せっかく歯を白くするためにホワイトニングしたのに冷たいものを食べたらキーンとなった…それは知覚過敏かもしれません。ホワイトニング後に知覚過敏がひどくなってしまう原因とそれに対する対策をまとめました。
また知覚過敏の症状や、紛らわしい虫歯の痛みとの違いも紹介しています。この記事を見ればホワイトニングの施術前に歯医者さんに行きたくなるかもしれません。
1.ホワイトニング後の知覚過敏の対処方法
1-1 24時間は冷たい飲食物などを控える
知覚過敏は、歯の表面にある被膜(唾液から作られたタンパク性の被膜)、ペリクル層が剥がれて起こります。ペリクル層は24時間程度で、再度自然に作られます。すると痛み・しみる感覚・知覚過敏を感じなくなるのです。
そのため24時間以内は冷たい、熱い、辛いなど刺激がある飲食物を摂らないようにしてください。特に濃度が高い薬剤の使用、または長時間のホワイトニング、頻度が高いことで知覚過敏を引き起こしますので気を付けましょう。
1-2 痛みがひどい時は鎮痛剤を処方
ホワイトニング後、痛みがおさまらない場合は、市販でも購入が可能な「ロキソニンS」などの鎮痛薬を飲むことをおすすめします。一般的にはそのまま時間が経過すれば痛みも少なくなってくると言われていますが、2日以上痛みが続く場合は原因が知覚過敏ではない可能性があります。痛みが続く方は早めに歯医者さんで診てもらいましょう。
1-3 虫歯がある場合は治療を行う
虫歯があるとその部分から薬剤がしみて知覚過敏の症状となります。きちんとした歯医者さんであればホワトニング前にチェックしてくれますが、セルフホワイトニングは専門医がいない場合もあるので、施術前に歯医者さんで虫歯などないか調べてもらいましょう。
特にここ最近歯医者さんに通っていないという人は要注意です!自覚症状がなくても虫歯が進行していることがあるので治療を行ってもらってください。
1-4 レーザー治療を行う
知覚過敏にレーザー治療を行うと歯の表面を薄い膜が覆い、凸凹やエナメルが剥げた部分を塞ぐことで、象牙質から繋がる神経を守ってくれます。レーザーという名前から痛そうなイメージもしますが、歯科治療で使われるレーザーは、ほんの少し照射されるだけで、痛みを感じにくいものがほとんどです。
1-5 歯の神経を抜く
上に記した治療を行なっても全く効果がない場合、最後の手段として神経を抜くという治療もあります。 歯の神経を抜くことで知覚過敏の痛み、しみるという症状はなくなります。しかし歯の神経がなくなると「失活歯」と呼ばれるように歯がもろくなってしまいます。 またそれだけでなく、変色して黒ずみが出る、割れやすくなる、虫歯が進行するなどデメリットもあります。あくまで痛みを消す最終手段なのであまりおすすめできません。
1-6 コーティング剤を使う
歯と同成分のハイドロキシアパタイトというものには歯を修復する働きがあります。その中でも細かいナノ粒子の場合、神経に繋がっている歯の象牙質という層の中まで入ります。そして刺激の元をブロックする痛みを抑えられるのです。
この成分が入った歯磨き粉などを使って歯をコーティングして痛みを緩和させます。また最近ではハイドロキシナノアパタイトが入った歯を守るコーティング剤を薬剤を使う前に塗布したり、薬剤に直接配合して痛みを抑えることも可能です。
1-7 知覚過敏専用またはフッ素配合の歯磨き粉を使う
知覚過敏用の歯磨き粉には硝酸カリウムという成分が配合されており、刺激を抑える効果があるため知覚過敏の痛みを緩和してくれます。また、歯のエナメル質を強くして象牙質を守ってくれるフッ素入り歯磨き粉やジェル、洗口剤などもおすすめです。普段より長く口に含めば痛みを和らげてくれます。
2.ホワイトニング後に知覚過敏になる原因
2-1 歯ぎしりで象牙質が剥き出しになる
夜知らないうちに歯ぎしりをしていませんか。歯ぎしりをすることで歯の表面のエナメル質という層が剥がれ、その奥の象牙質が剥き出しになっていることがあります。その部分にホワイトニングの薬剤が付着すると痛みを感じます。
