入れ歯安定剤はどうやって選ぶ?タイプ別の特徴まとめ

    入れ歯が口の中で動いてしまうと、話しにくかったり食べ物が噛みづらかったりすることがあります。ドラッグストアでは、入れ歯をしっかり固定するための商品が販売されています。入れ歯安定剤を使うことで、入れ歯の違和感をかなり軽減できるでしょう。

    ここでは、入れ歯安定剤を使用する際の注意点とおすすめの商品についてご紹介します。

    この記事の目次

    1.タイプ別入れ歯安定剤4種類

    粘着力が強い「クリームタイプ」

    このクリーム状の入れ歯安定剤は、入れ歯に塗布して装着するタイプです。粘着力が高く、入れ歯をしっかりと口の中で固定できます。また、入れ歯全体に均一に伸ばしやすいのも特徴です。

    使用後は、入れ歯安定剤を洗い流す必要がありますが、比較的簡単に除去できるため、使い勝手は良好です。ただし、粘着力が強いことはメリットである一方、デメリットにもなり得ます。口の中にクリームが付着した場合、取り除くのに手間がかかることがあります。

     

    長時間使用できる「クッションタイプ」

    クッションタイプの入れ歯安定剤は、主にレジン床の入れ歯に使用されます。クリームタイプに比べてべたつきが少ないのが特徴です。このクッションタイプは、2~3日連続で使用でき、入れ歯と歯茎の間でクッションの役割を果たします。食べ物を食べたときに入れ歯が歯茎に当たって痛いと感じる方におすすめです。

    ただし、注意して伸ばさないと安定剤が均等に広がらず、ムラが生じることがあります。ムラがある状態で使用すると、噛み合わせが悪くなり、顎関節に異常をきたすこともあります。また、クッションタイプは金属床の入れ歯には使用できません。

     

    装着が簡単な「シートタイプ」

    シートタイプの入れ歯安定剤は、クリームタイプや粉末タイプとほぼ同じ成分を含んでいます。クッションタイプとは異なり、厚みを調整する必要がないため装着が簡単で、コンパクトなサイズなので携帯にも便利です。出張や旅行の際に持ち運ぶのに適しています。

    ただし、他の種類に比べて粘着力が弱く、入れ歯が外れやすいというデメリットがあります。

     

    使用感が良い「粉末タイプ」

    さらさらした粉末状の入れ歯安定剤は、均等に広がりやすく、違和感が少ないのが特徴です。使用後は比較的簡単に洗い流せるため、1回の使用量も少なくて済むというメリットがあります。この粉末タイプは、唾液と混ざることで粘度が増し、入れ歯を固定する仕組みです。そのため、ドライマウスなどで唾液量が少ない方には不向きです。

    2.それぞれの入れ歯安定剤の特徴

    クッションタイプ

    少量でもしっかり密着するクッションタイプの入れ歯安定剤があります。この商品は、1回の使用で4~5日間連続して装用しても品質が落ちないことで知られています。口の中で溶けることがないため、唾液のべたつきや食べ物の味が変わるといった不具合もほとんどありません。入れ歯安定剤がついたままでも取り外しが可能で、そのまま入れ歯洗浄剤を使って洗うことができます。また、入れ歯と同じ色合いなので目立ちにくく、外出時にも便利です。

     

    クリームタイプ

    クリームタイプで伸びが良い入れ歯安定剤があります。この商品は、均等に入れ歯に塗布できるため、レジン床だけでなく金属床の入れ歯にも使用可能です。薬剤は長時間使用していると溶けることがありますが、健康に影響はありません。また、さわやかなミントの香りがするタイプもあり、入れ歯を装着した際に心地よいと感じるユーザーも多いです。

     

    シートタイプ

    シートタイプの入れ歯安定剤には、天然海藻から抽出した成分を使用している商品があります。このシートタイプは、入れ歯全体に密着し、唾液と混ざることでさらに固定力が増し、1日中使っても接着力が落ちないのが魅力です。シートはクッションの役割も果たし、歯茎への負担を和らげてくれます。また、取り外しも簡単で、入れ歯のお手入れがしやすいです。さらに、天然海藻成分を使用しているため、安全面でも安心して使えるのが嬉しいポイントです。

     

    粉末タイプ

    粉末タイプの入れ歯安定剤には、天然カラヤガムを固定剤として配合している商品があります。ねばつきがなく、自然な使用感が高く評価されています。手軽に使用できることと自然な使用感から、特に入れ歯を作りたての方におすすめです。また、薬剤を薄く塗布するだけで固定できるため、入れ歯と歯茎の隙間が小さい方にも適しています。

    3.入れ歯安定剤の注意点

    過度に入れ歯安定剤に頼らないこと

    入れ歯安定剤は、入れ歯を使用している方にとって心強い味方です。しかし、入れ歯安定剤を選ぶ前に、現在使用している入れ歯が歯茎に合っているかどうかを確認することが重要です。歯茎の形は常に同じではありません。最初はぴったり合っていた入れ歯も、時間が経つと緩くなることがあります。「今の入れ歯が口の中で簡単に動いてしまう」という理由で入れ歯安定剤を使っている場合は、一度歯医者に相談し、現在の入れ歯を使い続けても良いか確認することをおすすめします。

     

    歯茎が痩せる可能性がある

    入れ歯安定剤は、食事の際などに入れ歯が歯茎に与える刺激を軽減する役割を果たします。これにより歯茎の痛みを和らげることができますが、刺激が減ることで歯茎が痩せてしまう可能性もあります。歯茎が痩せると、入れ歯が緩くなり、安定剤を大量に使用する必要が出てきたり、新しい入れ歯を作り直さなければならないこともあります。

     

    顎が痩せる可能性がある

    クッションタイプの入れ歯安定剤を過度に使用すると、顎が痩せる危険性があります。クッションタイプを使用する際に、毎回安定剤の厚みが異なると、噛み合わせが微妙に変わってしまいます。このような噛み合わせの悪い状態で食事を続けると、顎に大きな負担がかかり、結果として顎が痩せるなどの不具合が生じる可能性があります。

    4.まとめ

    入れ歯安定剤は、入れ歯の使用感を高めるためのアイテムとして知られています。しかし、入れ歯安定剤はあくまで一時的な対処法と考えましょう。現在の入れ歯がフィットしていない場合は、歯科クリニックを訪れて、入れ歯の調整や作り直しを依頼することをおすすめします。

    監修医

    飯田 尚良先生

    飯田歯科医院 院長

    経歴

    1968年 東京歯科大学 卒業
    1968年 飯田歯科医院 開院
    1971年 University of Southern California School of Dentistry(歯内療法学) 留学
    1973年 University of Southern California School of Dentistry(補綴学・歯周病学) 留学
    1983年~2009年 東京歯科大学 講師
    現在に至る

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