「親知らずが痛むが抜かないといけないだろうか」「親知らずを抜いておきたいが難しいと言われた」といったことはないでしょうか。1日で親知らずの抜歯をするケースもあれば、入院をして全身麻酔でおこなう場合もあるようです。
この記事では、どのようなケースで入院して抜歯をおこなうのか、治療の流れや費用についても解説しています。親知らずで悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
※ 掲載する平均費用はあくまでユーザー様のご参考のために提示したものであり、施術内容、症状等により、施術費用は変動することが考えられます。必ず各院の治療方針をお確かめの上、ご自身の症例にあった歯医者さんをお選びください。
この記事の目次
1.抜歯した方が良い親知らずの症状と入院しておこなうケース
1-1.親知らずの抜歯が必要な症状
親知らずの治療は、生え方や歯並び、周囲の歯に与える影響なども考慮したうえで、抜歯が必要な場合とそのまま残せるケースがあります。具体的には、歯茎のなかに埋もれた状態の親知らずをはじめ、歯列から外れて生えている場合は抜歯が必要と判断されることがあります。埋もれた親知らずをそのままにしておくと歯茎が炎症を起こしたり骨を吸収したりすることがあるので、気づいた時点で歯科医師に相談しましょう。
そのほかにも大きな虫歯や慢性的な歯周炎がある場合、頬粘膜や歯肉を傷つけるケースなども、患者さんの負担を抑えるために抜歯が検討されやすいです。また矯正治療をおこなう際にも、必要に応じて親知らずの抜歯がおこなわれることもあります。
親知らずを包む膜が袋状に膨らみ腫瘍ができた場合も、悪化すると命にかかわることもあり抜歯の診断につながりやすいです。親知らずの抜歯は骨との癒着の進み具合や傷の治りの早さなども考えると、できる限り若いときにおこなうことが推奨されています。そのほか、妊娠中はホルモンの関係で虫歯や歯周病になりやすく、妊娠・出産時に親知らずに痛みが出てもすぐに抜歯できないケースもあります。そのため、親知らずの生え方や状態によって必要があれば事前に抜いておいた方がいい場合もあります。
1-2.通院と入院で親知らずを抜歯する違い
親知らずの抜歯は、本数や生え方などによって手術にかかる時間や処置内容が変わるため、通院で済む場合と入院が必要なケースに分かれます。1本から2本の親知らずの抜歯をする場合は局所麻酔を用い、その日のうちに帰れることもあります。また4本の親知らずを、1本ずつ、または2本ずつ別の日に抜歯といった形で通院を選択することも可能です。傷口を洗うために抜歯の翌日に受診し、1週間後に抜糸のために再度訪れるという流れです。
入院が必要となるケースは、基本的には静脈内鎮静法または全身麻酔を必要とする場合です。たとえば、親知らずが深い位置に埋まっている場合には、処置に時間がかかることもあるので入院が必要という診断につながることがあります。そのほか、親知らずを4本同時に抜歯する際にも、入院により全身麻酔や静脈内鎮静法を使用しておこなわれます。仕事や育児で多忙なため短期間で集中して治療を終わらせたい方や局所麻酔のみで痛みを抑えることができるのか不安を抱いている方なども、入院を検討しやすいです。
1-3.入院による抜歯を希望する場合
入院して親知らずを抜歯をする場合には、設備の整った医療機関を訪れる必要があります。通常はかかりつけの歯科医師からの紹介状を持って受診し、1日から4日程度の短期入院になります。
2.入院時の具体的な治療内容と費用
2-1.入院しておこなう抜歯の流れ
親知らずの抜歯で入院を希望する場合は、初診時にお口のなかを検査したうえで手術日の相談をします。治療に対して恐怖心がある方や仕事への影響が気になる方は、担当の歯科医師に悩みや要望を伝えておきましょう。
入院日に血液検査や心電図、胸部レントゲンといった術前検査を実施したうえで、通常その日のうちに親知らずの抜歯をおこないます。その後はお口の状態に異常がなければ、翌日以降に退院する流れとなります。退院後は抜糸の際に再度訪れる必要があるほか、お口の腫れや痛みなど気になる場合も迷わずに受診しましょう。
2-2.静脈内鎮静法や全身麻酔による手術
静脈内鎮静法は、自身で呼吸ができる状態で親知らずの抜歯をおこなっているので、意識を保ちながらリラックスして治療に臨みやすいです。静脈内鎮静中は健康状態をモニタリングして、心電図や血圧、酸素飽和度なども確認しています。事前に血液や心電図検査などを済ませ、処置の内容について歯科麻酔科から説明があるのが一般的です。
一方で全身麻酔の場合は、意識のない状態で処置を行います。自発呼吸ができないので、気管内挿管によって人工呼吸をしながら、麻酔薬を注入して麻酔深度を維持します。また、当日は絶食の指示があるので、時間をよく確認して食事について調整しましょう。
2-3.入院による抜歯の費用は?
親知らずの抜歯で入院をする際には健康保険が使用可能なため、費用が気になる方も検討しやすいです。親知らずの抜歯にかかる費用は、1泊2日で2万円から3万円、2泊3日の入院で5万円から7万円程度になります。
入院に必要な費用をあらかじめ確認し、不安の少ない状態で抜歯に臨みやすいよう準備を整えましょう。
3.まとめ
今回は親知らずの抜歯が必要な症状をはじめ、入院する場合の流れや費用などについて紹介してきました。すべての方に入院が必要というわけではないため、まずはかかりつけの歯医者さんに相談して、自身の親知らずの状態を把握することが大切です。入院が必要とわかった場合は、期間にあわせて仕事をはじめとした生活の予定を調整し、親知らずの抜歯に臨みやすいよう準備を整えましょう。
【監修医 貝塚浩二先生のコメント】
近頃、大学病院等で入院して抜歯を行うケースが増加しています。顎骨内に埋伏した親知らず4本を眠っている間に抜歯し、短期間で診療を終了する方法として、全身麻酔下の4本同時抜歯も行っています。また、外来局所麻酔下で抜歯した後、疼痛・出血管理のために入院を希望する患者さんも増えています。患者さんが安心して受診でき,早期に回復できるよう,術後の入院期間についても,患者さんそれぞれの状態に合わせても便宜を図るようにしているみたいです。
【あわせて読みたい】
・親知らずを全身麻酔で抜歯したい!気になる費用や具体的な流れを紹介

監修医
貝塚 浩二先生
コージ歯科 院長
経歴
1980年 岐阜歯科大学 卒業
1980年~ (医)友歯会ユー歯科~ 箱根、横浜、青山、身延の診療所 勤務
1985年 コージ歯科 開業
1996年~2002年 日本大学松戸歯学部生化学教室 研究生
歯学博士号 取得
2014年 昭和大学 客員講師
現在に至る
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