顎関節症になりやすい寝方とは?予防のためのポイントも紹介

    顎関節症とは、顎に違和感が生じる、痛みがでるなどの症状が起こる疾患です。口が大きく開かない、咀嚼のたびに顎の関節から音が鳴るなど、さまざまな症状を引き起こします。顎関節症は、現代人に多い症状とされ、寝方にその原因が潜んでいる可能性があるといわれています。

    ここでは、顎関節症をセルフケアで防止する方法や病院での治療法などをご紹介していきます。思い当たる症状がある方は、参考にしてください。

    この記事の目次

    1.寝方が顎関節症に関係している?

    寝方は顎関節症に大きく関係している

    寝方は顎関節症に大きく関係しているといわれています。寝ころびながらテレビを見たり、本を読んだりする方は、姿勢が悪くなりがちです。そのことが顎へ負担をかけている場合もあります。その中でも、うつ伏せ寝は特に顎に負担がかかる寝姿勢です。うつ伏せになることが多い方は注意しましょう。

    そのほか、頬杖などをついてうたた寝する癖がある人なども、習慣を見直すようにしましょう。

     

    日頃の癖も顎関節症の原因に

    顎関節症は「日頃の癖」が大きく影響する疾患です。その癖の代表的なものとして、以下のものが挙げられます。

    ・食いしばり
    ・歯ぎしり
    ・左右偏った咀嚼
    ・姿勢
    ・顎に負担のかかる特別な習慣

    歯ぎしりは寝ている間にするため、自覚がない方もいるでしょう。また、姿勢が悪い方や、どちらか一方の歯で噛んでいる方は、それが顎関節症の原因になっている可能性があります。

     

    その他の原因

    他にも、下記が原因として挙げられます。

    ・噛み合わせの悪さ
    ・顎の外傷

    噛み合わせの悪さは咀嚼するときのバランスの乱れにつながるため、顎関節に過度の負担がかかる原因になります。理想はそれぞれの歯にバランスよく力がかかることです。しかし、噛合せが悪いと一部の歯だけに過度な負荷がかかり均等に力が分散されなくなるため、顎関節への負担が大きくなってしまいます。

    他にも、顎に外傷がある場合は、筋肉の緊張や顎自体の歪みを引き起こすことがあります。過去にケガをした経験がないかなど、一度思い返してみましょう。

    2.顎関節症を防ぐための寝方

    質の良い睡眠がとれる環境を整える

    いい姿勢で眠れるよう、ベッドや枕を見なおしてみましょう。横になった状態でテレビを見ながら寝てしまう習慣がある方は、横になれるようなソファを置かない、ベッドルームにテレビを設置しないといった工夫も大切です。デスクで仕事をしたまま寝てしまう方も、その行動が顎関節症の原因になっている可能性があります。

    まずは顎に負担のかからないような寝方で、睡眠をとることからはじめてみてはいかがでしょうか。

     

    ストレス解消を目指す

    睡眠中の歯ぎしりの原因のひとつとして、ストレスが挙げられます。寝ているときはストレスが原因の症状が出やすいといわれているので、ストレス解消を目指すことが症状改善につながるでしょう。

    寝る前にハーブティーを飲む、適度な運動をするなど、リラックスできる習慣を身につけることが大切です。ストレスの根本原因を取り除くことはなかなか難しいことですが、できるだけストレスに触れないような生活を送るといいでしょう。

     

    睡眠時以外の寝姿勢に注意する

    睡眠時以外に寝姿勢を取ることが多い方は、首や頭を傾けてテレビや本を読んだり、手を枕のようにして寝ていることも多いのではないでしょうか。頬杖をつく、脚を組んで寝るなどの癖も、バランスが崩れる原因です。不調を改善するためにも、正しい姿勢をとるように気をつけましょう。

    3.顎関節症を防ぐためのセルフケア

    ストレッチを行う

    ストレッチで緊張緩和するようにしましょう。ちょっとした空き時間に取り入れるだけでも効果がでる場合もあります。こまめに身体の筋肉をほぐし、緊張状態が長く続かないようにケアするように心がけましょう。

    おすすめのストレッチを2つご紹介します。

    顎を動かすストレッチ

    まず、口を軽く開けます。そのままの状態で顎を前後、左右へとゆっくりと動かしていきましょう。慌てたり勢いをつけて行うと、悪化やトラブルを引き起こす原因となります。必ずゆっくり動かすように心がけましょう。

    割り箸を使ったストレッチ

    割り箸を左右の奥歯で同時に噛みます。食いしばるように強く噛むのではなく、やさしい力で噛みましょう。左右両方の奥歯に同じ力をかけるようにすることが大切です。

     

    歯と歯がくっついた状態にならないようにする

    奥歯の上下がいつもくっついているという方は、食いしばる癖がある可能性があります。上下奥歯を適度に離すように心がけ、食いしばらないように意識しましょう。

     

    咀嚼が偏らないようにする

    ご飯を食べるときには、左右両方の歯を使って咀嚼するようにしましょう。まず、自身の噛み方がどちらか一方に偏っていないかをチェックしてみてください。

     

    頬杖をする癖を治す

    頬杖をつく癖がある方は、肘をテーブルに乗せないように気をつけましょう。

    4.顎関節症のセルフチェック方法

    こんな症状があったら要注意

    ここでは、自身が顎関節症かどうか自覚がない方のために、簡単なチェック法をご紹介します。

    ・口を開けたとき、指3本分(人差し指・中指・薬指)が縦に入るか
    もし指が3本すべて入らない場合は顎関節症の可能性があります。専門医に相談しましょう。

    ・口の開閉時に顎の痛みがあるか
    ゆっくりと口を開閉したときに、顎に痛みがないかを確認しましょう。痛みがある場合は顎関節症の可能性があるので、早めに病院を受診しましょう。

    ・口を開けるときにスムーズに開くか
    口を開けるときにスムーズに開かない場合は、顎関節症の可能性があります。ガクッと音がする、まっすぐ開かないなど、口を開けるときの動きで違和感がある場合は、専門医に診てもらいましょう。

    ・固いものを食べるときに痛みや違和感がないか
    固いものを食べるとき、顎に痛みが走ることはありませんか?もし痛みや違和感がある場合は、顎関節症の可能性があります。歯医者さんや歯科口腔外科など、専門医を受診しましょう。

    5.まとめ

    今は自覚症状がなく重度の顎関節症ではないという方も、将来的に重度の顎関節症に発展する可能性はゼロではありません。寝方や生活習慣を見直して予防をするようにしましょう。

    顎の違和感だけでは病院に行きづらいという方もいらっしゃるでしょうが、顎関節症はひどくならないうちに早めに治療することが大切です。痛みがないからと放置していると、顎が開かなくなるような重度の顎関節症に発展する可能性があります。定期的な歯科健診などを利用しながら、ご自身の顎の状態をこまめに確認するようにしましょう。

    監修医

    遠藤 三樹夫先生

    遠藤歯科クリニック 院長

    経歴

    1983年大阪大学歯学部 卒業
    1983年大阪大学歯科口腔外科第一講座 入局
    1985年大阪逓信病院(現 NTT西日本大阪病院)歯科 勤務
    1988年遠藤歯科クリニック 開業
     現在に至る

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