歯医者での麻酔が切れるまでの時間と4つの注意事項

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麻酔の効果が切れるまでの時間やその間の注意、副作用などの心配なことについて、あらかじめ知ることで、麻酔や治療への不安を取り除けることはもちろん、思わぬケガの防止にも役立ちます。

ここでは、歯医者さんで使われる麻酔の種類や、効果の持続時間、注意事項などをお伝えします。

この記事の目次

1.麻酔が切れるまでの時間の目安

歯医者さんで痛みを伴う治療を受けるときには麻酔が必要です。最近ではなるべく痛みを取り除いた治療を提供する歯医者さんが増えています。麻酔にはいくつかの種類がありますので、この後に説明をしていきます。

1-1 浸潤麻酔 

浸潤麻酔とは一般的な歯医者さんの治療で痛みを感じさせないように用いる麻酔のことです。歯ぐきに注射をして行うため、患者さんの中には苦手に感じる人も多いでしょう。

最近ではなるべく痛みを取り除くよう、極細針を使用したり、麻酔液の温度を体温ほどに温めたり、電動式の注射器を使用したりしています。

また、浸潤麻酔の前に表面麻酔を使うことで針を刺すときのチクッとした痛みも取り除くことができます。1時間~3時間ほど麻酔の効果があります。

1-2 伝達麻酔 

伝達麻酔は下顎の奥歯の治療や親知らずの抜歯を行うときに用います。通常の麻酔は浸潤麻酔を指しますが、この場所は他の部位に比べて麻酔が効きにくいため、浸潤麻酔だけではなく伝達麻酔も同時に行います。

伝達麻酔で脳と下顎の間の神経を麻痺させると舌や唇など広範囲で麻酔効果が表れます。3時間~6時間ほど麻酔の効果があります。

浸潤麻酔や伝達麻酔にはアドレナリンが含まれています。このアドレナリンには副作用があり、動悸を感じることがあるかもしれません。特に高血圧や心臓疾患をお持ちの方は注意が必要です。

歯の治療を受ける際には持病など事前に歯医者さんへ伝え相談することをおすすめします。

1-3 表面麻酔

表面麻酔は浸潤麻酔の注射針を刺す痛みを取り除くための麻酔です。表面麻酔にはゲル状、スプレー式、シールタイプなど様々なタイプがあります。

表面麻酔は歯ぐき表面の粘膜を乾燥させ、乾いた粘膜に直接触れさせます。2分ほどで麻酔が効き、歯ぐき表面の感覚がなくなってきます。

そのあとすぐに浸潤麻酔の注射を行います。効果はそれほど長くなく、浸潤麻酔で感覚が戻るころには切れています。

表面麻酔にはいろいろな種類がありますが、多く使われているのは播ケインという麻酔液で、その主成分はアミノ安息香酸エチルです。

フレーバーが付いているためお口の中に入れても不味くはありません。このアミノ安息香酸エチルの副作用はじんましんやむくみ、めまい、眠気、不安感、興奮、嘔吐などがあります。

麻酔をした後にこのような症状があった場合はすぐに医者さんに相談をしましょう。

1-4 子どもの場合

大人より歯ぐきや骨の厚みが薄い子どもの場合、大人の半分より少ない量で麻酔を行います。そのため浸潤麻酔は治療を終えてから1時間から2時間程度で切れます。

伝達麻酔は大きな神経に作用するため骨が薄い子どもの場合はその効果が高く、治療後半日ほど麻酔が切れないこともあります。

1-5 親知らずの抜歯は麻酔を併用することがある

親知らずの生えてくるお口の奥の部分は麻酔が効きにくい部分のため、いくつかの麻酔を併用することが多いです。

まず、表面麻酔で歯ぐきの粘膜を麻痺させてから浸潤麻酔と伝達麻酔の両方を使用します。伝達麻酔は脳から奥歯への大きな神経に作用するため痛みを長時間、広い範囲で取り除くことが可能です。

親知らずの抜歯はその生え方などによっても変わりますが30分~90分ほどかかります。伝達麻酔は長時間効果があるため、抜歯する痛みはもちろん術後の痛みを抑えることもできます。

麻酔が切れる前に痛み止めや抗生剤を服用すると痛みを和らげることができます。薬を飲むタイミングや注意事項は歯医者さんや薬剤師さんの指示に従いましょう。

2.麻酔が効いて切るときの4つの注意事項

麻酔が効いている間、その周辺は感覚がありません。様々なことに注意しなければ、大きなケガや思わぬ事故につながります。

2-1 食事は麻酔が切れてから

麻酔が効いているときには皮膚の感覚は鈍っています。そのときに食事をし、誤って唇や頬を咬んでしまったとしてもそれに気が付かず大きなケガになってしまうことがあります。

そのため麻酔が効いている間の食事は避けたほうがいいでしょう。治療の時間に合わせ、受ける前に食事をとるなど工夫が必要です。特に小さい子どもの場合は注意しましょう。

アルコールや激しい運動は血行をよくするため傷口からの出血が増える恐れがあります。麻酔が切れるまではなるべく安静にすることをおすすめします。

2-2 唇を咬まないよう注意

飲食をしていなくても何かの拍子で唇を咬んでしまうことがあります。唇の感覚が戻ってきていないときには大きなケガにつながります。麻酔が完全に切れるまでは激しい運動は避け、なるべく安静にしたほうがよいでしょう。

2-3 やけどに注意 

咬んでしまう危険性と同様、熱いものにも注意しましょう。コーヒーやお茶など熱いものを口にするとき、やけどしてしまっても気が付きません。麻酔が切れた後に激しい痛みを感じることもありますので麻酔が効いている間は避けたほうが良いでしょう。

2-4 患部になるべく触れない

感覚が鈍っているためなんとなく気になり、どうしても手で触ってしまいがちです。特に麻酔が切れ始めるとかゆみや違和感があるので注意しましょう。

引っかいて傷つけることはもちろん、患部を雑菌から守るためにもなるべく触れないようにします。小さい子どもの場合は特に気をつけてあげましょう。

3.麻酔のしびれがなかなか取れないときは

麻酔のあとは患部周辺の皮膚や唇はしびれています。しかし、何時間たってもその感覚が戻らないときには一度歯医者さんへ連絡を入れ相談したほうがいいでしょう。

4.まとめ

歯医者さんでの治療には欠かせない麻酔を恐怖に感じる人は少なくありません。治療よりも麻酔のほうが怖い、痛みが心配など人それぞれでしょう。

最近では痛みをなるべく感じさせないよう様々な工夫がされています。その一つが表面麻酔です。麻酔注射をする前に歯ぐきの表面を麻痺させ注射の痛みを感じさせません。

また注射も電動のものを使用したり、麻酔液を温めたりと痛みは緩和されています。よくわからないまま治療を受けるよりも、麻酔に関する知識を身につけることは恐怖心を和らげることができますし、副作用などがあったときにはすぐに対処ができます。

積極的に歯の治療に挑めば、生涯、自分の歯で食事をし、会話を楽しみながら豊かな生活を送る第一歩につなげることができるでしょう。

 

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監修医

飯田 尚良先生

飯田歯科医院 院長

経歴

1968年 東京歯科大学 卒業
1968年 飯田歯科医院 開院
1971年 University of Southern California School of Dentistry(歯内療法学) 留学
1973年 University of Southern California School of Dentistry(補綴学・歯周病学) 留学
1983年~2009年 東京歯科大学 講師
現在に至る

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