【要約】
いびきには、肥満や飲酒、寝る姿勢、鼻づまり、顎の形態などさまざまな原因があります。生活習慣の見直しが役立つ場合もありますが、睡眠時無呼吸症候群が隠れていることもあります。症状が続く場合は医療機関に相談し、必要に応じて口腔内装置などの治療を検討します。
いびきは、本人はなかなか気づきにくいものです。生活をともにしている人から指摘されて初めて分かる人もいるのではないでしょうか。
ここでは、いびきの原因や対策法について紹介します。いびきの原因によっては、生活習慣の見直しや寝る姿勢の工夫などが役立つ場合があります。一方で、いびきの背景に睡眠時無呼吸症候群が隠れていることもあるため、症状が続く場合は医療機関への相談も検討しましょう。
この記事の目次
1.いびきの対策法

自宅でできるセルフケア
いびきの原因によっては、生活習慣の見直しが対策のひとつになります。
鼻づまりがある場合は原因を確認する
鼻づまりなどによって口呼吸になっている場合は、その原因を確認することが大切です。鼻づまりが続く場合は、耳鼻咽喉科などへの相談を検討しましょう。
部屋の乾燥に気をつける
鼻や喉の乾燥が気になる場合は、室内の湿度を調整するなど、就寝環境を整えましょう。ただし、加湿だけでいびきそのものが改善するとは限りません。
適正体重を目指す
肥満は閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)のリスクや重症度に関係するため、肥満がある場合は、食事や運動などによって適正体重を目指すことが対策のひとつです。ただし、減量だけですべてのOSAが十分に改善するとは限らず、必要に応じてほかの治療と組み合わせます。
横向きで寝る
仰向けになると無呼吸が増える「体位依存性OSA」では、横向きなど仰向け以外の姿勢にすることで、無呼吸が軽減する場合があります。ただし、適した寝姿勢は状態によって異なります。
就寝前の飲酒を控える
飲酒を控えるだけでOSAが十分に改善するとは限りませんが、飲酒は上気道を広げる筋肉を弛緩させ、上気道抵抗を増加させる可能性があります。特にOSAがある方は、就寝前の飲酒を避けることを検討しましょう。
歯科での治療法
閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)と診断された場合には、歯科で口腔内装置を用いた治療を行うことがあります。
日本循環器学会 「閉塞性睡眠時無呼吸に対する口腔内装置に関する診療ガイドライン(装置の作製に関するテクニカルアプレイザル:2020年版)」
https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2023/03/JCS2023_kasai.pdf
口腔内装置には、下顎を前方に移動させることで上気道を広げ、睡眠中の無呼吸や低呼吸を軽減することを目的としたものがあります。日本睡眠歯科学会の診療ガイドラインでも、OSA患者に対する口腔内装置治療が選択肢のひとつとして示されています。
日本睡眠歯科学会 「閉塞性睡眠時無呼吸に対する口腔内装置に関する診療ガイドライン(装置の作製に関するテクニカルアプレイザル:2020年版)」
https://jadsm.jp/iryo/pdf/202001_guideline_pre.pdf
ただし、OSAの重症度や口腔内の状態などによって適した治療は異なります。まず医科で診断を受けたうえで、必要に応じて歯科と連携して治療を進めます。
保険診療で口腔内装置を作製する場合は、睡眠時無呼吸症候群を診断・治療している医科の保険医療機関などから、診療情報提供に基づく口腔内装置治療の依頼等が必要です。
日本睡眠歯科学会 「閉塞性睡眠時無呼吸症に対する口腔内装置に関する診療ガイドライン(2017年改訂版)」
https://jadsm.jp/iryo/guideline_pdf/guideline_2017.pdf
厚生労働省 「保険診療確認事項リスト」
https://www.mhlw.go.jp/content/001385789.pdf
2.いびきの種類

