インプラント治療を考えている方で、高い治療費や外科的手術が必要なことをハードルに感じている人も少なくないはずです。その際比較されるのが、ブリッジを利用した治療法です。
この記事では、インプラントとブリッジの違い、それぞれの詳しい治療内容をまとめています。歯並びが気になる、抜歯をして歯がないなど、これから治療を検討する方は要チェックの内容です。
この記事の目次
1.インプラントとブリッジの違い
インプラントとブリッジにはそれぞれメリットとデメリットがあります。自身の状況や希望に合った治療法を選択することが大切です。
歯を削るかどうか
インプラントとブリッジの大きな違いは、「歯を削るか、削らないか」という点です。ブリッジでは歯を固定するために、抜歯した周囲の歯を削る必要があります。
これは、健康な歯に負担をかけるというデメリットがあります。一方、インプラントは人工の歯根を顎の骨に埋め込むため、周囲の歯に負担をかけずに済むのがメリットです。
見た目の自然さ
インプラントはブリッジよりも自然な見た目に仕上げることが可能です。ブリッジも見た目に違和感は少ないですが、使用するブリッジによっては内側の金属が露出する可能性があります。インプラントは歯根に義歯を被せるため、そのような心配はありません。
噛む力への強度
インプラントは強い力でものを噛んでも安定します。しかし、ブリッジの場合、失った歯にかかる力を左右の歯で分担する必要があります。これが長期的に大きな負担となり、支えになる歯が割れることもあります。また、ブリッジをかける歯の状態にもよりますが、噛む力は天然の歯よりも劣ります。
治療にかかる費用
インプラントは1本あたり30万円前後が目安で、高額な治療費が必要です。ブリッジも保険適用内での治療であれば安価ですが、審美目的などで保険適用外になる可能性もあります。費用対効果を考えて、インプラントかブリッジか、納得できる治療法を選択することが重要です。
耐用年数に大きな違い
ブリッジは平均で8年程度の耐用年数とされています。しかし、インプラントはきちんとメンテナンスをすれば30年は持つとされ、とても長い期間使用できる義歯です。インプラントは1回の治療に高い費用が必要ですが、8年程度で作り替える必要があるブリッジと比べると、結果としてトータルの費用は抑えられることもあります。
必ず30年使えるという保証はありませんが、メンテナンス次第で長持ちさせられる可能性がある点はメリットです。
治療期間の違い
ブリッジは単純なものであれば短期間で治療が終わります。ただし、抜歯後は2〜3か月おくなど、抜歯からブリッジの装着までは時間がかかることがあります。
ブリッジそのものであれば、1週間程度で装着することが可能です。インプラントの場合は、治療に短くて3か月、場合によっては1年程度の時間がかかることもあります。
2.インプラントの治療の流れ
カウンセリング
まず、口腔内の検査を行い、治療法や費用、治療期間などを歯科医と相談します。歯や顎の骨の状態、体調などによっては、この時点で治療が難しいと判断されることもあります。治療の流れを説明してもらい、自分がインプラント治療を受けられるかどうかを確認します。
精密検査
歯科用のCTを使用して、インプラントを埋め込む部分の詳細な検査を行います。インプラントは顎の骨に埋め込むため、骨の厚みや状態を確認する必要があります。ここで、インプラントのサイズや角度、本数などの詳細な計画を立てます。
一次手術
歯肉を切開し、顎の骨にインプラントを埋め込みます。骨とインプラントが結合するまでには、2か月から半年の期間が必要です。この期間中、歯科医から指示されたケアをしっかりと行うことが重要です。炎症などが起こることもあるため、注意が必要です。
二次手術
人工の歯を装着するための支柱(アバットメント)を取り付けます。この時点で人工の歯の作成を開始し、完成までには1〜6週間かかります。装着完了までにはまだ時間がかかります。
上部構造を装着する
人工の歯が完成したら、上部構造を装着します。これにより、自分の歯のような感覚を得ることができます。装着後は、歯科医の指示に従い、定期的なケアやメンテナンスを行うことが大切です。
3.ブリッジの治療の流れ
抜歯~前準備
歯が残っている場合、まず抜歯を行います。抜歯後、ブリッジの型を取るまでに最低でも2~3か月間、骨の状態が改善するのを待ちます。これは、歯茎の状態が安定してからでないと、ブリッジに隙間ができたり、歯茎にブリッジが食い込んだりするリスクがあるためです。
土台となる歯を削る
ブリッジは欠損した歯の隣の歯を支柱にして被せ物を固定する治療法です。まず、土台となる歯に麻酔をかけて削ります。さらに、土台の歯が割れないように、グラスファイバーの芯や強化プラスチックなどで補強します。
型を取る
被せ物を作るために、土台の型を取ります。噛み合わせを調整するために、歯を抜いてブリッジを装着する部分と、噛み合わせを確認するために反対側の型も取ります。型取りには粘土のような素材を使用します。
上下の噛合せも記録
ブリッジの被せ物を作る期間は約1週間です。その間、仮歯を入れますが、噛み合わせがずれないように正しい上下の噛み合わせを記録します。
被せ物を固定
ブリッジの被せ物は、だいたい1週間、セラミックなど特別な材質のものなら1〜2週間で完成します。噛み合わせを調整しながら、違和感がないように微調整を行い、最終的な位置を決定します。最後にセメントで固定して治療は完了です。
セメントが固まるまでに約30分かかるため、その間は飲食を控える必要があります。歯科医の指示をしっかりと守ることが大切です。
4.まとめ
ブリッジやインプラントの選択は、欠損した歯の位置や本数、残っている歯の状態によって異なります。例えば、ブリッジは3本の歯が連続で欠損している場合には利用できないため、状況に応じて選択肢が変わります。
また、治療の目的も重要な要素です。見た目を重視するのか、しっかりと噛む機能を求めるのかなど、患者さん自身の希望を明確にすることが必要です。最終的には、納得するまで医師に相談し、ブリッジとインプラントのメリット・デメリットを比較して、自分に合った治療法を選ぶことが大切です。

監修医
鄭 尚賢先生
アイボリー歯科クリニック 顧問
経歴
1999年 渋谷教育学園幕張高等学校 卒業
2005年 東京歯科大学 卒業
2005年 ドルフィン歯科(千葉県佐倉市) 勤務
2005年 スウェーデンデンタルセンター (東京都千代田区) 勤務
2007年 駿河台下デンタルオフィス 開業 (東京都千代田区)
2008年 アイボリー歯科クリニック 開業 (東京都八王子市)
2010年 医療法人社団パーフェクトスマイル 設立
2014年 三鷹駅前デンタルオフィス開業 (東京都三鷹市)
2016年 荻窪駅前デンタルオフィス 開業 (東京都杉並区)
2018年 吉祥寺デンタルオフィス 開業 (東京都武蔵野市)
2024年 顧問 就任
現在に至る
取得資格・専門医資格
日本歯周病学会 歯周病専門医
この記事は役にたちましたか?
- すごく
- いいね
- ふつう
- あまり
- ぜんぜん