「もしかして虫歯?」「小さな子供でも虫歯治療はできる?」など、子供の虫歯で悩む親御さんは多くいるようです。もし虫歯になり、無理な治療をおこなってしまえば歯医者さんに対するトラウマの原因となります。
この記事では、受診するタイミングや治療内容、乳歯の予防方法などについてまとめていますので、子供の虫歯が気なる方はぜひチェックしてみてください。
この記事の目次
1.子供の虫歯治療について
1-1.小児歯科とはどんなところ?
小児歯科とは名のとおり、子供のための歯科診療のことです。具体的には、乳歯が抜けて永久歯がほぼ生えそろうまでの人を治療するのが小児歯科です。専門の知識や技術を持った歯科医師やスタッフが虫歯治療をおこなっています。
またそのほかに、歯並びのチェックや歯みがきの指導もおこない、必要に応じて乳歯を抜くこともあります。
子供向けの診察台があったり、キッズスペースを設けていたりと、設備も子供用に整えられている小児歯科もあります。
1-2.小児歯科ではどのような治療をするの?
小児歯科でおこなう虫歯治療は、基本的には大人の治療とほぼ同じです。虫歯になったらその部分は削って取りのぞき、詰め物をします。もし虫歯が進行して神経まで到達してしまったら、神経を取りのぞく必要があります。
さらに虫歯の状態が悪化している場合や、永久歯が生えてきてもなかなか自然に抜けない場合には、歯を抜くケースもあります。
乳歯や生えはじめの永久歯の表面は大人の歯にくらべて弱いので、小児歯科では予防として、フッ素塗布やシーラントというプラスチックの樹脂でコーティングする治療もよくおこなわれます。
1-3.歯医者さんによってさまざまな取り組み
大人であっても歯医者さんが苦手な方は多いですよね。子供の頃に無理やり歯医者さんへ連れていかれ、治療で痛みを経験すると「歯医者さんは痛くて怖いところ」と思うようになってしまいます。大人になってもそれがトラウマとして残り、歯が痛くなっても歯医者さんに行かず虫歯や歯周病に悩むことになるかもしれません。
そうならないためにも、子供がはじめて行く歯医者さん選びは重要です。
子供がなるべくリラックスして治療が受けられるように、慣れるまで無理な虫歯治療をしない、器具に触れさせる、モニターにアニメを流す、女性歯科医師が対応するなどさまざまな取り組みをしている歯医者さんがあります。
「歯医者さんは楽しいところ」という印象が持てれば、子供も嫌がらずに治療が受けられるようになるでしょう。
1-4.虫歯治療は3歳頃からが目安
子供の虫歯の治療は一般的に、3歳頃から始めるのがよいといわれています。
その理由として、長い時間イスに座り、ある程度の我慢と歯科医師やスタッフの話を理解できる年齢が3歳頃だという点が挙げられます。
とはいえ、子供の心と身体の成長には個人差があり、3歳頃というのはあくまで目安です。嫌がるのを無理やり連れていって治療すると、歯医者さん嫌いになってしまうことがあるので気をつけましょう。
虫歯になって初めて歯医者さんに行くのでは、子供も緊張して怖がってしまうかもしれません。慣れるためにも、乳歯が生えてきたら歯医者さんに通う習慣をつけて、歯の定期検診やフッ素の塗布をしてもらうといいでしょう。
2.子供が虫歯になる原因
2-1.乳歯は虫歯になりやすい
子供の歯は大人の歯にくらべて虫歯になりやすいです。なぜなら乳歯は、歯の表面のエナメル質という部分が薄くやわらかいので傷つきやすく、虫歯の進行が早いからです。
また、虫歯の原因になる細菌は、子供が好きなお菓子やジュースに含まれる砂糖をエサにして酸を作り出します。この酸は、歯のエナメル質を溶かして歯に穴を空け虫歯を作る、歯にとって天敵のような存在です。
子供はまだ歯みがきが十分にできなかったり、痛みをうまく伝えられなかったりするので、知らないうちに虫歯がだいぶ進んでしまっているケースも少なくありません。
2-2.虫歯になりやすい歯はどこ?
