入れ歯が痛い!痛みの原因や解消法、予防法を歯科医師が解説

    部分入れ歯を使用しているときに「痛いな」と感じたことはありませんか?部分入れ歯の痛みには、いくつかの原因があります。ここでは、痛みの原因と解決法を紹介します。入れ歯自体に問題がある場合もありますが、手入れをすればすぐに解決できる問題もあります。自分がどのケースに当てはまるかチェックしてみてください。

    この記事の目次

    1.部分入れ歯による痛みの原因

    調整を怠っている

    毎日の食事や会話で口は頻繁に動くため、口内の状態は日々変化します。その影響で、部分入れ歯の噛み合わせも少しずつずれていきます。定期的なチェックと調整を怠ると、部分入れ歯と歯茎が合わなくなり、痛みが生じることがあります。

     

    入れ歯が変形している

    入れ歯が変形してしまうこともあります。特に保険適用のプラスチック製入れ歯は、自費診療の入れ歯に比べて劣化しやすいです。毎日噛んだり食べ物に触れたりすることで、入れ歯がすり減り、噛み合わせが悪くなり、痛みが生じることがあります。

     

    クラスプが歯茎に合っていない

    保険適用の部分入れ歯は、クラスプと呼ばれる金属の留め具で固定されます。しかし、このクラスプが歯茎に合っていないと痛みの原因になります。たとえば、歯茎の形に合っていない場合や、固定が強すぎて歯茎に負担がかかっている場合などが考えられます。

     

    歯茎が痩せてしまった

    入れ歯を作った当初はぴったりでも、口内の変化によって痛みが生じることがあります。たとえば、歯茎が不健康になり、土台となる部分が痩せてしまうことがあります。これは病気ではなく、加齢によっても起こるため注意が必要です。

    2.部分入れ歯による痛みを軽減する方法

    歯医者さんに相談する

    部分入れ歯の痛みの原因を自分で見つけて解決するのは難しいため、痛みを感じたらまず歯医者さんに相談して調整してもらいましょう。調整しても痛みが引かない場合は、他の歯医者さんに相談するのもおすすめです。かかりつけの歯医者さんとは違う見解や、別の治療法や調整方法を提案してもらえることがあります。

     

    歯茎の健康状態をチェックする

    痛みの原因は入れ歯本体だけでなく、自分の歯や歯茎にもあります。日々のお手入れや健康状態を定期的にチェックしましょう。口内の健康を維持していても、加齢により歯茎が痩せることがあります。以前と比べて歯茎が痩せていないか確認することが重要です。

     

    入れ歯安定剤を使用する

    入れ歯がきちんとフィットしていないために痛みが出る場合は、入れ歯安定剤を使ってみるのも良いでしょう。部分入れ歯と口内の間にできたすき間を埋めることで、フィット感が向上することがあります。

    3.部分入れ歯による痛みを予防する方法

    部分入れ歯による痛みを引き起こさないために、以下のことに注意しましょう。

     

    いきなり固いものを食べない

    口内にとって部分入れ歯は異物です。そのため、なじむまでには少し時間がかかります。最初から入れ歯に強い負担をかけるのは控えましょう。特に部分入れ歯の部分でいきなり固いものを食べると、歯茎に合っていないため痛みが生じたり、口内を傷つけてしまう恐れがあります。

     

    できるだけ長時間装着する

    部分入れ歯は、長時間装着していると口内になじんできますが、長時間外していると入れ歯のない状態になじんでしまいます。部分入れ歯は、できるだけ1日中装着しておくのが望ましいです。外すのは寝るときだけにし、長時間の使用を心がけましょう。

     

    寝ている間は装着しない

    就寝中は入れ歯を外しておきましょう。寝ている間は口内が活発に動くため、部分入れ歯を装着したままだと歯茎を傷める原因になります。

     

