見た目の悪さだけじゃない!受け口の弊害とさまざまな矯正法

下顎が出っ張って、横顔がしゃくれた感じになり、不正咬合の中でも、特に見た目が悪いのが受け口です。顎の骨格上の違いから、受け口は欧米人には比較的少なく、日本人に多い不正咬合の一つとなっています。
この記事では、受け口になる原因やさまざまな弊害、受け口を改善するための一般的な治療法について、詳しくご説明します。また、顎に著しい異常が認められる場合には、保険が適用できるケースもあります。

反対咬合や下顎前突とも言われる受け口とは?

受け口とは?

上の前歯は下の前歯よりも、前に出る形でおよそ2ミリ程度、噛み合わさるのが理想的です。それとは逆に、下の前歯が上の前歯よりも前方になる不正咬合を受け口といいます。噛み合わせが反対になり下顎が出て見えるので、反対咬合や下顎前突(かがくぜんとつ)とも言われています。歯列の乱れによるものもあれば、顎の位置自体の異常によるものまで、症例はさまざまです。

受け口の原因

先天的な要因としては、上顎が小さい(あるいは下顎が大きい)ことが上げられます。後天的な要因としては、前歯の生え変わりが上手く行かないことで、反対に噛み合わさってしまう場合もあります。また、指しゃぶりや舌で歯を押す癖なども受け口の原因となります。

・上顎が小さい(下顎が大きい)
・前歯の生え変わり時期の不具合
・指しゃぶりや舌癖

受け口の弊害

前歯が反対に噛み合わさるので、上手く噛むことができなかったり、飲み込みにくかったりするケースもあります。十分な咀嚼ができないと胃腸にも負担がかかります。また、特にサ行やタ行などが発音しにくくなります。さらに、歯が噛み合わさる際の自浄作用が働かず、虫歯や歯周病にもかかりやすいものです。もちろん、横顔がしゃくれた感じになり、見た目の印象も悪いものとなります。

・しゃくれた感じになり見た目が悪い
・十分に咀嚼できない
・飲み込みにくい
・サ行、タ行が発音しにくい
・口内環境が悪化しやすい

受け口を放置した場合の弊害

噛み合わせが逆でも、それなりに噛めると思っている方もいるかもしれません。しかし、そのまま放置しておけば、下顎に負担がかかり、不具合が悪化してくるリスクもあります。下顎の骨がズレて、受け口の程度が大きくなったり、それに伴って、口を閉じにくくなったりもします。また、顎関節に負担がかかり、噛む時に異音や痛みを感じるなど、顎関節症にもつながる可能性があります。もちろん、咀嚼が不十分になるので、胃腸にも継続的な負担がかかります。

・下顎が前方にズレてくる
・顎関節症
・口が閉じにくくなる
・胃腸に負担がかかる

受け口のさまざまな治療法

マウスピース矯正(軽度の場合)

受け口が大きなデコボコを伴っておらず、ある程度、歯列が整っている場合にはマウスピース矯正でも治療できます。これは、少しずつ形の違うマウスピースを定期的に交換することで、徐々に歯並びを整えていく方法です。

ブラケット矯正

歯の大きな捻れやデコボコがある場合の受け口では、ブラケット矯正が主体になります。これは、歯にワイヤーを固定して、その弾力を使って、歯を動かす矯正法です。また、矯正装置を歯の裏側に付ける裏側矯正もあります。裏側矯正は、特に前歯を内側に引っ張る際に有効な方法です。

インプラント矯正

下の前歯が大きく前方に突出している場合など、歯列全体を大きく動かす場合にはインプラント矯正も有効です。これは、顎の骨にチタン製のネジを埋め込んで、それを矯正の支点にする方法です。支点が動かないので矯正力が高く、治療期間を短くしたり、歯を移動するスペースを作るための抜歯も避けられるというメリットがあります。

乳歯期は専用マウスピースやMFT

乳歯期での受け口の治療では、主に舌のポジションを正し、上顎の拡大を促すことが主体になります。舌は何もしていない状態では、前歯の少し手前に付くことが理想です。正しく舌を動かすと、上顎にピッタリと収まるようになり、上顎を押し広げる力になります。舌のポジションを正すための専用マウスピースを使ったり、舌の筋肉を正しく使えるようにするMFTと呼ばれる口腔筋機能療法などを行います。

顎の手術が効果的なケースもあります

2では、受け口のさまざまな矯正法をご紹介しましたが、これは歯列のみを動かすものです。しかし、受け口の根本的な原因が、顎の骨にある場合、歯列の移動だけでは、根本的な改善が難しいケースもあります。

顎の骨の大きさの異常

先天的に、上顎が小さい、あるいは上顎と比較して下顎が大きい場合など、顎の骨の大きさ自体の問題によって、受け口になる場合には、顎の骨の手術をするのが、効果的な治療法の一つとなります。

顎の骨の位置異常

下顎の位置が前方にズレているケースもあります。先天的な場合もありますし、受け口の状態が長年続くことによって、下顎の位置がズレてしまうこともあります。下顎が大きくズレている場合には、顎の手術が有効な治療法の一つとなります。

どんな手術をするの?

受け口の顎の手術では、主に下顎枝矢状分割術という術式を行います。これは、下顎の付け根付近の骨を切断して、下顎全体を後退させるための手術となります。切断部を少し後方にずらした後、骨をチタンのボルトで固定します。手術痕もほとんど目立たないものです。

顎の手術が必要な場合は保険が適用できます

受け口を歯列矯正だけで治す場合には、健康保険の適用外ですが、顎の手術をする必要が認められた場合には、健康保険の適用が可能となります。顎の手術というと、少しためらってしまうかもしれませんが、さまざまなメリットがあるものです。

保険適用の条件

保険適用の条件の一つは、まず顎口腔機能診断施設と指定される医療機関で顎変形症と認定されることです。そして、自立支援医療機関(育成医療・更生医療)あるいは顎口腔機能診断施設で、顎の外科手術を含む、所定の治療手順に従った治療が必要となります。術前の歯列矯正、外科手術、術後矯正というのが、治療の主な流れとなります。

保険治療のメリット

・治療費が抑えられる

自費で同じような治療を行うと、およそ200万円程度必要となります。保険が適用されれば、およそ40万円から50万円程度で済みます。

・大きな改善が期待できる

下の顎が大きく出ている場合、歯列の移動だけでは治療に限界があります。外科手術を併用することで、受け口の大きな改善が期待できます。

・歯の組織への負担が少ない

歯列矯正だけで治す場合には、症例の程度が重い場合、治療期間が長くかかることもあります。その間、矯正装置を付け、歯の組織に力を加えることになるので、歯の組織にも大きな負担がかかります。

・治療期間を短縮できる可能性がある

顎の骨自体を動かすことで、歯列を大きく動かす必要が少なくなり、矯正装置を付ける期間を短縮できる可能性があります。また、歯列だけを動かすよりも、トータルで治療期間全体の短縮にもつながります。

 

まとめ
受け口の主な原因は、上顎が小さいことにあります。また下の歯を舌で押す舌癖なども関わっています。従って、乳歯期の治療では、上顎の成長を促す治療がメインとなります。大人の矯正の場合には、マウスピースやブラケット矯正など、歯列を動かす治療が主体となりますが、顎の位置異常などが認められる場合には、外科手術を併用した矯正においては、健康保険を適用することも可能です。

監修医 松岡浩司先生

松岡歯科クリニック

住所
愛知県名古屋市名東区西山本通2丁目12 エミナンス松岡1階
デジタル診察券
ページトップへ