差し歯だけが黄ばんで目立ってしまうのは嫌なものです。しかし差し歯は、天然歯に使うホワイトニング剤を使って、同じように白くすることはできません。
この記事では、黄ばんでしまった差し歯を白くするさまざまな方法や、セラミックの差し歯のメリットなどについて、詳しくご紹介いたします。
この記事の目次
1.差し歯を白くする4つの方法とは?
前提として、過酸化水素の薬剤を使った一般的なホワイトニングでは、差し歯を白くすることはできません。ホワイトニング剤は、天然歯に沈着した汚れに働くものだからです。ここでは、人工の素材である差し歯を白くするための方法についてご紹介します。
歯医者さんでクリーニングを受ける
レジン(プラスチック系の素材)自体の変色は、白くすることはできませんが、表面に付着した汚れであれば、歯医者さんのクリーニングで落とすことができます。セラミック製の差し歯であれば、素材が変色しにくいので、表面のクリーニングで元の白さを取り戻すことができます。
歯の表面をホワイトコートする
レジンはプラスチックなので、時間が経つと次第に黄色みがかってしまいます。素材自体が変色してしまうので、素材の白さを取り戻すことはできません。この場合、歯医者さんで歯科用のホワイトコート剤を塗ることで、白くすることができます。ただし、コーティングの持続期間はおよそ1ヶ月程度です。
セラミックに替える
前述した通り、レジンは長く使っていると、素材が黄色く変色してきます。そこで、セラミック製の差し歯に入れ替えるというのも一手です。セラミックは天然歯の質感に近く、素材の変色や着色をしにくいので、長く白さを保つことができます。
歯のマニキュアを塗る
市販されている歯のマニキュアを塗る方法もあります。ただし、きれいに塗るのが難しくムラが多くなって、かえって目立ってしまうこともあります。また、差し歯にはマニキュアがつきにくいものなのでで、あくまで応急処置的な利用に向いています。
2.差し歯の汚れを落とす歯磨き粉とは?
レジンの差し歯は、素材自体が黄変してきますが、それでも表面についた着色汚れ(ステイン)をマメにケアすることが肝心です。素材自体を白くはできませんが、表面をきれいに保つことはできます。また、セラミックは色素が沈着しにくい素材ですが、ステインを放置していると、天然歯と同様に強く汚れが強く結びついてしまうものです。
日々のケアのために、歯磨き粉の選び方をご紹介しましょう。
研磨剤が入っていないもの
レジンの差し歯は、表面が柔らかいので、研磨剤が強い歯磨き粉を使うと、細かい傷が付きやすいものです。そして、細かい傷があると、余計に汚れがこびりつきやすくなります。歯磨き粉は研磨剤が入っていないものを選びましょう。
ステインに対応したもの
着色性の強い食事や飲み物は、歯の表面にこびりつく沈着汚れをもたらします。ステイン対応の歯磨き粉は、汚れと結びついたタンパク質を分解することができるので、天然歯だけでなく、差し歯の表面のステインも落とすことができます。
3.レジンとセラミック、どっちの差し歯を選ぶ?
レジンの差し歯のデメリット
レジンを使った差し歯には、以下のようなデメリットがあります。
素材自体が変色してしまう
レジンは隣の歯と色を合わせることもでき、歯につけた当初はきれいに見えるものです。しかし、およそ1年半~3年程度で素材自体が黄色くなってきます。また、レジン素材は弱いので、金属で裏打ちしてあり、これが徐々に溶け出してくることで、歯茎が黒ずむ原因にもなるのです。
ホワイトニングにより色が合わなくなることも
部分的に差し歯があって、歯列全体をホワイトニングする場合には注意が必要です。というのも、天然歯にはホワイトニングの効果がある一方で、レジンの差し歯は白くならないので、色が合わなくなり、差し歯だけが目立ってしまうからです。
また、全体をホワイトニングしてから差し歯をホワイトニングした歯の色に合わせて交換する場合、作り直しが必要になります。
付け替えの度に歯を削る必要がある
保険の適用ができるのだから、レジンが変色してきたら、また作り直せばよいと思う方もいるでしょう。しかしパッと外して同じものを作って、すぐに元通りになるほど単純ではありません。付け替える場合には、また土台となる歯を削り直して整える必要があり、その都度、元の歯が少なくなっていきます。付け替えが可能な回数は、残存している歯の部分の多さによりますが、回数を重ねる毎に歯は小さくなっていくので、歯が折れるリスクも増します。
差し歯は最初からセラミックを選ぶのが賢命
一方セラミック製の差し歯は、保険の適用ができませんが、レジンのように変色が気になることもなく長くきれいに保つことができるため、後々の問題も少ないものです。これから差し歯を入れるという方は、費用に余裕があるなら、セラミック製を選ぶのが賢命です。
オールセラミックがおすすめ
セラミックの差し歯にも、金属製の裏打ちが施されたタイプ(メタルボンドクラウン)があります。使用する金属によりますが、特定の金属を使っていると歯茎の黒ずみを招いたり、歯茎が後退した場合に、金属が見えてしまうというデメリットがあります。費用はかかりますが、すべてセラミックでできたオールセラミックであれば、こうした問題もなくなります。
4.まとめ
これから差し歯を入れるという方は、費用に余裕があるなら、セラミック製を選ぶのが賢命です。セラミックは変色しにくく、寿命も長いものだからです。
また、レジンの差し歯では、素材自体が黄ばんだり、裏打ちしている金属が溶けて、歯茎を黒くしてしまいます。どちらも差し歯自体をホワイトニングすることはできないので、色が気になる場合には、基本的にはクリーニングやコーティング、付け替えなどで対処することになります。

監修医
本部 悠一郎先生
東葉デンタルオフィス 院長
経歴
1993年 明海大学歯学部卒業後、千葉県内歯科医院勤務
1995年 すまいる歯科分院長就任
1998年 あすか歯科クリニック分院長就任
2012年 東葉デンタルオフィスを開設
現在に至る
この記事は役にたちましたか?
- すごく
- いいね
- ふつう
- あまり
- ぜんぜん