また知覚過敏だけでなく、歯ぎしりで象牙質が剥き出しになっていると虫歯になりやすい環境となってしまいます。
2-2 歯の表面の傷
食事をしたり歯磨きをしたりすることで歯の表面には細かいひびや傷がたくさんついている場合があります。その傷が表面だけでとどまっていれば大丈夫ですがエナメル質を超えて象牙質まで到達していると知覚過敏を起こし少しの刺激でも痛むことがあります。
特に研磨剤入りの歯磨き粉を使っていると歯の表面が凸凹となり荒れてしまいます。
2-3 歯の根のくぼみ
ゴシゴシ力任せな歯磨きや、歯ぎしりが要因となり歯の根元部分が痩せてきている、もしくは年齢を重ねるとともにエナメル質が薄くなることでホワイトニングの薬剤がしみて知覚過敏の症状となります。
2-4 虫歯などの欠陥による歯の隙間
例えば昔、虫歯の治療として詰めものをした箇所にスキマがあることでホワイトニング剤が歯の内部まで入り込んでしまうことがあります。それは新たに虫歯が進行してしまった場合や詰め物の金属が欠損してしまった場合に起こります。そのようなスキマがないか、虫歯跡の詰めものなどが劣化していないかなど歯医者さんで詳しく診てもらうことをおすすめします。
2-5 薬剤によって歯が敏感
高濃度の薬剤であればあるほどその中に配合されている過酸化水素水、過酸化尿素の濃度が高くなり短時間で白くなるというメリットがあります。
しかしその分知覚過敏になる可能性も高くなるということを覚えておきましょう。
また気を付けなければいけないのは濃度だけではありません。低濃度だとしても長時間ホワイトニング剤を塗布すること、または1日に何度もホワイトニングを行うことで知覚過敏になりやすい状態を作ります。
3.知覚過敏の症状
知覚過敏の症状は以下のようなものです。
・冷たいものや熱いもので歯がしみる
・ブラッシングで毛先が当たってしみる
・甘いものや酸っぱいもので歯がしみる
・歯茎や歯肉が下がることで歯の根元が見えている
・しみるような感覚が飲食をした後10秒くらいで鎮まる
・歯ぎしりのクセがある
・冷たい風で歯がしみる
この中で当てはまる症状が1つでもあれば知覚過敏の可能性があります。また、知覚過敏だからといっていつも歯がしみるような症状が出るわけではなく、エナメル質が剥がれて象牙質が露出していたとしても痛みを感じる時もあれば、少しも感じないこともあるのです。
その時のストレスなど体調や、神経の作用によっても痛みの度合いが違います。時々だとしても歯がしみる症状が1度でもあれば知覚過敏の可能性があるのです。「たまに痛むだけだから…」「激痛ではないから…」と油断して放っておくことで知覚過敏を悪化させる危険性があります。
また、虫歯でも冷たいもの、熱いもの、甘いものなどで歯がしみる症状があります。では虫歯と知覚過敏の痛みの違いは何でしょうか。虫歯の痛みというのは知覚過敏とは違い慢性的です。
ズキズキといつまでも痛んでいる場合は虫歯、逆にほんの一瞬だけ痛むような場合は知覚過敏の可能性が高まります。さらに、知覚過敏の症状としては虫歯周辺をたたいても痛くありません。しかし虫歯であれば響くような痛みがあるはずです。
4.まとめ
ホワイトニングをする前には必ず歯医者さんで一度検査を受けることが大切です。口内環境が整っていない虫歯などがある状態のままホワイトニングをしてしまうとしみる、痛みなどの不調が出てしまいます。
また施術後に起こる痛みは、通常一過性のもので約1日経てばおさまり少しずつ痛みも鎮まるものです。
人によってもしみやすい人とそうでない人がいて、前者であれば歯医者さんに相談しホワイトニング薬剤を低濃度のものにする、回数を減らす、時間を短くするなど対策をうっておくと安心です。
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監修医野崎康弘先生
医療法人社団 医康会 ジェイエムビル歯科医院 院長
■院長経歴
1990年 日本歯科大学 卒業
1990年~1995年 医療法人社団医恵会 勤務
1996年 ジェイエムビル歯科医院 開院