歯のクリーニングをしたら歯茎が痛い!痛みの原因や対応策をご紹介

    歯が痛くなってから歯医者さんに行くのではなく、予防のために定期的に通うことが、歯を健康に保つ秘訣です。 歯医者さんではさまざまなクリーニングを行っていますが、クリーニング中や後に痛みを感じることもあります。この記事では、クリーニングで生じる痛みの種類や原因、痛みが出た時の対処法、そして痛みを軽減するための事前対策について詳しく説明します。

    注意: 掲載されている平均費用は参考用であり、施術内容や症状によって費用が変動することがあります。各クリニックの治療方針を確認し、ご自身の症状に合った歯医者さんを選んでください。

    この記事の目次

    1.歯のクリーニングって痛いの?

    歯の健康状態が良ければ、歯のクリーニングでも痛みを感じにくいものです。しかし、歯石が多く付着していたり、歯茎が腫れているなど、口内の状態が悪いと、クリーニングで痛みを生じるリスクも高くなります。

     

    歯のクリーニング中に痛みが出るケース

    歯茎の腫れがある場合
    細菌の繁殖や歯肉炎(歯茎の炎症)、歯周炎(歯骨まで及ぶ炎症)などが原因で歯茎が腫れている場合、ブラッシングだけでも痛みを感じることがあります。このような状態では、クリーニング時にも痛みが生じることがあります。

    歯茎が後退している場合
    加齢や歯周病などによって歯茎が後退している場合、痛みが生じる可能性があります。歯の根元に近い部分はエナメル質が薄く、神経が刺激を受けやすいためです。

    歯石が深くにある場合
    歯周ポケット(歯と歯茎の隙間部分)の深くに歯石がある場合、クリーニングで取り除く際に痛みを感じることがあります。歯周ポケットが深く、歯石が多いほど痛みが強くなる可能性があります。

    クリーニング器具による痛み
    超音波スケーラー(高速で振動する歯石除去装置)は、振動によって発生する熱を水で冷却しながら歯石を除去する装置です。この装置を使用する際、冷却水がエナメル質の薄い部分や歯根近くに当たると、しみるような痛みを感じることがあります。

     

    歯のクリーニング後の痛み

    知覚過敏のようなしみる痛み
    歯石が強く固着している場合、除去する際に歯の表面のエナメル質も剥がれてしまうことがあります。エナメル質が薄くなると、神経が刺激を受けやすくなり、冷たい飲み物やブラッシングでしみるような痛みを感じることがあります。

    歯と歯茎の境目付近の痛み
    特に歯周ポケットの深くにある歯石を除去した際、一時的に歯茎が炎症を起こすことがあります。その後、歯茎が引き締まり、歯周ポケットが浅くなることで、歯茎に覆われていた部分が露出し、しみるような痛みが生じることがあります。

    2.痛みが出た時の対処法

    歯茎の痛み

    刺激のある飲食を控え安静に
    特に歯周ポケットの内部の歯石を取った場合、一時的に歯茎が炎症を起こした後、徐々に引き締まってきます。歯茎が引き締まるまでは、冷たいものや辛いものなど、刺激の強い飲食物を避けましょう。

    優しいブラッシングを心がける
    歯周ポケットの歯石を取り除いたばかりの歯茎は、引き締まるまでの間、痛みを感じやすい状態です。セルフケアでは優しくブラッシングすることを心がけましょう。また、歯茎が引き締まるまでは、食べかすや汚れが歯周ポケットに入り込みやすい状態です。汚れが蓄積して細菌が繁殖しないように、丁寧にブラッシングしましょう。

    痛み止めを服用する
    歯石を除去した歯茎は、強い炎症を引き起こすこともあります。歯周ポケットが深く、強い痛みを伴う炎症が起こる場合には、抗生剤や痛み止めを処方してもらうこともできます。

    腫れや熱が出たときには歯医者さんに相談を!
    歯のクリーニング時に歯周ポケット内の歯石が十分に取り切れていなかったり、細菌が残っている場合、クリーニング後に歯茎が腫れたり発熱することがあります。このようなときには、すぐに歯医者さんに相談しましょう。

     

