歯肉癌の症状・特徴とは?受診の目安や検査・治療法を解説

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【要約】

歯肉癌は、上顎または下顎の歯ぐきに発生する口腔癌の一種です。歯ぐきの腫れや出血、治りにくい口内炎、白色・赤色の病変、しこりなどがみられることがあります。2週間以上続く口内炎や口の異常は、歯科口腔外科などで診察を受けることが大切です。


歯肉癌は、歯ぐきに発生する口腔癌の一種です。

口腔癌は口の中に生じるため変化に気づくこともありますが、口内炎や歯周病などと症状が似ていることがあり、見た目だけで判断することはできません。

この記事では、口腔癌の1つである歯肉癌の特徴や症状、基本的な治療法、検査方法などについて紹介します。

 

この記事の目次

1.歯肉癌ってどんな病気?

 

歯肉癌とは

歯肉癌は、口腔癌の一種で、上顎または下顎の歯ぐきに発生します。

口腔癌の90%以上は扁平上皮癌とされ、歯肉癌でも扁平上皮癌が多くみられます。

歯肉癌の特徴

歯肉癌には、上顎の歯ぐきにできる上顎歯肉癌と、下顎の歯ぐきにできる下顎歯肉癌があります。発生する部位によって、周囲へ進展する方向などに違いがあります。

上顎歯肉癌

上顎歯肉癌は、上顎骨へ浸潤し、進行すると上顎洞や鼻腔、頬粘膜などへ広がることがあります。

日本癌治療学会の「口腔癌診療ガイドライン」では、上顎歯肉癌は下顎歯肉癌より発生頻度が低いとされ、頸部リンパ節転移の頻度についても部位による違いが報告されています。

日本癌治療学会 「口腔癌診療ガイドライン」
https://www.jsco-cpg.jp/oral-cavity-cancer/guideline/

下顎歯肉癌

下顎歯肉癌は、早期から下顎骨へ浸潤しやすく、骨を破壊することがあります。そのため、顎骨への浸潤の程度を画像検査などで正確に確認することが治療方針を決めるうえで重要です。

歯肉癌のステージ

歯肉癌を含む口腔癌の病期は、原発腫瘍の状態(T)、頸部リンパ節への転移(N)、遠隔転移(M)などを組み合わせて判定します。

現在のTNM分類では、原発腫瘍の大きさだけでなく、深達度(DOI)などもT分類の評価に用いられます。また、リンパ節転移についても転移したリンパ節の状態などを含めて評価します。

そのため、「腫瘍が何cmなら何期」と大きさだけで病期を判断することはできません。検査結果をもとに医師が総合的に判定します。

2.歯肉癌の症状

歯肉癌では、歯ぐきの腫れや出血、歯のぐらつき、口の中の粘膜の色の変化、ただれ、しこりなどがみられることがあります。

日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 「舌がん・口腔がんとは?」
https://www.jibika.or.jp/owned/oral_cancer/about.html

ただし、これらは歯肉癌だけにみられる症状ではありません。歯周病や口内炎などでも似た症状が現れるため、症状だけで判断することはできません。

 

初期の症状

歯肉癌では、早期には痛みなどの自覚症状が目立たない場合があります。口の中の異常が長く続く場合は、耳鼻咽喉科や歯科口腔外科などの医療機関を受診しましょう。

口内炎が2週間以上治らない

一般的な口内炎の多くは時間とともに治りますが、口腔癌でも口内炎のような症状がみられる場合があります。
2週間以上治らない口内炎や潰瘍は、口腔がんなどとの鑑別が必要となるため、医療機関で確認してもらうことが勧められます。
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会も、2週間以上治らない口内炎や口の中の異常がある場合には、専門医を受診するよう案内しています。

患部が白くなっている

口の中に白い病変がみられる場合、白板症などの可能性があります。

白板症には悪性化する可能性のある病変が含まれるため、長く残る白色病変は医療機関で診断を受けることが大切です。見た目だけで白板症や歯肉癌を判断することはできません。

進行に伴ってみられることがある症状

赤みやただれ

口腔癌では、粘膜が赤くなったり、ただれたりすることがあります。ただし、炎症などでも似た症状が現れるため、赤みだけで歯肉癌とは判断できません。

患部のしこり

歯ぐきに腫れや盛り上がりが生じ、硬いしこりとして触れることがあります。しこりが続く場合や大きくなっている場合は、医療機関を受診しましょう。

患部の潰瘍

歯ぐきの粘膜が欠けたような潰瘍が生じることもあります。治りにくい潰瘍は口腔癌でもみられるため、長期間続く場合は検査が必要になることがあります。

 

