歯のホワイトニング治療では、専用の薬剤を使用して歯の着色汚れを分解します。しかし、強力な薬剤を使用することに不安を感じる方もいるでしょう。日本の歯科医院で使用される薬剤は、適切な使用方法を守って施術を行う限り、安全です。まずはその点について説明します。
この記事の目次
1.歯医者さんの提供するホワイトニングは安全?
知識豊富な歯科医師が正しく施術を行えば、歯科医院で使用される薬剤は基本的に安全です。それでは、ホワイトニングで使用される薬剤について説明していきましょう。
ホワイトニング剤の主成分は過酸化水素
ホワイトニングには、歯医者さんで行うオフィスホワイトニングと、自宅で行うホームホワイトニングの2種類があります。これらのホワイトニング剤には、一般的に過酸化水素や過酸化尿素が含まれています。消毒用のオキシドールと同じ成分が含まれているため安全に思われがちですが、不用意に口の中に入れると火傷の恐れがあります。過酸化尿素は酸化反応の際に過酸化水素に変化します。
オフィスホワイトニングで使われる薬剤の濃度
オフィスホワイトニングで使用される薬剤の多くは、過酸化水素の濃度が約35%以下です。安全とはいえ、皮膚に付着すると炎症を引き起こすことがあるため、歯科医師は薬剤が歯以外の部分に触れないよう細心の注意を払って施術を行います。
ホームホワイトニングで使われる薬剤の濃度
ホームホワイトニングで使用される薬剤には、一般的に過酸化尿素が含まれています。過酸化尿素は使用時に過酸化水素に分解されるため、漂白の主成分としてはオフィスホワイトニングと同じです。濃度の目安としては、過酸化水素に換算すると約10%~21%となります。
オフィスホワイトニングでは唇や歯茎の保護が必要
オフィスホワイトニングで使用される薬剤は、用法・用量を守って正しく使用すれば危険性は少ないです。しかし、唇や歯茎に付着するとただれることがあるため、施術前に保護を行い、薬剤が歯以外の部分に触れないよう注意します。また、ホームホワイトニングでは、マウストレーにホワイトニング剤を塗布し、自分でトレーを装着しますが、トレーからはみ出して歯茎に付着した薬剤は拭き取るようにしましょう。
2.ホワイトニングを控えた方が良いケースとは
過酸化水素を成分としたホワイトニング剤は、基本的には安全ですが、これは歯の健康状態が良く、ホワイトニングができる条件をクリアしている場合に限ります。以下のような方は、オフィスホワイトニングとホームホワイトニングのどちらでも、ホワイトニングを控えたほうが良いでしょう。
知覚過敏、虫歯、歯周病、ヒビのある歯
これらの状態でホワイトニングを行うと、薬剤がしみたり痛みが生じたりする危険があります。まずは治療して歯の健康を取り戻してから、ホワイトニングを行うことが無難です。
まだ歯の形成が終了していないお子さん
永久歯への生え替わりが完了していなかったり、永久歯が成長途中にあったりするお子さんの場合、歯の成長を妨げる可能性があるため、一般的なホワイトニング剤は使用できません。どうしても気になる場合は、子どものホワイトニングに対応している歯科医院に相談してみましょう。
妊娠や授乳中の期間
ホワイトニング薬剤による具体的な悪影響は報告されていませんが、安全性も証明されていないため、控えた方が無難です。
無カタラーゼ症
無カタラーゼ症は過酸化水素を分解できない体質で、口腔壊死などを引き起こす恐れがあります。事前に歯医者さんで診断を受けることをお勧めします。
光過敏症
オフィスホワイトニングでは、薬剤の反応を促進するために強い光を照射することが一般的です。光過敏症の方は、光を照射しないタイプのホワイトニングを選ぶのが無難です。
3.ホワイトニングの痛みについて
ホワイトニング後に歯が痛くなるのはなぜ?
オフィスホワイトニングなどで高濃度の薬剤を使用する場合、痛みを感じることがあります。これは、薬剤がエナメル質の下にある象牙質まで浸透し、神経を刺激して知覚過敏を引き起こすためです。虫歯があったり、歯にひびが入っていたり、詰め物や被せ物の治療箇所に隙間があったりすると、そこからホワイトニング剤が入り込み、さらに刺激を感じやすくなることもあります。
ホワイトニング後の痛みはどれくらい続くの?
このような痛みはホワイトニング剤による一時的なもので、個人差はありますが、通常は数時間から数日で収まります。もし痛みがひどかったり、長く続いたりする場合は、歯医者さんに相談しましょう。
4.まとめ
歯医者さんが扱うホワイトニング剤は、正しく使用すれば安全です。しかし、場合によってはホワイトニングを控えた方が良いケースもあります。その点をしっかり頭に入れておきましょう。

監修医
小川 隆介先生
後楽園デンタルオフィス 院長
経歴
2005年 日本歯科大学 卒業
2005~2006年 東京医科歯科大学摂食機能構築学 医員
2007~2011年 東京都内歯科医院 副院長
2011年 後楽園デンタルオフィス 院長就任
現在に至る
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