口臭が気になったとき、実はお口の中にある銀歯が原因の一つになっていることがあります。取れた銀歯が臭かったり、銀歯の間に詰まったものを取ったとき、いやな臭いや味がしたことがある人もいるのではないでしょうか。
そして、その臭いは口臭を招くだけでなく、放っておくと、歯を失う原因になることもあるのです。この記事では、銀歯が臭う4つの原因や自分でできる臭いの対策、歯医者さんで行う対策についても詳しく紹介していきます。
この記事の目次
1.銀歯の臭いを招く4つの原因
1-1 銀歯の傷に汚れがつきやすい
銀歯の表面というのは実は傷がつきやすく、無数の小さな傷がたくさんついています。これは古くなればなるほど傷の数も多くなります。
そしてその傷の中に細菌が付着してしまい、歯ブラシで少々磨いたくらいでは落とすことはできません。このように銀歯の傷にこびりついた細菌が、銀歯の臭いを引き起こす一つの原因になっているのです。
1-2 銀歯と歯の境目に汚れが溜まりやすい
歯と銀歯の境目はどんなにピッタリに作っても、ミクロ単位での隙間が存在するものです。この段差部分が細菌の溜まり場所になってしまい、口臭の原因の一つになります。
1-3 銀歯はさびたり変質して汚れが溜まりやすい
銀歯は当然金属ですので、年数が経つと口の中の水や酸でさびたり変質してしまう弱点があります。すると、銀歯の表面に凹凸ができてしまうことによって、その部分に細菌が溜まり、臭いを放つ原因になってしまいます。
1-4 銀歯の接着剤が溶け出して汚れが溜まりやすい
銀歯はセメントと呼ばれるもので歯と接着します。しかしこれは厳密には「接着」しているわけではなく、銀歯と歯の間の隙間を「埋めている」だけなのです。
そして、銀歯は歯やセメントよりも硬いため、銀歯の下のセメントを壊してしまうのです。また、温度変化でも壊れやすい性質を持っています。さらにこのセメントは唾液に溶け出しやすいという特徴もあります。
そのため、銀歯と歯との間に隙間ができてしまい、汚れや細菌が入り込み虫歯ができやすく、臭いの元となってしまいます。
2.銀歯が原因の口臭と他の口臭との違い
2-1 銀歯が原因の口臭
銀歯からくる口臭の特徴は、銀歯の表面にこびりついた食べカスなどの汚れが腐敗したことが原因です。
食べカスによる汚れが腐敗した臭い、銀歯内部で繁殖している酸素を嫌う細菌(嫌気性菌)から発生する臭いなどが混ざった臭いで、「ゆで卵のような臭い」「生ゴミの臭い」「膿の臭い」などと例えられます。
2-2 歯周病が原因の口臭
歯周病からくる口臭は、歯茎の溝(歯周ポケット)で繁殖する空気を嫌う細菌(嫌気性菌)が代謝するガスの臭いです。
具体的には硫化水素やメチルメルカプタンと呼ばれるガスで、「腐った肉の臭い」「臭いオナラや大便の臭い」「魚の血なまぐさい臭い」とよく表現されます。
2-3 全身的な病気が原因で起こる口臭
他にも口臭を起こす原因には全身的な病気があり、例えば副鼻腔炎や胃腸障害、呼吸器疾患ではタンパク質が腐敗した臭い(肉、卵が腐った臭い)、腎臓疾患ではアンモニアの臭い、肝臓疾患ではアンモニアや獣の臭い、糖尿病では果物の腐った臭い、などと例えられます。
3.自分でできる銀歯の臭い対策
銀歯の臭いが気になる時は、これから紹介する自分自身でできる対策を行ってみましょう。
3-1 マウスウォッシュでブクブクうがいをする
時間がないけど、手っ取り早く臭いを何とかしたい!という場合には、マウスウォッシュを使ってブクブクうがいをしてみましょう。
銀歯の周囲についた細菌をある程度洗い流すだけでも口臭の改善がみられます。ただ、この方法ではこびりついた汚れは取れず、一時的な効果しか見込めません。
3-2 歯磨きの徹底
銀歯が入っているところというのは、もともとプラークコントロールができていなくて、汚れが溜まりがちであったために虫歯になってしまった場所です。
そこに銀歯をはめることで段差が生じ、より一層プラーク(歯垢)や汚れがつきやすくなり、磨き残しも多くなってしまいますので、銀歯の部分はより一層徹底して歯磨きをする必要があります。
