奥歯を失ったら部分入れ歯に!種類や費用の目安は?

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もし奥歯を失った場合、そのまま放っておいても問題はないのでしょうか?奥歯は目立たないため、支障はないと考える方もいるでしょう。しかし、噛み合わせの不具合や歯周病、周囲の歯の虫歯など、さまざまな問題を引き起こすこともあるのです。

ここでは、奥歯の部分入れ歯について詳しく紹介していきます。

この記事の目次

1.奥歯を失ったら部分入れ歯を検討しよう

 

部分入れ歯とは?

入れ歯の一種に部分入れ歯があります。奥歯を1本だけ抜歯したなど、部分的に失われた歯を補うために装着する入れ歯のことです。

部分入れ歯は、歯の代わりの「人工歯」(じんこうし)、人工歯を支える土台の「床」(しょう)、入れ歯が外れないように他の歯に引っかけるとめ具の「クラスプ」といったパーツで構成されていて、使われる材質によって保険が適用されるかや金額が違ってきます。

 

部分入れ歯ができるまで

部分入れ歯は、作り始めてから完成まで約2週間かかります。また、3~5回ほどの通院が必要です。

ステップ①
あごの大きさに合わせたトレーをつくり、型取り材料をつかい実際に噛んでもらいながら歯の型取りをします。

ステップ②
歯の無い部分に合わせて噛み合わせ材料を噛んでもらい、噛み合わせの型をつくり、咬合器(こうごうき)で噛み合わせの確認をします。

ステップ③
部分入れ歯をつくり、患者さんの口内で試着します。ズレ、歪み、人工歯の並びなどもチェックして仕上げていきます。

ステップ④
完成した部分入れ歯を装着して、違和感がないかを確認します。最終調整をして終了です。

2.部分入れ歯の種類と費用

奥歯の部分入れ歯は、大きく分けて保険が適用されるものと自由診療のものに分けられます。

 

保険適用の部分入れ歯

費用:保険の負担率が3割の場合、5千円~1万円程度

保険適用の部分入れ歯は、金属製のクラスプ(フック)がつき、歯と歯茎を形成する床はレジン(プラスチック)で作られています。部分入れ歯を装着したときの噛む力は健康な状態の20%~30%程度です。

構造上、歯に貼りつく粘着物や噛み砕いて食べる硬い物は、噛んだときに入れ歯が動いてしまうことも多く、噛む筋肉のバランスを崩し、かたよった噛み癖がつくことがあります。

 

自由診療の部分入れ歯

金額は保険適用にくらべて高額ですが、見た目や付け心地で選ぶなら自由診療の部分入れ歯がおすすめです。種類が多彩で材質や金額に違いがあります。

 

スマイルデンチャー

費用:8万円~30万円程度

スマイルデンチャーは、歯や歯茎の色に合わせてプラスチックの材質でつくられたクラスプが付いています。歯や歯茎に合せた色によって、口元からのぞくクラスプが目立たなくなり、歯が見える笑顔の状態でも、自然な見た目に近づきます。クラスプ以外は、保険適用の部分入れ歯と同じ構造です。

金属床

費用:25万円~35万円程度

金属床の部分入れ歯は、入れ歯がよく壊れるなど、噛む力が強い患者さんに向いています。金属製の床は、コバルトクロム、チタン、白金加金など、材質によって薄く作ることもでき、食べ物の温度も感じやすいため、装着時の違和感はプラスチックの部分入れ歯よりも少なくなります。しかし、使う人により、金属アレルギーを起こすことがあります。

テレスコープデンチャー

費用:本体費用60〜70万円+冠(1本につき10〜20万円)×本数で合計100万円以上

テレスコープデンチャーは、周囲の歯にひっかけるクラスプを使わずに、残っている歯に金属製の冠を被せて支えにする入れ歯です。クラスプによる見た目の印象の悪さや、噛むときに動いてしまうことや外れやすいことといったデメリットが改善されます。ただし、装着のためには支えに使う健康な歯を削る必要があります。また、一度作ると作り直しが困難です。

マグネットデンチャー

費用:磁性アタッチメントの費用が5~10万円程度(入れ歯の費用は別途)

マグネットデンチャーは、入れ歯に埋め込んだ超小型磁石と、土台となる歯根に入れた磁性アタッチメント(キーパ)の磁力により、入れ歯を吸着させる部分入れ歯です。しっかりとした固定力がありながら取り外しもしやすく、クラスプがないため周囲の人に入れ歯をしていることを感じさせず自然な見た目をつくります。

また、歯根がない場合は、インプラント(人工歯根)をあごの骨に埋め込むことでマグネットデンチャーを装着できます。磁石を使うため、磁気アレルギーのある方は利用できません。

3.部分入れ歯のお手入れ方法

部分入れ歯は、毎日のお手入れが大切です。ここでは、正しいお手入れ方法を紹介していきます。

 

食後に歯を外して洗う

食後に歯を外し、入れ歯専用歯ブラシを使って汚れを落としましょう。口内用の研磨剤入り歯みがき粉を使うと、部分入れ歯が傷ついて、逆に汚れがつきやすくなることがありますので注意しましょう。

 

寝るときは外して水に浸けおきしておく

口内で使う入れ歯は乾燥に弱い材料でできているため、乾燥するとひび割れの原因になります。部分入れ歯を外し水に浸けてから寝るようにしましょう。また、寝ている間に入れ歯を飲み込んでしまうこともあります。小さい部分入れ歯は要注意です。寝るときは必ず外すようにしましょう。

 

部分入れ歯専用の洗浄剤を使う

部分入れ歯は使用してそのままにしておくと、付着した食べかすや細菌が原因でカビてしまうことがあります。もしブラッシングだけではとれない汚れがある場合は、洗浄剤できれいにしましょう。ただし、洗浄剤によっては部分入れ歯を変色させることもあります。使用している材質に合った洗浄剤を使うことが重要です。

 

もし入れ歯が割れてしまったら

入れ歯が割れてしまったときは、工作用の接着剤などで修理しないようにしましょう。自己流で修理するとズレや歪みが生じ違和感がでます。その後、歯医者さんで修理をしようとしても、元の状態に戻せないというケースも少なくありません。

また、壊れていなくても、使っているうちに金具のクラスプ(バネ)が緩くなることがあります。装着したときに違和感がでてきたら、歯医者さんに相談しましょう。入れ歯の状態を確認してもらい、クラスプを締めるなどの処置をしてもらう必要があります。

4.まとめ

奥歯を失ってしまった場合には、部分入れ歯を検討しましょう。部分入れ歯にはたくさんの種類があり、口内の状態や好み、使用状況に応じて、自分に合った入れ歯を選べます。ただし、保険適用のものか自由診療のものか、材質や取り付け方の違いなどで、金額が大きく違ってきます。

金額、見た目、装着感といった点を総合的に判断しながら、歯医者さんのアドバイスのもと、納得のいく部分入れ歯を選んでいきましょう。

監修医

飯田 尚良先生

飯田歯科医院 院長

経歴

1968年 東京歯科大学 卒業
1968年 飯田歯科医院 開院
1971年 University of Southern California School of Dentistry(歯内療法学) 留学
1973年 University of Southern California School of Dentistry(補綴学・歯周病学) 留学
1983年~2009年 東京歯科大学 講師
現在に至る

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