歯周病って治るの!?歯周病を治す治療法とは

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「歯周病は治すことができない病気」という話を耳にしたことがあるかもしれません。歯周病になってしまったからと諦めて治療を受けずに放置しておくと、どんどん悪化して歯が抜け落ちてしまうこともあります。

ですが、歯周病で組織が破壊されたとしても、再生できる治療法はちゃんと存在します。正しい知識を身につけて、できるだけ早めに歯医者さんで治療を受けるようにしましょう。

この記事の目次

1.歯周病は治る?

 

歯周病で悩む方は少なくありません。歯周病は治すことができるのでしょうか?

 

歯周病は治すことができる

歯周病の治療は1960年代には確立しており、今では「治る病気」とされています。とはいえ、どのような状態を「治る」と考えるかは人によって異なるでしょう。とらえ方によっては「治らない病気」ともいえます。そのあたりの曖昧な部分を勘違いしないように、歯周病の治療法を正しく理解しておく必要があるのです。

 

再発のリスクはある

「歯周病は治る」とはいうものの、治療を受けても歯磨きをきちんとしない生活を続けていれば再発するのは当然です。歯周病は予防できる病気ですから、治療した後の歯磨きの仕方や生活習慣を見直すことも重要なのです。

 

壊れた組織も治療できる

歯周病が重症化すると、歯茎の組織や歯茎を支えている骨が破壊されていきます。歯周病が悪化して歯茎の骨が溶けてしまうと、自然に元の状態に戻ることはありません。

しかし、歯周病で破壊された組織や骨を再生する治療法は開発されています。症状に合わせた治療を受けられる可能性があるので、諦める必要はないのです。

2.歯茎の見た目を回復する再生治療

 

歯周病で破壊された歯茎を再生する治療をして、見た目を回復することができます。歯周病が進行すると、歯茎が下がり歯が長く見えるようになってきます。このような場合でも再生治療を受けて改善が可能なのです。

 

結合組織移植術

上あごの奥歯の内側にある歯茎を採取して、歯茎が下がっている部分の、表面の皮と骨の外側の膜の間に移植する治療です。
歯茎を移植することにより、やせてしまった歯茎を補います。歯茎の下がり具合がひどいケースでは歯茎を移植するだけでは足りないので、やけど治療などで用いられる皮膚の移植材を使用することもあります。

 

歯肉弁側方移動術

歯茎の位置を移動して、歯茎が下がって表にあらわれてしまった歯の根っこ部分を覆う治療です。両隣の歯の歯茎をひっぱって移動し、露出したところを覆います。

 

歯肉弁歯冠側移動術

歯肉弁側方移動術と同様に、歯茎の位置を移動して露出した歯の根元部分を覆う治療法です。こちらの場合は、同じ歯の根元のほうの歯茎を歯の頭のほうに引っぱって移動させます。

3.歯茎を支えている骨を復活させる骨移植

歯周病で溶けてしまった歯茎の骨のあった部分に、自分の骨や人工の骨を移植する治療を行います。失われた歯茎の骨に新たに骨をつくるので、深くなってしまった歯周ポケットも改善できるというメリットがあります。ブラッシングがしやすくなり、歯周病の進行や再発のリスクも抑えられるでしょう。

 

自家骨移植

あごや腸骨など、自分の骨を採取して移植する方法です。自分の骨を移植するので体になじみやすく、リスクが比較的少ないのが特徴といえます。ただし、骨を採取する手術も行わなければなりません。そのぶん体へのダメージが増えるのが難点です。

 

他家骨移植

他家骨移植とは、自分以外の骨を移植する方法のことです。ヒト由来の材料や牛骨などを適切に処理したものを移植します。自分の骨を採取する必要がないので体へのダメージは少なく、骨を多く移植する必要があるケースに向いています。安全性についても、ほぼ問題はないとされています。

 

人工骨移植

人工骨移植とはその名の通り、人工的に素材を合成して作られた骨を患部に移植する方法です。他家骨移植と同じく、自分の骨を使わないので、多くの骨が必要な場合に適しています。ただし、ほかの方法に比べて臨床成績が低いといわれています。入手のしやすさと、菌の感染リスクが全くないという点はメリットといえます。

4.歯周組織を再生させるエムドゲイン

 

歯周病で溶けてしまった歯茎の骨や歯の根元部分の膜などの歯周組織を再生する治療です。エムドゲインとは、歯が生えてくるときに欠かせない働きをするタンパク質を含んだ薬のこと。このエムドゲインを用いて、歯が生えてくるときと似たような環境をつくることで、歯周組織の再生を促すのです。

ただし、エムドゲインを使用した治療は重度の歯周病には効果が期待できません。

 

エムドゲイン治療の流れ

麻酔をかけて、治療したい部分の歯茎にメスを入れて切開します。切開した歯茎を部分的にはがして、歯の根の表面にこびりついている歯石を除去して、汚れを洗い流します。その後、きれいに清掃した歯の根の表面に、歯周組織の再生を促すエムドゲインを塗り、はがした歯茎を元にもどしてから縫い合わせて終了です。

5.人工膜を挿入するGTR(歯周組織誘導法)

GTR(歯周組織誘導法)は、歯周病によって溶かされてしまった歯茎の骨や歯の根の膜などの歯周組織を再生する治療のひとつです。歯と歯茎の間にある歯周ポケットと呼ばれるすき間にたまっている歯垢や歯石を取り除いて、骨が失われた部分に「メンブレン」という人工膜を差し込みます。

こうしてメンブレンを挿入しておくと、歯茎が下がるのを食い止めながら、歯周組織の再生するスペースを確保できるのです。メンブレンを一定期間入れておくことで、歯周組織の再生が誘導されます。

 

GTR治療の流れ

麻酔をかけて、治療したい部分の歯茎を切開します。歯の根の表面に付着している歯石などの汚れを取り除いてきれいな状態にしてから、骨が失われたところにメンブレンを挿入して覆い、切り開いた歯茎を縫い合わせます。

6.まとめ

ご紹介したように、歯周病の治療はいくつかあるので、症状に適した治療を受けることができれば、「治る」と考えていいでしょう。どのような治療が必要かは個人によって異なるので、歯医者さんとよく相談してください。

ただし、治療を受ければ再発しないわけではありません。歯周病は再発リスクが非常に高い病気ですから、治療後も常に予防に努める必要があります。歯周病予防の基本となる毎日の歯みがきに加え、歯医者さんでの定期検診とクリーニングは欠かさず受けてくださいね。

監修医

遠藤 三樹夫先生

遠藤歯科クリニック 院長

経歴

1983年大阪大学歯学部 卒業
1983年大阪大学歯科口腔外科第一講座 入局
1985年大阪逓信病院(現 NTT西日本大阪病院)歯科 勤務
1988年遠藤歯科クリニック 開業
 現在に至る

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