3-3 デンタルグッズを効果的に用いる
銀歯と隣の歯の間にも汚れがより一層溜まりやすくなります。しかし、歯ブラシだけのお手入れでは汚れを取りきることは不可能で、その部分からも口臭が発生する原因となります。歯間部の汚れを落とすためには歯間ブラシやデンタルフロスが効果的です。
隙間の狭いところはデンタルフロス、歯と歯の隙間が大きいところやブリッジのつなぎの部分は歯間ブラシやワンタフトブラシ、と使い分けると良いでしょう。
デンタルフロスを使って銀歯の部分が引っかかる、糸が切れてしまう、という場合には銀歯と歯の間に隙間ができている可能性がありますので、そのような場合は歯科医師に相談しましょう。
4.歯医者さんで行う銀歯の臭い対策
4-1 定期的に銀歯のチェックをしてもらう
銀歯の臭いを防ぐためには、銀歯と歯の間から再発する虫歯(2次カリエス)を作らない、ということが大事です。2次カリエスの部分は空洞ができ、汚れや細菌が溜まって臭いの発生源になります。
虫歯ができると痛みが出る、と思われていることが多いですが、実際にはなかなか痛みが出ないこともあり、気づかずに放置されて虫歯が進行し、歯自体が残せなくなってしまう場合もあります。
そのため、定期的に歯医者さんで銀歯と歯の間に虫歯ができていないかチェックをしてもらい、虫歯が見つかれば適切な治療を施してもらいましょう。
4-2 定期的に歯医者さんでクリーニングを受ける
歯医者さんでのクリーニング(PMTC)
- プロである歯科医師や歯科衛生士が、専用の器具や機械を使って歯の隅々まで磨き上げることで歯垢除去率が高まります。
- 歯の表面がツルツルになるため、その後汚れがつきにくくなります。
- 虫歯や歯周病、口臭予防に効果的です。
※一度クリーニングをしてきれいになっても、また汚れは蓄積してしまいますので、3ヶ月~6ヶ月に1回くらいのペースで定期的なプロによるクリーニングを受けることをおすすめします。
歯医者さんで定期的にクリーニングを受けることで、溜まってしまった汚れを取り除くことが可能です。銀歯の周辺は磨きにくく、天然の歯よりも汚れが溜まりやすい場所です。
銀歯が入っている場合は清掃率が落ちてしまうため、歯医者さんでのクリーニングが大事になってきます。
4-3 オールセラミックに変える
「より汚れがつきにくい材質のものがいい!」という方は、銀歯をオールセラミックに変えてみるのも一つの方法です。オールセラミックとは全てがセラミック(陶器)の素材でできており、次のような特徴があります。
オールセラミックの特徴
- 傷がつきにくいため汚れもつきにくい
- 歯と馴染みが良く、強力に接着するため虫歯ができにくい
- 色調、透明感が天然の歯に近い仕上がりで審美的
- 材質的に安定しており体に優しい
- 金属アレルギーを起こさない
このように、セラミックには多くの利点があり、歯の治療で使われる材質としては最高の品質を持っていると言えるでしょう。一つ欠点として挙げるなら、「保険がきかない」ということがあります。
金額としては銀歯よりも高額にはなってしまいますが、その分、「体に優しい材料」「長持ちする」「見た目にも美しい」ということなどを考慮に入れて検討してみてください。
5.まとめ
銀歯は汚れを蓄積させやすい性質があることから、古くなっている銀歯ほど口臭の原因になっている可能性があります。銀歯の内部に広がっている虫歯は、ひどくなって神経の炎症を起こさない限り、自分で気づくことはまずありません。
まして神経をすでに抜いてある歯の場合は、歯の感覚が失われているため、痛みがないままどんどん歯が破壊されてしまい、最悪歯を抜くことにもなりかねません。このようなことを防ぐためには、自分で行うケアに加え、歯医者さんで一度診てもらうことが重要になってきます。
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