進行した場合にみられることがある症状

癌が周囲へ進展した場合には、痛みや出血、頸部リンパ節の腫れなどがみられることがあります。

強い痛み

癌が周囲の組織へ進展すると、痛みが生じる場合があります。ただし、痛みの有無や強さだけで歯肉癌の進行度を判断することはできません。

患部からの出血

歯肉癌では歯ぐきから出血する場合があります。ただし、歯周病などでも出血はみられるため、出血だけで歯肉癌とは判断できません。

首のリンパ節の腫れ

口腔癌が頸部リンパ節に転移した場合は、顎の下や首などに硬いしこりとして触れることがあります。

首のしこりには炎症などさまざまな原因があるため、しこりが続く場合は医療機関で診察を受けましょう。

3.歯肉癌の主な治療法

歯肉癌の治療方法は、発生部位、癌の広がり、リンパ節転移の有無、全身状態などを踏まえて検討されます。

切除可能な口腔癌では、外科療法が治療の中心となることが多く、病期や病状によって放射線療法や薬物療法を組み合わせます。

日本癌治療学会 「口腔癌診療ガイドライン GRADEアプローチによる推奨」
https://www.jsco-cpg.jp/oral-cavity-cancer/guideline2/

 

上顎歯肉癌の治療

上顎歯肉癌は、上顎骨へ浸潤し、進行すると上顎洞や鼻腔、頬粘膜などへ広がることがあります。

治療では外科療法が検討され、癌の進展範囲に応じて切除する範囲を決定します。進展範囲によっては上顎骨を広く切除する手術が必要になる場合があります。

進行した症例では、外科療法だけでなく、放射線療法や薬物療法などを組み合わせた集学的治療が行われることがあります。また、切除後の機能や見た目への影響を考慮し、再建術や顎補綴などが検討される場合もあります。

 

下顎歯肉癌の治療

下顎歯肉癌は早期から下顎骨へ浸潤することがあり、骨への進展がみられる場合には外科的切除が治療の中心となります。

切除する範囲は、癌の大きさだけでなく、下顎骨への浸潤の深さや周囲の軟組織への広がりなどによって決まります。

比較的早期の症例では下顎骨の一部を残す辺縁切除術が選択される場合があります。一方、骨の深い部分まで癌が進展している場合には、下顎骨を連続性ごと切除する区域切除術などが必要になることがあります。

4.歯肉癌の主な検査方法

歯肉癌は歯周病や口内炎などと似た症状を示すことがあります。治りにくい口内炎や歯ぐきの腫れ、出血、しこりなどが続く場合は、早めに医療機関を受診することが大切です。

視診や触診

口腔癌の診断では、まず問診、視診、触診などを行います。

歯ぐきや周囲の粘膜の色、形、潰瘍やしこりの有無などを確認し、触診によって硬さや周囲への広がり、頸部リンパ節の状態などを調べます。

口の中の異常が長く続く場合は、早めに医療機関を受診することが大切です。

 

病理検査

口腔癌の確定診断では、疑わしい病変の組織の一部を採取する生検を行い、病理組織学的に診断します。

必要に応じて、病変の表面から細胞を採取して調べる細胞診が補助的に行われることもあります。

 

エコー検査

超音波(エコー)検査は、頸部リンパ節の状態などを確認するために用いられることがあります。

画像検査はそれぞれ特徴が異なるため、必要に応じてCTやMRIなどほかの検査と組み合わせて評価します。

 

CT検査

CT検査はX線を利用して体内の断面画像を撮影する検査です。

歯肉癌では、顎骨への浸潤や周囲組織への広がり、リンパ節転移などを評価するために用いられます。特に下顎歯肉癌では、下顎骨への浸潤範囲を確認することが治療方針を決めるうえで重要です。

 

MRI検査

MRI検査は、強い磁場と電波を利用して体内を画像化する検査です。

軟部組織の描出に優れており、歯肉癌が周囲の軟部組織へどの程度広がっているかなどを評価するために用いられます。

CTやMRIなどの画像検査を組み合わせて、癌の広がりや周囲組織との位置関係を確認し、治療方針を検討します。

5.まとめ

歯肉癌は歯ぐきに発生する口腔癌の一種です。歯ぐきの腫れや出血、口内炎のような潰瘍、白色や赤色の変化、しこりなどがみられることがありますが、歯周病や口内炎などでも似た症状が現れるため、見た目だけで判断することはできません。

口腔癌の治療では、癌の広がりによって歯ぐきや顎骨などを切除する場合があり、治療によって癌を切除できた場合でも、発音、咀嚼、嚥下などの口腔機能や顔貌に影響することがあります。そのため、早い段階で適切な診断と治療につなげることが大切です。

2週間以上治らない口内炎や、歯ぐきの腫れ・出血、しこりなどの異常が続いている場合は、自己判断で放置せず、耳鼻咽喉科や歯科口腔外科などの医療機関を受診しましょう。

 

【参考サイト】

・日本癌治療学会 「口腔癌診療ガイドライン」
https://www.jsco-cpg.jp/oral-cavity-cancer/guideline/
・日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 「舌がん・口腔がんとは?」
https://www.jibika.or.jp/owned/oral_cancer/about.html
・日本癌治療学会 「口腔癌診療ガイドライン GRADEアプローチによる推奨」
https://www.jsco-cpg.jp/oral-cavity-cancer/guideline2/

 

監修医

遠藤 三樹夫先生

遠藤歯科クリニック 院長

経歴

1983年大阪大学歯学部 卒業
1983年大阪大学歯科口腔外科第一講座 入局
1985年大阪逓信病院(現 NTT西日本大阪病院)歯科 勤務
1988年遠藤歯科クリニック 開業
 現在に至る

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