歯ぎしりを今すぐ治すことはできないだろうか、とお悩みの方、多いのではないでしょうか。実は、現時点では歯ぎしりのメカニズムはすべて解明されているわけではありません。また、歯ぎしりのパターンにも個人差があるため、万人に当てはまる治療法というのは未だ解明されていないというのが現状です。
しかし、できる限り歯ぎしりを抑え、歯ぎしりによるトラブルを改善することであれば、歯医者さんでの治療や自宅でのセルフケアによって可能といわれています。
この記事では、そうした歯医者さんや自宅でできるおすすめの治療法を紹介します。ぜひ参考にしてください。
「自分が歯ぎしりをしているのか確信がもてない」という方は、歯ぎしりの原因や種類、セルフチェック項目などを詳しく解説した記事がありますので、そちらも参考にしてみてください。
【関連記事】歯ぎしりの原因が知りたい!子どもと大人での違いや病気も紹介
この記事の目次
1.歯医者さんで歯ぎしりを治す3つの方法
歯ぎしりは無意識に行ってしまうため、最中に気付くことはまれですが、わかりやすい症状として以下があります。
・家族に歯ぎしりを指摘された
・歯にひびや欠けがある
・朝起きたとき歯や顎に違和感がある
・冷たいものが歯にしみる
・慢性的な頭痛や肩こり
こういった症状がある方にまずおすすめしたいのが、歯医者さんの受診です。普段、歯ぎしりをしていないと感じている方でも、初診の歯医者さんで「歯ぎしりされていますね」と言われることがあります。
自覚症状がなくても、歯の専門家である歯医者さんが見れば歯の削れ具合などで歯ぎしりをしているかどうかが判断できる場合があります。
心当たりがある方は、一度歯医者さんに相談してみるといいでしょう。
それでは、歯医者さんが行う歯ぎしりの治療方法について解説していきます。
1-1.マウスピースで噛み合わせを調整
歯医者さんで行う歯ぎしりの治療法としてポピュラーなものが、【スプリント療法】と呼ばれるマウスピースを用いた治療法です。これは噛み合わせを調整するために、自分の歯の形に合わせて作ったマウスピースを装着する治療法です。
噛み合わせを調整することによって歯ぎしりの抑制と、顎の関節への負担を軽減することができます。また、一般的なマウスピースのほかにも、スポーツをするときに着用するためのスポーツ専用のマウスピースもあります。
1-2.薬物療法による噛み合わせ治療で歯ぎしりを改善
薬の処方によって、噛み合わせの際に使われる筋肉の緊張を少なくし、できるだけ余分な力が働かないようにしていくという治療法もあります。
ただし、こうした治療で用いられるジアゼパムやメトカルバモールなどの薬には常習性や副作用があるため、長期間の使用はできないという欠点があります。
歯医者さんと相談しながら状態に合わせて処方してもらうことが大切です。
1-3.矯正治療で噛み合わせを治す
噛み合わせが良くないことも過度な歯ぎしりの原因となることがあります。しっかりと噛み合わせを正常な状態に治していくためには矯正治療がおすすめです。
治療が長期に渡ることもありますが、噛み合わせが整うと、歯ぎしりの解消だけでなく肩こりなど全身の不調解消にもつながります。矯正治療に関しては専門的に扱っている矯正歯科も多くありますので、興味のある方は歯医者さんで相談してみてください。
2.自宅でできる!歯ぎしりを改善する3つのセルフケア
歯ぎしりをしてしまう根本的な原因は、ストレスが多くを占めると言われています。それは、ストレスを発散する行為として、身体が無意識に歯ぎしりをしてしまうようになっているからです。つまり、「歯ぎしりの改善=ストレスの発散が重要」ということになります。
歯ぎしりを治すために歯医者さんに行くことをおすすめしましたが、なかには妊娠中の方や子育て中のお母さんなど、外出をすること自体が難しい方もいらっしゃいますよね。そこでおすすめしたいのが、自宅でもできるセルフケアです。
自宅で気がついたときに行うことができるセルフケアなら、すき間時間を利用して歯ぎしりの悩みを改善することができます。
2-1.ストレスの発散
ストレスの原因はさまざまであり、そのすべてを根本から解消するのは難しいですが、軽い運動や日々のストレッチ、読書や趣味の時間など、自分に合ったストレス解消法で軽減することはできます。適度に身体を動かすことであれば、心身どちらの健康にもつながりいいかもしれません。
