口が乾く!?ドライマウスの原因や症状、対策とは

    最近では現代病とも呼ばれる「ドライマウス」。実のところ罹患者は増え続けているそうです。ドライマウスという病名から、ただの乾燥だと思われがちですが、最初は少し口の渇きが気になる程度の症状のため、どうしても軽くみられがちな病気でもあります。

    しかし、ドライマウスはさまざまな原因によって引き起こされており、放っておけば厄介な疾患に見舞われる可能性もあります。ここでは、ドライマウスの意外な原因や併発するかもしれないその他の症状などを、併せて紹介していきます。

    この記事の目次

    1.ドライマウスの原因

    他の病気による症状

    ドライマウスは、実は病気が関係している可能性があります。例えば、シューグレン症候群、糖尿病、腎臓病など病変(病気によって起こる心身への変化)の一つに、ドライマウスが挙げられるのです。

    例えば、唾液腺の病気の場合も、症状の一つにドライマウスが含まれます。「ただ口が乾燥するだけ」と軽く考えていると、重要な病気を見逃している可能性もゼロではありません。

     

    薬の副作

    ドライマウスが薬の副作用の症状であることがあります。花粉症、抗うつ剤、血圧降下剤、アレルギーの薬などは、唾液の分泌を抑える働きをするものがあるようです。もし、服用しているのであれば、薬が原因でドライマウスになっている可能性もあります。

     

    加齢

    ドライマウスは、年長者になればなるほど多くなります。これは、加齢によって唾液分泌が減ることが原因です。ただし、加齢症状の一つではありますが、その他の病気や薬の副作用が関係しないとも言えません。ドライマウスかな?と思ったら、まずは医師に相談し、原因を突き止めることが大切になるでしょう。

     

    ストレス

    ドライマウスは、ストレスの多い生活でも起こりやすいとされています。ストレスは唾液の分泌を低下させてしまいますのでドライマウスになりやすいのです。今や年齢にかかわらず、現代人はストレスが多いといわれています。疲れているときにドライマウスだと感じたら、原因となるストレスを取り除くようにしていきましょう。

     

    飲酒・喫煙

    飲酒や喫煙はドライマウスになりやすいです。飲酒は全身を脱水症状に導くため、それが口の中にも及び、口が乾きやすくなります。喫煙は交感神経に働きかけ、唾液の分泌を減らしてしまいます。喫煙の習慣がある方は、禁煙するだけでもドライマウスの症状が改善されるかもしれません。

     

    顎の筋力低下

    咀嚼などで顎を使うと唾液腺が刺激され、唾液が分泌されやすくなります。早食いなどで咀嚼が少ない方などは、それが原因で唾液の分泌量が減り、ドライマウスになっているかもしれません。物を食べる時の咀嚼の習慣を見直してみて、自分の顎の筋力が低下していないか振り返ってみるといいでしょう。

     

    口呼吸

    鼻詰まりなどが原因で口呼吸などをしている人は、息が出入りする過程で乾燥しやすい状況になります。また、口を開けているため唾液が口の中に充満しないことも原因の一つです。
    これらの2つの原因から、口呼吸の人はドライマウスになりやすい傾向にあります。意識的に口呼吸を鼻呼吸にするなどすれば、改善が見られることもあるようです。

     

    無理なダイエット

    不健康なダイエットを続けているとドライマウスになることがあります。ダイエットでは食事制限をする人が多いですが、食事を減らせば咀嚼回数が減り、唾液の分泌が減ることにつながるのです。健康的なダイエットであればいいのですが、極端に「食べない」というダイエットをするのは避けましょう。

    2.ドライマウスの症状

    自分は違うと思っていても、実はドライマウスだった!ということが少なくありません。自分では意外と気づけないものですので、知識としてドライマウスの症状を頭に入れておくことは、早期発見する上でも大切です。

     

    舌がやたらと乾く

    舌が乾く、違和感があると思ったら、それはドライマウスが原因かもしれません。舌を火傷した時のようなヒリヒリする感じなどがあれば、ドライマウスの危険信号が灯っているかもしれません。

     

    口の中がネバネバする

    口の中はサラサラとした唾液で満たされているのがベストな状態です。でも、ドライマウスの場合は口の中がネバネバする傾向にあります。これは、乾燥して口の中の水分が飛んでしまっていることが原因だったり、唾液の分泌自体が少ないことが関係しています。もし、糸を引くような粘り気のある唾液が出たり、最近口の中がネバネバしているなと思ったら要注意です。

