あくびで顎が痛くなったら「顎関節症」かも?症状や原因とは

    あくびをしたときに「カクン」という音がしたり、顎に痛みを感じたりすることはありませんか?これらの症状がある場合、顎関節症の可能性があります。顎関節症の患者は近年急増しており、非常に身近な障害となっています。

    この記事では、顎関節症の症状を正しく理解し、早期治療を受けるための情報を提供します。また、顎関節症のセルフチェックも紹介しますので、ぜひ試してみてください。

    この記事の目次

    1.顎関節症とは

    顎関節症の特徴

    顎を動かす際に関わる顎関節や咀嚼筋、頸部筋に起こる障害を総称して「顎関節症」と呼びます。その症状や原因はさまざまで、個人によって異なります。

    顎関節症は一般的によく見られる病気で、軽い症状であれば特別な治療を受けなくても自然に改善することが多いです。しかし、ひどい痛みがあり日常生活に支障をきたす場合は、早めに治療を受けることをおすすめします。

     

    顎関節症は女性に多い

    顎関節症の患者には女性が多く、男性の2~4倍いるといわれています。これは、女性の顎の筋力が弱く、血行が悪いことが原因と考えられています。

    さらに、女性は男性に比べて痛みに強い傾向があり、顎関節症の症状があっても放置しがちです。そのため、重症化してから病院を受診することが多く、回復までに時間がかかるケースが増えています。

     

    顎関節症になる原因

    顎関節症の原因はいくつかありますが、主なものとして「関節円板」のずれが挙げられます。関節円板は下顎と頭蓋骨をつなぎ、クッションのような役割を果たしています。通常、口を開け閉めする際に関節円板は前後に動き、骨同士がぶつからないようにしています。しかし、関節円板がずれたままだと、口の開閉時にスムーズに動かず、「カクン」という音がしたり、口を開けにくくなることがあります。

    また、ものを噛むときに使う「咀嚼筋」に負荷がかかって痛みが生じることや、関節を包む関節包や靭帯に障害が起きること、変形性関節症が原因となることもあります。

    2.顎関節症の症状

    顎を動かすと痛い

    顎関節症の症状には、口を開け閉めする際や食べ物を噛む際に顎の関節や筋肉が痛むことが挙げられます。これは、顎関節周辺の組織に炎症が起きて神経が過敏になるため、顎を動かすだけで痛みを感じることが原因のひとつと考えられます。

    筋肉の痛みは、筋肉を動かすたびに増していくのが特徴です。また、部分的に鋭い痛みを感じることが多いです。

     

    口が開けにくい

    口を大きく開けたときに、人差し指、中指、薬指の3本を縦に入れられることが正常な状態の目安です。これは4cmほど口を開けられることを意味します。もし口を縦に4cm開けられない場合、顎の関節や筋肉に異常がある可能性があります。例えば、あくびをしたときに痛みが生じる場合も、顎関節症が原因かもしれません。

    急に口を開けられなくなった場合は関節円板のずれが原因であり、徐々に口が開けられなくなった場合は筋肉に問題があると考えられます。

     

    顎を動かすと音がする

    口を大きく開けたり食べ物を噛んだりする際に「カクン」「ガリガリ」といった音がすることも、顎関節症の症状のひとつです。この音は、関節円板がずれてスムーズに動かなくなることで、下顎の前後の動きが妨げられることが原因と考えられます。

    また、下顎頭や関節円板が変形している場合、「シャリシャリ」「グニュ」といった骨がすれ合う音がすることもあります。

    3.早期発見するためのセルフチェック

    顎関節症の症状チェック

    次の症状がみられる場合には顎関節症の可能性が高いでしょう。いくつか当てはまる場合は、できるだけ早く歯医者さんで相談するようにしましょう。

    ・顎を長時間動かすと、顎が疲れてだるい
    ・顎を動かすと痛い
    ・口の開け閉めをすると痛い
    ・口の開け閉めをするときに耳のあたりで音がなる
    ・こめかみや頬のあたりに痛みがある
    ・大きなあくびができなくなった
    ・人差し指、中指、薬指をそろえて縦に口に入れることができない
    ・顎がひっかかる感じがする
    ・顎が動かなくなったことがある
    ・噛み合わせがずれた気がする
    ・頭痛や肩こりがひどくなった

     

    顎関節症を引き起こす生活習慣チェック

    顎関節症は生活習慣やクセが原因となることが多いです。そのため、次にあげる項目に心あたりのある方は顎関節症になりやすいタイプといえるでしょう。顎関節症を予防するため、できることから改善していきましょう。

    ・歯を食いしばる
    ・歯ぎしりをしている
    ・歯をカチカチとならす
    ・うつぶせ寝をしている
    ・ガムを噛む時間が長い
    ・左右どちらかの歯だけで食べ物を噛んでいる
    ・寝つきが悪い
    ・眠りが浅い
    ・神経質な性格をしている
    ・ストレスを感じることが多い

    4.まとめ

    あくびができなくなったり、食事が苦痛になったりするなど、顎に少しでも異常を感じる場合は顎関節症の可能性があります。顎関節症を放置すると、食事ができなくなるほど重症化することがあるため、早めに歯科口腔外科のある歯医者さんで検査を受けることをおすすめします。

    また、生活習慣を見直し、日頃から予防することも大切です。今のところ自覚症状がそれほどない場合でも、ここで紹介した症状がある方は顎関節症の可能性があります。セルフチェックを定期的に行い、早期発見に努めましょう。

    監修医

    飯田 尚良先生

    飯田歯科医院 院長

    経歴

    1968年 東京歯科大学 卒業
    1968年 飯田歯科医院 開院
    1971年 University of Southern California School of Dentistry(歯内療法学) 留学
    1973年 University of Southern California School of Dentistry(補綴学・歯周病学) 留学
    1983年~2009年 東京歯科大学 講師
    現在に至る

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