「親知らずの抜歯」と聞くと、痛みに対する不安を感じる方も多いのではないでしょうか。抜歯する際は、麻酔をして痛みに対する対策をしっかり施すため、手術中に大きな痛みを感じることは少ないでしょう。しかし、麻酔が切れてくると痛みを感じる場合があります。
この記事では、親知らず抜歯後の痛みをやわらげる方法と抜歯後の注意点をご紹介します。
この記事の目次
1.親知らず抜歯後に痛みが続く理由とは?
親知らずの抜歯後の痛みは、抜歯した箇所の傷口によるものがほとんどです。
しっかり生えていた歯を抜くのですから、少なからず痛みが出てしまいます。抜歯の手術中は、麻酔をするため痛みは抑えられますが、麻酔が切れたときに傷口が痛みはじめるのです。
麻酔が切れたあとの痛みの感じ方も、体質によって個人差があるものなので、あまり心配しすぎる必要はありません。
2.親知らず抜歯後に痛みが続く期間とは?
抜歯から1~2日で治まることが多いです。
抜歯後2日目に痛みのピークをむかえ、その後痛みは徐々にひいていきます。一方で、長引く人の場合は1週間ほど痛むこともあります。
抜歯後はほとんどの人が痛みを感じるため、痛みを軽減するための適切な対処が必要です。
3.親知らず抜歯後の痛みを緩和する5つの方法
親知らず抜歯後は、早く痛みから解放されたい思う方がほとんどではないでしょうか。
ここでは、すぐに実践できる痛みを緩和する方法を5つ紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
麻酔が切れる前に痛み止め薬を飲む
麻酔は2時間程度で切れるため、間近になると徐々に痛みを感じるようになってきます。痛みが我慢できないときは、歯科医院で処方された痛み止め薬を服用しましょう。痛み止め薬は麻酔が切れる少し前「術後1時間半~2時間後」に飲むと、強い痛みを感じる直前に薬の作用が働き出すため、痛みを感じる前に症状を緩和できます。
また、薬を続けて服用する場合は、飲む間隔は5〜6時間開けるようにしましょう。 鎮痛剤は若干胃を荒らす傾向もあるため、痛みが強くて頻回に服用する時は、胃の弱い人は胃薬を併用したり、少し何か食べてから服用するのがいいかもしれません。
丸めたガーゼを30分ほど噛み続ける
親知らずの抜歯後の痛みを軽減させるには、しっかりと止血することも大切です。
万が一帰宅後に再出血をしてしまった場合は、歯の大きさくらいの丸めた清潔なガーゼを患部にあてて強く噛む「圧迫止血」という方法を行ってみましょう。この際、少なくとも30分は強く噛んだ状態を緩めないようにしましょう。緩めると圧迫が弱まり、うまく止血ができない場合があります。
なお、数日間唾液に血液が混じる程度の出血であれば、血は自然に止まりますので心配はないでしょう。
頬の上から冷やす
親知らずを抜歯した後に痛みや腫れが生じたときは、濡れタオルや貼るタイプの冷却ジェルシートなどで、患部付近の頬を冷やすと症状が緩和されます。これは、患部周辺の血管が収縮し、出血が止まりやすくなるからです。しかし、氷を直接頬にあててしまうと冷やしすぎにより痛みが強くなる可能性があるので注意しましょう。
なお、患部を冷やすのは抜歯後24時間までです。長時間冷やし続けるのはやめましょう。
就寝時は枕を高くする
親知らずを抜歯をしてから完全に止血されるまでは、就寝時の枕をいつもより高くするとよいでしょう。頭部を少し上げることで血液が下に流れ、痛みを緩和することが期待できます。
抜歯後の翌日からは患部を温める
親知らずを抜歯した当日の痛みを軽減させるには、患部を頬の上から冷やすと良いですが、翌日からは蒸しタオルなどを使って患部を温め血行を促すようにすれと、痛みが軽減しやすくなるでしょう。
また、血行が促進することで、傷口に栄養が行きわたりやすくなり傷口が回復しやすくなります。
4.親知らず抜歯後の5つの注意点
親知らず抜歯後は、抜歯部分に刺激を与えないことが大切です。
ここでは、親知らず抜歯後の5つの注意点について詳しく解説します。
血行を促進する行動は避ける
血行を促進するような行動をとると、一度止血された後であっても再出血を招く可能性があります。
体温の上昇は血液循環を促進させるため、長風呂や熱い温度の入浴、アルコール摂取は控えるようにしてください。また、激しい運動は振動によって出血や痛みが増してしまうことがあります。術後2~3日の間は、運動をなるべく控えるよう心がけましょう。
喫煙を控える
喫煙は血管を収縮させる作用があり、血流を悪化させ治癒を傷の治りを妨げる場合があります。
さらに細菌感染のリスクも高まるため、歯科医師の指示にもよりますが、抜歯後はしばらくは喫煙を控えるようにしましょう。
強いすすぎやうがいをしない
親知らずを抜歯した当日は強いすすぎやうがいを控え、食事の後など口の中の汚れが気になる場合は、口内を軽くすすぐ程度にするとよいでしょう。
親知らずを抜歯すると歯茎に穴があきます。そこに血液がたまると血餅(けっぺい)と呼ばれるかたまりができます。血餅が傷口を守ってくれるため傷口が回復していくのですが、頻繁にすすぎやうがいをしてしまうと、せっかくできかけた血餅がはがれてしまい、骨がむきだしになった状態(ドライソケット)になってしまうことがあります。
傷口と反対の歯で食べ、硬いものは避ける
親知らずを抜歯した後にできた傷口にものが触れると、痛みが強くなります。食事の際は食べ物が傷口にあたらないように、抜歯した側とは反対の歯で食べるようにしましょう。
抜歯後に避けたい食べ物として、ナッツ類やせんべいなどの堅いもの、根菜や肉類などたくさん噛む必要があるものが挙げられます。上記のような食べ物は、しばらく控えましょう。
痛みで食欲がないときは、栄養価の高いゼリーやヨーグルト、おかゆや雑炊などの柔らかいものを意識的に食べましょう。
飲み物を飲むときはストローを使わない
ストローで強く吸い込むと、傷口にできかけた血のかたまり(血餅)が吸ったときの勢いで取れてしまったり、再び出血してしまう恐れがあるため注意が必要です。
紙パック飲料などのように、ストローを使わなければいけない飲み物は、あまり強く吸い込まないよう気をつけましょう。
5.まとめ
親知らずを抜歯すると、個人差はありますが、誰にでも多少の痛みがでます。抜歯後は、今回ご紹介した痛みを緩和する方法や注意点を参考にして、安静に過ごしましょう。
しかし、1週間以上経っても強い痛みがある、出血が止まらない、腫れやしびれといった症状がある場合は要注意です。痛みを緩和する方法を試しても痛みが続く場合は、我慢せずに早めに歯科医院を受診しましょう。

監修医
遠藤 三樹夫先生
遠藤歯科クリニック 院長
経歴
1983年大阪大学歯学部 卒業
1983年大阪大学歯科口腔外科第一講座 入局
1985年大阪逓信病院(現 NTT西日本大阪病院)歯科 勤務
1988年遠藤歯科クリニック 開業
現在に至る
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