    3.ドライマウスを放置する危険性

    虫歯や歯周病になりやすくなる

    唾液には一種の殺菌作用があり、口の中に唾液が充満することで虫歯や歯周病菌の増殖が緩やかになっています。しかし、ドライマウスの場合は唾液の分泌が少ないため、虫歯菌などの雑菌が繁殖しやすい状態になります。

     

    口内炎や舌に痛みがでる

    舌を保護しているのは唾液です。ドライマウスになると舌も乾燥し、むき出しになって傷つきやすい状況になります。同様の理由で、口腔内の粘膜が保護されずに口内炎になりやすくなり、口の中のトラブルが絶えなくなってしまうかもしれません。

     

    食事がしにくくなる

    パサパサした水分のない食事は、唾液がなければ食べにくいものです。ドライマウスの患者さんの中には、物を食べることで痛みが発生するという人もいて、食べるのが楽しくなくなってしまう人もいるのです。

     

    口臭が気になる

    唾液は一種の殺菌作用を持つと前に挙げましたが、それは口臭に関しても同じことがいえます。唾液の分泌が減ると雑菌が増え、口臭が気になるようになるのです。

     

    味覚障害になる

    ドライマウスを放っておくと味覚障害になる可能性もあります。これは、乾燥によって味覚を感じる舌の味蕾がダメージを受けるからです。一時的に乾燥するだけなら味覚障害までに至る可能性は低いですが、ずっと乾燥していると味覚障害へと発展してしまいます。

    4.自分でできるドライマウス対策

    ゆっくり噛む習慣をつける

    咀嚼をすると唾液分泌が増えます。そのため、早食いなどの人はゆっくり噛む習慣をつけることでドライマウス対策なるのです。咀嚼回数を増やし、食事の時間もゆっくり確保することが大切です。

     

    リラックスする時間を設ける

    ストレスが多い生活をしている人は、リラックスする習慣を身につけることも大切です。リラックスしていなければ交感神経が優位となり、唾液がなかなか分泌されません。

    一日中緊張状態が続いているという人は、アロマを焚いたり、ハーブティーを飲んだり、マッサージをしたり、読書をするなど、リラックスできる時間を設けましょう。

     

    鼻呼吸を意識する

    口呼吸が習慣づいている人は、鼻呼吸をする習慣を身につけてください。時間を決めて意識的に鼻呼吸を練習したりすると、鼻呼吸が身につくでしょう。もし、鼻づまりなどで鼻呼吸ができない方は、ドライマウスの予防のためにも耳鼻咽喉科などを受診して治療しましょう。

     

    加湿マスクを活用する

    鼻呼吸が鼻づまりなどでできない、どうしても口呼吸してしまうという場合は、加湿マスクを使って口腔内が乾かないようにするのも一つの手です。吸い込む空気で口の中が乾燥してしまので、まずはその空気を湿らせて、対策を取るようにします。

     

    唾液腺を刺激するマッサージを行う

    唾液腺を外的なアプローチで刺激していくこともおすすめです。例えばよく行われるマッサージ法には、「耳下腺マッサージ」などがあります。耳下腺は、顔と耳の付け根の境目、耳たぶの前方のくぼんだあたりをいいます。指の腹で押してみると、少し痛気持ちいいような感覚があり、じゅわっと唾液が出てくるはずです。

    この耳下腺以外にも、顎の骨の内側部分をマッサージしてもいいでしょう。やさしく押すようにして、5〜10回程度刺激します。

     

    市販薬を活用する

    ドライマウスが気になれば、漢方薬や保湿用の口腔ジェルなどを使ってもいいでしょう。基本的には病院を受診することを勧めますが、今すぐに対策したいのであれば、手近な市販薬を使ってドライマウスを緩和するのがおすすめです。

    5.まとめ

    最初からひどいドライマウスに悩まされる人もいますが、中には徐々にドライマウスが進行していく人もいます。「最近良く口が乾くな」と思ったら、ますは放っておかずに病院の医師に診てもらいましょう。病気などが隠れていることもあるので、軽視しないことが大切です。

    監修医

    飯田 尚良先生

    飯田歯科医院 院長

    経歴

    1968年 東京歯科大学 卒業
    1968年 飯田歯科医院 開院
    1971年 University of Southern California School of Dentistry(歯内療法学) 留学
    1973年 University of Southern California School of Dentistry(補綴学・歯周病学) 留学
    1983年~2009年 東京歯科大学 講師
    現在に至る

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