いびきには原因や睡眠中の呼吸状態によって違いがあります。いびきが続いている場合は、音だけで自己判断せず、無呼吸などを伴っていないか確認することが大切です。
単純いびき症
睡眠中にいびきをかいていても、睡眠時無呼吸などの明らかな睡眠呼吸障害を伴わない状態です。
睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群では、睡眠中に呼吸が止まったり浅くなったりする状態を繰り返します。診断や重症度の判定には、睡眠検査で無呼吸や低呼吸の回数などを評価します。
一般的に、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)の重症度は、1時間あたりの無呼吸と低呼吸の回数を示すAHI(無呼吸低呼吸指数)などを用いて評価します。
大きないびきのほか、睡眠中の無呼吸を指摘される、日中に強い眠気がある、熟睡感がないなどの症状がみられることがあります。こうした症状がある場合は、医療機関への相談を検討しましょう。
上気道抵抗症候群
睡眠中に上気道の抵抗が増加することで呼吸に負担がかかり、睡眠が妨げられる状態です。日中の眠気や疲労感などがみられる場合があります。
3.いびきの原因
いびきには、上気道の形態や肥満、鼻づまり、飲酒などさまざまな要因が関係します。普段の生活を振り返ってみましょう。
肥満(首回りに脂肪がついている)
肥満によって首や上気道周囲に脂肪が蓄積すると、上気道が狭くなり、OSAのリスクや重症度に影響することがあります。
口呼吸や鼻の疾患
風邪やアレルギー性鼻炎などで鼻が詰まると、鼻呼吸がしにくくなります。鼻づまりが続いている場合は、その原因に応じた治療が必要になることがあります。
仰向けで寝ている
仰向けで寝ると、重力の影響などによって舌や軟部組織が後方に移動し、上気道が狭くなりやすい人がいます。体位によって無呼吸が増える体位依存性OSAでは、寝る姿勢を変えることが治療の選択肢になる場合があります。
顎や顔の骨格
下顎が小さい、または後方に位置しているなどの顎顔面形態は、上気道が狭くなる要因のひとつです。肥満が目立たなくてもOSAを発症する場合があります。
睡眠前の飲酒
飲酒は呼吸中枢に影響を与えるほか、上気道を広げる筋肉を弛緩させ、上気道抵抗を増加させる可能性があります。
睡眠薬などの服用
一部の睡眠薬、特にベンゾジアゼピン系睡眠薬では、上気道を広げる筋肉の弛緩などによってOSAを悪化させる可能性が指摘されています。服用中の薬がある場合は自己判断で中止せず、医師や薬剤師に相談してください。
扁桃や口蓋垂(こうがいすい)などの形態
いびきは、睡眠中に狭くなった上気道を空気が通る際、軟口蓋や口蓋垂など周囲の組織が振動することで生じます。扁桃肥大などによって上気道が狭くなっている場合も、いびきやOSAの原因となることがあります。
加齢
年齢を重ねることに伴う上気道の形態や筋肉の働きの変化などが、いびきやOSAに関係する場合があります。
4.いびきの改善に向けた医療機関選びのポイント

いびきの治療を希望する場合は、いびきの原因や睡眠時無呼吸の有無を確認することが大切です。自分の状態に合った医療機関を選びましょう。
・睡眠時無呼吸症候群の検査・診断に対応している
・鼻づまりなどがある場合は耳鼻咽喉科への受診を検討する
・口腔内装置による治療が必要な場合は、睡眠時無呼吸の治療に対応する歯科へ相談する
・医科と歯科の連携体制がある
・継続して通院しやすい
5.まとめ
いびきには、肥満、飲酒、寝る姿勢、鼻づまり、顎顔面の形態などさまざまな要因が関係します。原因によっては、適正体重を目指す、就寝前の飲酒を控える、寝る姿勢を工夫するといった対策が役立つ場合があります。
一方、大きないびきが続く、睡眠中に呼吸が止まっていると指摘される、日中に強い眠気があるなどの場合は、睡眠時無呼吸症候群が隠れている可能性があります。
閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)と診断された場合には、CPAPなどの治療のほか、状態に応じて歯科で口腔内装置を作製することもあります。いびきが続いている場合は自己判断だけで対処せず、医療機関に相談しましょう。
【参考サイト】
・日本循環器学会 「閉塞性睡眠時無呼吸に対する口腔内装置に関する診療ガイドライン(装置の作製に関するテクニカルアプレイザル:2020年版)」
https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2023/03/JCS2023_kasai.pdf
・日本睡眠歯科学会 「閉塞性睡眠時無呼吸に対する口腔内装置に関する診療ガイドライン(装置の作製に関するテクニカルアプレイザル:2020年版)」
https://jadsm.jp/iryo/pdf/202001_guideline_pre.pdf
・日本睡眠歯科学会 「閉塞性睡眠時無呼吸症に対する口腔内装置に関する診療ガイドライン(2017年改訂版)」
https://jadsm.jp/iryo/guideline_pdf/guideline_2017.pdf
・厚生労働省 「保険診療確認事項リスト」
https://www.mhlw.go.jp/content/001385789.pdf
監修医
飯田 尚良先生
飯田歯科医院 院長
経歴
1968年 東京歯科大学 卒業
1968年 飯田歯科医院 開院
1971年 University of Southern California School of Dentistry(歯内療法学) 留学
1973年 University of Southern California School of Dentistry(補綴学・歯周病学) 留学
1983年~2009年 東京歯科大学 講師
現在に至る
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