顎が外れたら自力で治せる?応急処置法や顎が外れる原因を解説

    口を思いっきり開けた時などに、そのまま口が戻らなくなってしまうことがままあります。このような現象を俗に、顎が外れるといいます。このような状態になった時は、どうすればいいのでしょうか?

    実は応急処置の程度であれば、顎が外れた場合でも、自力で戻す方法があります。この記事では応急処置の方法に加え、病院での治療法や顎が外れる原因についてもご紹介していきます。

    この記事の目次

    1.顎が外れたときの治し方

    自力で戻す方法

    顎が外れてしまった場合、関節が前に飛び出したような形になります。以下の手順で応急処置として自分で顎を戻しましょう。

    ステップ①
    顎が外れた側の耳の周辺に出っ張っている部分があるか確認する

    ステップ②
    人差し指と中指、薬指を使って出っ張りを取り囲むように当てる

    ステップ③
    やや後部下方向に出っ張りを押し下げる

     

    うまく関節を元に戻せたとしても、炎症などの違和感が起きる可能性もあります。炎症が悪化すると痛みがひどくなりますので、関節を元に戻したら顎の周辺をしばらく冷却するようにしましょう。

    また、素人ではしっかりと元の位置に戻ったかを把握することは難しいため、大丈夫だと思っても、応急処置のあとは、病院を必ず受診するようにしましょう。

     

    病院での治療方法

    顎が外れてしまった場合には、歯科や歯科口腔外科、整形外科で診てもらうことができます。病院での治療法は、大きく2種類に分類されます。

    口内法
    患者の口内にドクターが指を当てて正常な位置に戻す方法です。

    口外法
    口に触れずに治療する方法で、外側から下顎に手を当てて、正しい位置に修復します。

    ちなみに顎が外れた症状を元に戻すのは、それほど時間がかかりません。また、強い痛みを伴うこともないので、あまり心配する必要はないでしょう。

    2.顎が外れる「顎関節脱臼」について

    よく「顎が外れる」と表現しますが、実は顎の関節が外れている状態なのです。医療の世界では「顎関節脱臼」と言って、脱臼の一種です。ここでは、顎関節脱臼の種類や症状をご紹介していきます。

     

    顎関節脱臼の種類

    顎関節脱臼は以下の3種類に分類できます。

    ・前方脱臼
    下顎頭が前方にずれてしまう脱臼のことで、口を大きく開けたときに起こりやすいです。

    ・後方脱臼
    後ろに向かってずれてしまう脱臼のことで、運動をしたときの外傷で起きる可能性が高いです。

    ・側方脱臼
    顎関節が横にずれてしまう脱臼のことで、交通事故を起こした場合に起こりやすいです。

     

    顎関節脱臼の症状

    顎が外れると、さまざまな問題が発生します。まず、口が動かなくなるため、言葉をうまく話せなくなったり、食事がしづらくなります。

    また、顎が下に伸びることで顔が面長になり、口の中に唾液が溜まってよだれが垂れやすくなることもあります。さらに、顎関節だけでなく周囲の筋肉にも負担がかかり、痛みを伴うことがあります。

    3.顎が外れる原因とは

    つぎに、顎が外れる原因を見ていきましょう。

     

    咀嚼筋の衰え

    顎の外れる原因として、咀嚼筋といわれる顎周辺の筋肉の衰えが考えられます。顎の関節を支える筋肉が衰えると、顎の関節がずれやすくなります。姿勢が悪い、頬杖をつくなどの習慣があると、咀嚼筋が衰えやすくなります。

     

    噛み合わせの問題

    噛み合わせに問題のある人も、顎の外れるリスクが高くなります。噛み合わせに関しては歯列矯正などの治療が必要なので、自分ではどうすることもできません。もし噛み合わせに問題があれば、歯科医院を受診し、歯列矯正などの適切な治療を行う必要があります。

     

    顎関節症

    顎がしばしば外れるのであれば、その背後に顎関節症が潜んでいる可能性があります。顎関節症とは、顎関節や咀嚼筋に炎症などの異常が起きている病気です。口を動かしたときに音が鳴る、口が開きにくい、痛みを感じるという症状があるのであれば、顎関節症の疑いが高いです。

     

    関節円板の不具合

    下顎窩(かがくか)と下顎頭の間に、関節円板と呼ばれるクッションのような役割をしている箇所があります。この関節円板がずれやすくなっているなどの不具合が原因で、顎が外れやすくなるということもありえます。口を開けたときに顎が時折外れるのであれば、関節円板に問題があるかもしれません。

     

    外的損傷

    外側から顎関節に強いショックがかかって、顎が外れることもあります。たとえば殴られたり、交通事故で衝突した拍子に顎が外れてしまうということがあります。このような外的ショックによって、口が動かなくなったり、痛みが走るということがあれば、顎の関節が外れている可能性があります。

    4.顎が外れるのを予防する方法とは

    ここでは、予防法をご紹介していきます。心配な方は、顎が外れないように予防法をいろいろと実践してみましょう。

     

    日常での癖を改善する

    顎が外れる原因として、以下のような日ごろの癖が関係していることもあります。

    頬杖

    もし頬杖をつくことが多ければ、意識して頬杖をしないように心がけましょう。顎に負担がかかっている可能性があります。

    電話を顎と肩で挟む

    電話をする時に、顎と肩で端末を挟んで会話している人もいますが、これも顎が外れやすくなる要因になりえます。電話をする時には手で持って会話をする、もしそれが無理なら、ワイヤレスイヤホンを使うなど、工夫してみましょう。

     

    歯ぎしり対策をする

    歯ぎしりをよくする人も、顎が外れやすくなるといわれています。歯ぎしりは眠っているときにしているため気づきにくく、自身での対処も難しいものです。歯科医院に行って、マウスピースなどを作ってもらい、歯ぎしり対策をするようにしましょう。

     

    脱臼癖をつけない

    顎が外れた人の中には、顎が何度も外れるという経験をされた方もいるかもしれません。一度顎が外れた経験のある人は、その後も顎が外れる可能性が高くなります。これを脱臼癖と言います。
    一度顎が外れた経験のある人は、早めに適切な治療を受けるようにしましょう。

    5.まとめ

    顎が外れるという現象は決して珍しいことではありません。おしゃべりをするときや、食事するときにも顎関節はしばしば使われるので、疲れがたまりやすいからです。

    この記事では、顎が外れたときの治し方や原因をご紹介してきました。もし顎が外れてしまった場合、自力で戻す方法もありますが、あくまで応急処置です。素人ではしっかりと元の位置に戻ったかを把握することは難しいため、早めに病院で治療を受けるようにしてください。

    監修医

    飯田 尚良先生

    飯田歯科医院 院長

    経歴

    1968年 東京歯科大学 卒業
    1968年 飯田歯科医院 開院
    1971年 University of Southern California School of Dentistry(歯内療法学) 留学
    1973年 University of Southern California School of Dentistry(補綴学・歯周病学) 留学
    1983年~2009年 東京歯科大学 講師
    現在に至る

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