子供の歯は、成長段階によって虫歯になりやすい場所が変わります。
0歳から2歳くらいまでは前歯の歯の間や付け根部分です。特に上側の前歯は、細菌を洗い流してくれる唾液がたまりにくいので虫歯になりやすく、注意が必要です。
3歳くらいからは奥歯の溝や歯の間です。奥歯が生えてくると物を噛みつぶして食べるようになりますが、奥歯の溝は複雑な形をしているので、食べものが詰まりやすく虫歯の原因になります。
6歳前後は6歳臼歯(第一大臼歯)です。この頃は奥に初めての永久歯となる6歳臼歯が生えてきます。この6歳臼歯は大きさもあり噛む力も強いのですが、歯ブラシが届きにくいので磨き残しから虫歯になりやすいといわれています。
3.歯医者さんを受診するタイミング
乳歯は虫歯になりやすくその進行が早いです。痛くなりだしてからでは、子供が泣いたり暴れたりと治療も大変なので、少しでも気になることがあれば、それが受診のタイミングだと心がけましょう。
・お菓子やジュースなど甘いものを好む
・歯みがきの時間が短い
・食後に歯みがきをしないことがある
・乳歯が生えかけている
・歯の色が茶色や乳白色になっているところがある
・フッ素による対策をしていない
・今までに虫歯治療をしたことがある
・家族でよく虫歯になる人がいる
この中にあてはまるものがひとつでもあれば、虫歯になるリスクは高いと考えられます。早めに歯医者さんで診てもらうことをおすすめします。
4.乳歯の虫歯予防方法
4-1.食事の時間や正しいセルフケア
子供の歯を守るにはまず何より、虫歯にならないように予防することが大切です。規則正しい食生活と正しいセルフケアを身につけましょう。
・食事やおやつは時間と回数を決める
口内環境は食事後に酸性に傾き、唾液の働きによって自然に中性へと戻っていきます。1日のうちに何度もだらだら食べていると、口の中の酸性状態が続き、歯を溶かして虫歯になりやすくなります。食事やおやつは時間と回数を決めて与えるようにしましょう。
・正しい歯みがきの仕方を身につける
健康な歯を保つには、家庭でのセルフケアも大切です。毎日の歯みがきは、子供のうちにきちんと習慣づけておきましょう。乳歯が生えてきたらまずは清潔なガーゼで口の中を拭いてあげることから始めて、少しずつ歯ブラシを口に入れることに慣れさせていきます。
子供が自分で歯みがきをするようになったら、歯医者さんで歯みがき指導をしてもらうのがおすすめです。
また、フッ素入りの歯みがき粉やデンタルフロス・歯間ブラシを使用するのも虫歯を予防するのに有効だとされています。
4-2.歯医者さんの予防歯科
小児歯科は、虫歯になった歯を治療するだけではありません。虫歯がなくても、予防のために歯医者さんを受診するのは大切なことです。
・フッ素塗布
歯の表面にフッ素を塗ることによって、酸で溶けた歯の再石灰化をうながし、やわらかい乳歯を硬く丈夫にしてくれます。
・シーラント処置
歯ブラシが届きにくい奥歯の溝にプラスチック樹脂を詰めて、汚れがたまりにくくします。
・歯みがきの指導
成長段階によって変わる正しい歯みがきの方法や、親がおこなう仕上げみがきのコツを教わります。
・歯並びのチェック
歯並びが悪く歯みがきがしづらい部分は虫歯になりやすくなるので、歯医者さんにチェックしてもらいましょう。
5.まとめ
子供の虫歯治療については、一般的には3歳頃から始めるのがよいといわれていますが、年齢はあくまで目安なので、子供がきちんとイスに座っていられて、話を理解できるようになってからが治療のタイミングです。無理に虫歯治療をさせてトラウマにならないよう気をつけましょう。
子供でも、虫歯になってしまったら治療の方法は基本的に大人と同じで、歯を削ったり詰め物をしたり場合によっては抜いたりと、痛みを伴うものもあります。 なので、虫歯にならないための予防として、家庭でのセルフケアと定期的に歯医者さんへ通う習慣をつけることが大切です。
子供の乳歯が生えてきたら、虫歯がなくてもまずは、歯医者さんの受診を検討してみてください。
【監修医 遠藤 三樹夫先生のコメント】
子供の歯のケアは親にとってはとても大切で大変な役割です。
最初の乳歯が生え始めるころから生え揃う3歳ころまでは、健診などで診てもらう以外では歯医者さんにかかることはほとんどないため、虫歯の予防は全てお父さんお母さんにかかっています。
この時期の子供の歯のケアの方法についても小児歯科の先生や歯科衛生士さんは相談に乗ってくれるので、わからない事や不安な事は是非聞いてみましょう。
ミルクの与え方や食事やおやつの与え方は特に後々の虫歯のでき方に影響するので注意してください。
【あわせて読みたい】
監修医
遠藤 三樹夫先生
遠藤歯科クリニック 院長
経歴
1983年大阪大学歯学部 卒業
1983年大阪大学歯科口腔外科第一講座 入局
1985年大阪逓信病院(現 NTT西日本大阪病院)歯科 勤務
1988年遠藤歯科クリニック 開業
現在に至る
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