磁石式の義歯ってどんな入れ歯?メリットや特徴を解説

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歯周病や虫歯で歯を失った場合、義歯(入れ歯)などで失った歯を取り戻すことができます。今回は、吸着力が強くフィット感に優れ、見た目もすっきりしている「磁石式の義歯」の特徴や魅力について説明します。また、治療費や磁石式インプラント義歯についてもお伝えします。

この記事の目次

1.磁石式の義歯のメリット

磁石だから着脱が簡単

従来の義歯のように、鏡を見ながらバネを歯に引っかける手間はありません。磁石式義歯は、磁石の引き合う力で所定の位置に素早く装着でき、ずれることもありません。また、取り外しも簡単です。

 

隙間のない構造でお手入れも簡単

従来の義歯は金具のバネが付いているため、食べかすが残りやすく、隙間ができやすい構造でした。そのため、汚れやすいという欠点がありました。一方、磁石式義歯はバネを使わないシンプルな形状で、口内に密着しやすく、食べかすもたまりにくいです。お手入れも簡単です。

 

楽しく食事やおしゃべり、カラオケができる!

磁石式義歯は隙間なく固定されるため、フィット感が抜群で食事の際もしっかり噛むことができます。義歯がカタカタ動いて落ちる心配もありません。バネがないので見た目もすっきりしており、周囲の視線も気になりません。食事やおしゃべり、カラオケなど、お友達とのお出掛けも、義歯をつける前と同じように楽しめます。

2.知っておこう、磁石式の義歯が持つ特徴

磁力で義歯を吸着させる、磁石式義歯の構造

歯医者さんでは、磁石式の義歯(入れ歯)を「マグネットアタッチメント義歯」とも呼びます。磁石式義歯は、歯が抜けた場所に残っている歯根に取り付けられた磁性金属(キーパ)と、義歯側に埋め込まれた超小型磁石の2つの磁力で吸着します。従来の義歯と同様に、磁石式義歯にも部分入れ歯と総入れ歯があります。

 

歯根に埋め込まれる磁石の大きさと吸着力

キーパや超小型磁石の大きさは、米粒ほどです。小さいながらも強力な磁力を持ち、一粒で600~800g程度の吸着力があります。

 

人の印象まで変える、従来の部分入れ歯と磁石式義歯との違い

従来の部分入れ歯は、両隣の歯に金具のバネ「クラスプ」を引っ掛けて安定させる仕組みです。しかし、この方法ではクラスプを引っ掛けている歯に負担がかかり、歯の寿命を縮めることがあります。また、口を開けたときに金具が目立ち、見た目の印象が悪くなることもあります。

一方、磁石式義歯はバネを使わないため、両隣の歯に負担をかけません。さらに、バネがないので口を開けたときに目立たず、周囲の視線も気になりにくいです。

 

保険は適用される?

磁石式義歯は基本的に保険適用外です。部分入れ歯の場合、義歯側の磁石と歯根に取り付ける磁性金属の1セットで約5万円かかります。2セット必要な場合は、費用は約10万円になります。このセット費用と部分入れ歯の費用を合算した金額が、磁石式義歯の総費用です。

 

磁石式義歯を装着できないケース

磁石式義歯は、歯根にキーパを取り付けて装着します。しかし、歯根がない場合や、レントゲン検査などでキーパの取り付けが適さないと判断された場合は、磁石式義歯の治療ができません。また、磁石アレルギーの症状がある方も治療が難しいです。

3.磁石式のインプラント義歯も

インプラントとは?

人工的に作られた歯根は「インプラント」と呼ばれ、チタンやハイドロキシアパタイト(HA)などの素材が使われます。また、人工歯根をあごの骨に埋め込む治療方法もインプラントと呼ばれます。インプラントを埋め込む際には、部分麻酔(まれに全身麻酔)を使用した手術が行われます。手術後には腫れや痛み、内出血などが起こることがあるため、注意が必要です。

 

磁石式インプラント義歯とは?

磁石式義歯を利用するためには、歯根や検査で治療に適していると判断された場所にインプラントを埋め込み、キーパを取り付けます。これを「インプラント義歯」と呼びます。総入れ歯のインプラント義歯では、上あごに4~6本、下あごに2~4本のインプラントを埋め込むのが一般的です。

 

磁石式インプラント義歯の選択が向いているケース

・通常のインプラント手術にくらべ時間がかかりません。手術による体や精神面の負担を少なくしたいときに有効です。
・あごの骨に手術に適した厚みがないなど、通常のインプラント手術を行うことが困難なときに有効です。
・通常のインプラント治療にくらべて埋め込むインプラントの本数が少なくすみます。治療費を抑えたいときに有効です。

4.まとめ

従来のバネを使った義歯は、フィット感や見た目の悪さ、虫歯などの問題がありました。しかし、磁石式義歯を装着することで、これらの悩みが減り、毎日を楽しく過ごせるようになるでしょう。ただし、あごの骨や歯根の状態によっては磁石式義歯を取り付けられないことがあります。また、磁石式義歯の治療は保険適用外です。磁石式義歯を希望する場合は、歯医者さんに相談し、総合的なアドバイスをもとに慎重に判断しましょう。

監修医

飯田 尚良先生

飯田歯科医院 院長

経歴

1968年 東京歯科大学 卒業
1968年 飯田歯科医院 開院
1971年 University of Southern California School of Dentistry(歯内療法学) 留学
1973年 University of Southern California School of Dentistry(補綴学・歯周病学) 留学
1983年~2009年 東京歯科大学 講師
現在に至る

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