    歯茎に違和感があるときは食事をしない

    歯茎に違和感が続く場合は無理をしないようにしましょう。食事中は入れ歯に負担がかかりやすいので、休みながら食事をしてください。歯茎の違和感が続くと、結果として歯の痛みの原因になります。

     

    大きく口をあけない

    部分入れ歯の痛みは、普段の生活習慣にも原因があることがあります。たとえば、口を大きく開けて話すと、入れ歯が浮き上がってずれることがあります。これが続くと、入れ歯と歯茎が合わなくなり、痛みが生じることがあります。

     

    噛み癖を治す

    普段の噛み方に偏った癖がついていないでしょうか。部分入れ歯の部分ばかりで噛んだり、前歯だけで噛んだりすると、噛み合わせが悪くなり痛みが生じることがあります。癖を治すのは難しいですが、奥歯でゆっくり噛むように心がけ、少しずつ調整していきましょう。噛み癖が治れば痛みが和らぐことがあります。

     

    清潔に保つ

    入れ歯は汚れやすく、一度汚れがつくとなかなか落とせません。また、汚れが残ったままだと口臭が発生しやすくなります。さらに、汚れた状態が続くと他の歯にも悪影響を及ぼすことがあります。部分入れ歯の汚れが原因で虫歯や歯周病になる方も多いため、毎食後に洗浄し、清潔に保つよう心がけましょう。

     

    定期的に歯医者さんで調整してもらう

    長年同じ部分入れ歯を使用していると、次第に合わなくなり痛みが発生することがあります。入れ歯は一度作れば良いというものではなく、定期的に自分の口内に合っているかを確認し、違和感がないかチェックすることが重要です。痛みが出たときは、すぐに歯医者さんで調整してもらいましょう。

    4.入れ歯を見直すタイミング

    部分入れ歯を見直すタイミングはいくつかあります。痛みが出る前に、状態を確認してこのまま使用するかどうかを判断しましょう。

     

    入れ歯が外れやすい

    入れ歯が外れやすくなったら、見直しを検討しましょう。入れ歯が歯茎と合っていないと、こすれたり傷つけたりして痛みの原因になります。

     

    しゃべりづらい

    入れ歯が邪魔でしゃべりにくくなった場合は、入れ歯が合わなくなってきたサインです。すぐには気づかないかもしれませんが、話しづらいと感じたら、入れ歯を見直すタイミングです。一度歯医者さんで調整してもらいましょう。

     

    入れ歯のバネが気になる

    バネの部分が舌に引っかかるなど、入れ歯のバネに違和感がある場合は注意が必要です。部分入れ歯を作ったばかりのころはバネに違和感を覚えることが多く、慣れるまで仕方がありません。しかし、しばらく使用してもバネが気になる場合は調整が必要です。

     

    異臭がする

    毎日きちんと手入れしているにもかかわらず、入れ歯から異臭がする場合は、入れ歯を見直すサインです。いくら手入れをしても臭いが取れないと、使用中に気になってしまい、生活に支障が出ます。新しい入れ歯に取りかえる必要があるかもしれないので、歯医者さんに相談しましょう。

    5.まとめ

    部分入れ歯に痛みが生じる原因はさまざまです。入れ歯自体に問題がある場合もあれば、生活習慣が原因で痛みが出ることもあります。いずれにせよ、独断で原因を突き止めるのではなく、歯医者さんに相談して的確な指示をもらいましょう。また、痛みが出る前に、多少の違和感を覚えた段階で見直すことをおすすめします。痛みを事前に防ぐために、早めに対策をとることが重要です。

    監修医

    飯田 尚良先生

    飯田歯科医院 院長

    経歴

    1968年 東京歯科大学 卒業
    1968年 飯田歯科医院 開院
    1971年 University of Southern California School of Dentistry(歯内療法学) 留学
    1973年 University of Southern California School of Dentistry(補綴学・歯周病学) 留学
    1983年~2009年 東京歯科大学 講師
    現在に至る

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