患者様も話好きな方が多いので、世間話をします。話の内容は患者様に合わせますが、その場その場で判断して話題をつくります。それが話をするきっかけになり、コミュニケーションを取ることができます。信頼関係作りのコミュニケーションは非常に重要であると考えています。
やりがいは大きく分けて2種類あります。コミュニケーションがうまく取れて治療ができ、患者様が噛めるようになったり、入れ歯を入れることが出来たりして口腔機能が向上し、喜んでもらえたときはうれしいです。患者様の家庭に入り込んでお互いをさらけ出すことができるまで信頼関係ができればよろこびです。患者様との会話もやりがいの一部になっていますし、私の考え方に賛同していただいた場合は充実感があります。
訪問診療で行っていることですが、高齢者は口角が下がってきて筋肉の働きが低下していますから、筋肉の活性を上げるリハビリを取り入れています。時には首周りや、胸から上の筋肉を増やすリハビリを行います。場合によっては足の筋肉までリハビリをすることもあります。口角の筋肉を活性化することを美容にも取り入れる事を考えています。