ただし、飲酒やタバコがストレスのはけ口となっている場合、これらが歯ぎしりの原因になってしまうという説もあるため、注意が必要です。
2-2.起きているときは意識的に歯ぎしりを抑える
日中の覚醒時だけでも、お口のなかの状態に意識を向けておくことで、無意識におこなってしまう歯ぎしりを抑えることができます。特におすすめなのが、上の歯と下の歯を合わせないようにすることです。
口は閉じた状態で、奥歯を噛みしめないよう、できる限り注意しておくことが大切です。噛みしめてしまっていることに気付いたときには、すぐに離すように意識しましょう。
目が覚めている間はお口のなかに注意を向けておくことで、習慣化していた歯ぎしりの解消につながります。
2-3.マッサージで歯ぎしり対策
お口の周りの筋肉が緊張していると歯ぎしりを誘発しやすくなります。特に緊張状態が続くことによって歯を強く噛みしめる傾向があります。
そんなときはお口の周りの筋肉をほぐすようにマッサージをすることで筋肉をリラックスさせることができます。これが歯ぎしりの抑制につながります。
2-4.睡眠時にもできる歯ぎしり対処法
歯ぎしりは睡眠時に行っていることが多く、覚醒時と違って対処することが難しいと思われるかもしれません。しかし、睡眠時の歯ぎしりにも対処法はあります。
大切なのは就寝前の対策です。まず、アルコールは睡眠を浅くする要因となるため、歯ぎしりをしやすい状態を引き起こすといわれています。過度に摂取することは控えましょう。
また、枕の高さ調整も大切です。枕が高すぎると、気道が狭くなり呼吸がしづらくなってしまうからです。低めの枕を選び、顎や首元への負担を軽減しましょう。横向きで寝ることが多い方は、背筋がまっすぐになる高さを意識してみてください。
3.歯ぎしりを放置するとどうなる?
前章でも触れたとおり、歯ぎしりの原因には特にストレスが大きく関わっており、そのほかにも噛み合わせや睡眠の質など、さまざまな要因が考えられます。
もし、原因を解消せず、歯ぎしりを放置した場合、どのような悪影響があるのかを見ていきましょう。
3-1.歯ぎしりが引き起こす悪影響
歯ぎしりでかかる力は自身の体重以上とも言われていて、まず考えられるのが歯や歯茎へのダメージです。歯のすり減りやエナメル質がはがれるなどにより、噛み合わせの機能低下や知覚過敏を引き起こす可能性があります。さらに、歯ぎしりによる負荷が顎にもかかっていれば、顎関節症になってしまうことも…。
また、頭痛や肩こり、背中の痛みや腕のしびれなどのほか、睡眠の質が低下することで睡眠時無呼吸症候群を引き起こすこともあります。
このように、身体の不調へつながることもある歯ぎしり。気になる症状があれば、早い段階で歯科医師に相談するのがいいでしょう。
3-2.子どもが歯ぎしりをしている…大丈夫?
最後に、子どもの歯ぎしりについて解説します。
子どもは、乳歯が生え始めるタイミングに歯ぎしりをすることがあります。これは、歯ぎしりによって歯や顎の位置を調整していたり、顎の筋肉を鍛えていたりするためです。また、歯が生えることで起こるかゆみの解消や、乳歯から永久歯へ入れ替わる際の不快感から歯ぎしりをするケースもありますが、どれも別段問題はなく、成長の過程で生じる自然な行為と言えます。
ただし、歯ぎしりが原因で歯が欠けたり、歯並びが著しく悪くなったりすることもあるため、定期的にチェックしましょう。
また、乳歯や永久歯が生えそろった後も歯ぎしりをしていたり、口内から多く出血したりするような場合は、早めに歯医者さんを受診してください。
4.まとめ
いかがでしたでしょうか。歯ぎしりで悩んでいる方は、可能であれば一度カウンセリングに時間をしっかりと取ってくれる歯医者さんへ相談してみましょう。
自宅でできるセルフケアも併せて、ぜひ参考にしてください。
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監修医
貝塚 浩二先生
コージ歯科 院長
経歴
1980年 岐阜歯科大学 卒業
1980年~ (医)友歯会ユー歯科~ 箱根、横浜、青山、身延の診療所 勤務
1985年 コージ歯科 開業
1996年~2002年 日本大学松戸歯学部生化学教室 研究生
歯学博士号 取得
2014年 昭和大学 客員講師
現在に至る
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