砂糖のたっぷり入った甘いお菓子。特に、口の中に残って歯にくっつきやすいチョコレートは虫歯になるリスクが高いとされています。虫歯を気にせずに甘くておいしいチョコレートを食べられたら…。そんな願いを叶えるために考えられたのが「キシリトールチョコ」です。
この記事ではキシリトールチョコの効果や仕組み、効果的な食べ方について詳しく解説いたします。
この記事の目次
1.キシリトールチョコとは?
キシリトールチョコに期待できる効果
砂糖の代わりにキシリトールを使っているのが、キシリトールチョコです。虫歯の原因となる砂糖を使わずに虫歯を防ぐ効果のあるキシリトールを使っているため、「虫歯を予防できるチョコレート」と呼ばれて注目を浴びています。
キシリトールチョコができた背景
キシリトールチョコは、「子供たちの大好きなチョコレートで楽しく虫歯を予防してほしい」という、歯医者さんの強い気持ちから誕生しました。虫歯になりやすいお菓子として代表的なチョコレートですが、その主成分であるカカオは虫歯の原因にはなりません。
それどころか、カカオにはリラックス効果やダイエット効果だけでなく、最近では認知症を予防する可能性があるなどわたしたちの体に良い影響をもたらしてくれると考えられています。そこで、虫歯の原因となる砂糖をキシリトールに代えることで虫歯予防のできるチョコレートを開発したというわけです。
2.キシリトールチョコが虫歯を防ぐ仕組み
虫歯の原因となる砂糖を使っていない
チョコレートにはどのくらいの量の砂糖が含まれているかご存知ですか?たとえば、板チョコ1枚には約27g、コーヒーなどに入れるスティックシュガーでいうと9本ほどの砂糖が含まれているのです。チョコレートを食べると虫歯になりやすいのは、この大量の砂糖のせいなのです。
虫歯菌のひとつであるミュータンス菌は砂糖から強い酸をつくり出します。その酸によって歯が溶かされて虫歯になるのです。キシリトールチョコレートは、虫歯の原因となる砂糖を一切使わずに、キシリトールで代用して作られています。
キシリトールが虫歯菌の成長をおさえる
甘味料の一種であるキシリトールは砂糖のように甘い味がします。しかし、砂糖と違って口の中で酸をつくり出しません。つまり、虫歯の原因にならない甘味料という訳です。それだけでなく、キシリトールには虫歯菌の成長をおさえる働きや健康な歯を保つ効果も期待されています。
ただし、キシリトールが効果を十分に発揮するのは、他に糖分が含まれていない場合です。砂糖が少しでも入っていると、キシリトールチョコとしての効果は期待できないため、キシリトールチョコを選ぶ際には、甘味料にキシリトールが100%使われているか確かめるとよいでしょう。
3.キシリトールチョコの効果的な食べ方
食べるタイミング
キシリトールチョコは基本的にいつ食べてもよいのですが、歯磨き後、あるいは夜寝る前に食べると効果的といわれています。虫歯菌は就寝時に増殖するといわれており、それを防止する働きをもっているのが「キシリトール」です。キシリトールチョコは糖分を使用せずに、キシリトールでつくられているので、寝る前に食べても大丈夫で、虫歯予防につながるといわれています。
1日あたりの目安
目安として、大人の場合は1日3回。1回に1~3粒ほど食べると良いとされています。小さな子供の場合には、1日に1粒で十分です。口の中の環境を整えるためにも、ゆっくりと口の中で転がしながらなめて食べてください。
キシリトールチョコの注意点
キシリトールチョコが「虫歯を予防できるチョコレート」と呼ばれているからといって、これさえ食べていたら虫歯ができないわけではありません。あくまでも「虫歯を防ぐ」ために食べるチョコレートです。「虫歯にならない」「虫歯を治す」ためのチョコレートではないことを理解しておいてください。
ですから、キシリトールチョコを食べて安心していてはいけません。ふだんどおり、歯磨きやうがいをしっかりと行い、歯医者さんで定期的に歯の健康をチェックしてもらいましょう。
4.こんな人におすすめ
小さな子どもやお年寄りに
キシリトールチョコはガムとは違って、口の中でゆっくりとなめて溶かしていきます。ガムをまだ食べられない小さな子供や、ガムをかむことができない入れ歯の人などでも食べられるのも魅力といえるでしょう。
特に、歯の生え始めの時期は虫歯予防に気をつけなければなりません。キシリトールチョコをうまく活用して、虫歯ができにくい口の環境を作ってあげてください。
ダイエット中の方に
キシリトールのカロリーは、砂糖の4分の3ほどです。ダイエット中にチョコレートを食べたい人にもぴったりでしょう。また、カカオにはリラックス作用があります、ストレスのたまりやすいダイエット中にキシリトールチョコを食べることで、心を安らげることができます。
糖尿病の方に
糖尿病の人は、血糖値を安定させるために糖質の摂取を制限する必要があります。そこで、チョコレートを食べたいときには砂糖を使っていないキシリトールチョコを選ぶことをおすすめします。キシリトールは血糖値に深く関係しているインシュリンというホルモンを使わずに体内に吸収される特徴があるのです。
5.キシリトールチョコは自宅でも作れる
キシリトールチョコの材料
・カカオマス:90g
・キシリトール(粉末):160g
・生クリーム:50cc
材料さえあれば、自宅でも手間なく作ることができます。分量はお好みで調整可能です。粉末のキシリトールを販売しているところがあるので、探して作ってみましょう。
キシリトールチョコの作り方
①カカオマスは細かく刻んでおく
②小さめのボールに生クリームを入れて湯せんで温める
③生クリームにキシリトールとカカオマスを加えて溶かす
④型に③を流し入れ、冷蔵庫で冷やして固める
6.まとめ
砂糖を使わないキシリトールチョコは虫歯が気になる人でも安心して口にすることのできるすぐれものです。甘いチョコレートを食べながら歯のケアをできるなんて、子供だけでなく、大人にとっても嬉しい限りですよね。
キシリトールチョコを上手に活用して、虫歯になりにくい口内環境を整えていきましょう。ただし、歯磨きやうがい、定期的に歯医者さんの検診を受けることは忘れないようにしましょう。

監修医
飯田 尚良先生
飯田歯科医院 院長
経歴
1968年 東京歯科大学 卒業
1968年 飯田歯科医院 開院
1971年 University of Southern California School of Dentistry(歯内療法学) 留学
1973年 University of Southern California School of Dentistry(補綴学・歯周病学) 留学
1983年~2009年 東京歯科大学 講師
現在に至る
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