    歯がしみる痛み

    再石灰化を促す歯磨き粉を使う
    歯石が固く歯の表面に付着している場合、除去するとエナメル質も剥がれることがあります。そのため、知覚過敏のような痛みを感じることがあります。エナメル質は自然に再石灰化(ミネラル分の再生)によって修復されますが、フッ素ジェルなど再石灰化を促す歯磨き粉を使うことで、回復を早めることができます。

    知覚過敏用の歯磨き粉を使う
    知覚過敏用の歯磨き粉には、硝酸カリウムという成分が含まれています。これには、刺激を神経に伝わりにくくするバリアのような作用があります。しみる痛みが出たときには、このような歯磨き粉を使うことで痛みを軽減することができます。

    3.クリーニングの痛みを軽減するための準備

    歯茎の腫れを治しておく

    歯肉炎や歯周炎などで歯茎に腫れがある場合 歯肉炎や歯周炎などで歯茎が腫れていると、クリーニング時に器具が触れるだけで痛みを感じることがあります。クリーニングを受ける前に、歯茎の腫れがあることを歯医者さんに伝え、クリーニングが可能かどうか相談しましょう。事前に腫れの原因となる疾患を改善しておくことが得策です。

     

    歯石が固まらないうちに取る

    歯医者さんで定期的にクリーニングを受けている方は、強い痛みを感じることが少ないです。長期間放置して固まってしまった歯石は、取り除くのが難しく、痛みを伴う可能性が高くなります。少なくとも3カ月に1回程度の頻度で、歯石が固まらないうちにクリーニングを行うようにしましょう。

     

    麻酔を使って施術する

    歯周ポケットの深くにある歯石を除去する際には、強い痛みを伴うことがあります。そのため、麻酔を使用することもあります。施術中に痛みが強い場合は、麻酔をお願いしましょう。

    4.さまざまな歯のクリーニング法と費用について

    スケーリング

    目的:歯石の除去
    保険適用可:3,000円程度

    スケーリングとは、歯石の除去を主体としたクリーニングです。ハンドスケーラーという先端に小さな刃のついた器具を使って手動で歯石を除去したり、電動の超音波スケーラーを使って除去します。歯石の除去は歯周病治療の一環でもあるため、保険の適用が可能です。

     

    PMTC

    目的:ステインや歯垢の除去
    保険適用外:5,000円~2万円程度

    PMTC(プロフェッショナル・メカニカル・トゥース・クリーニング)は、専用のクリーニング機器を使って行う歯のクリーニングです。主に歯の表面のステイン(着色汚れ)や歯垢の除去、歯の表面の磨き上げを行います。セルフケアでは取り切れない歯垢を除去できるため、虫歯や歯周病の予防にもつながります。ただし、審美目的のため保険が適用されませんが、歯医者さんによっては比較的安価で施術してくれるところもあります。

     

    ジェットクリーニング

    目的:ステインや歯垢の除去
    保険適用外:5,000円~2万円程度

    ジェットクリーニングとは、専用パウダーを混ぜた水を歯の表面に強く吹き付けて行うクリーニング方法です。これにより、歯の表面のステインやタバコのヤニなどをきれいに落とすことができます。歯石の予防にもつながりますが、ジェットクリーニングは治療とはみなされず、保険適用外の施術となります。

    5.まとめ

    長年放置していた歯石がある場合、痛みが出る可能性が高くなります。これは、歯石が強く固着していたり、歯周ポケットの深くにあることが多いためです。クリーニングで痛みを軽減するためには、定期的に歯医者さんでクリーニングを受けることが重要です。

    一度、歯科医院で専門的なクリーニングを行うと、虫歯菌や歯周病菌が減少しますが、完全にゼロになるわけではなく、再び増殖します。この細菌数が元に戻るのは個人差がありますが、一般的には2~3カ月と言われています。

    PMTCやジェットクリーニングは保険適用外ですが、比較的安価で施術してくれる歯医者さんもあります。ぜひ、こうした医院を探して定期的にクリーニングを受けることをおすすめします。

    監修医

    小川 隆介先生

    後楽園デンタルオフィス 院長

    経歴

    2005年 日本歯科大学 卒業
    2005~2006年 東京医科歯科大学摂食機能構築学 医員
    2007~2011年 東京都内歯科医院 副院長
    2011年 後楽園デンタルオフィス 院長就任
    現在に至る

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