ホワイトニングに興味がある、お友達がホワイトニングをしたなど、自分もやってみようかどうか考えているという方に、ホワイトニングをすると決める前に知っておいていただきたいことをご説明します。思い切ってやってみたものの、もっとこうなって欲しかった、こんなはずじゃなかったのに…などの不満ばかりが残ってしまうことのないよう、ぜひお読みになって下さい。
ホワイトニングのデメリットを知っておくことで、こんなこともあるのかと心の余裕が生まれます。まずは、知ることから始めましょう。
※ 掲載する平均費用はあくまでユーザー様のご参考のために提示したものであり、施術内容、症状等により、施術費用は変動することが考えられます。必ず各院の治療方針をお確かめの上、ご自身の症例にあった歯医者さんをお選びください。
1.オフィスホワイトニングのデメリット
1-1 仕上がりについて
知識や経験が豊富な歯医者さんが、専用の設備や薬剤を使って施術をし、清潔感にあふれる白い歯がすぐに手に入ること。これが、オフィスホワイトニングのメリットです。しかし、例外もあります。
オフィスホワイトニングでは、1回の施術で思ったような白さに仕上がらないことがあります。また、歯医者さんの施術であっても、歯の特徴により色ムラが出ることがあります。歯の厚みの違いやホワイトニングの効果が出にくい部分があることなどにより、想定した白さや均一な白さにならないことがあるからです。これは、常に起こるということではなく、個人差が大きいため、実際のところは施術をしてみないと分からないと言わざるを得ません。しかし、ホワイトニングを続けていくことで目立たなくなり、解消されます。
また、ホワイトニングの効果は永久ではなく、徐々に色戻りをします。1回の施術で効果が続く期間は3~6カ月程度で、オフィスホワイトニングは効果がすぐに表れる分、色戻りが早いと言われています。
1-2 歯への影響
ホワイトニング剤を使うことによる歯への影響には、どのようなものがあるのでしょうか。
・歯の表面が荒れやすい
ホワイトニング剤の主な成分は、オフィスホワイトニングの場合、過酸化水素という物質です。このホワイトニング剤を使用すると、普段は歯の表面にある保護膜を溶かしてしまうため、歯の表面が荒れやすくなります。24~48時間程度で保護膜は回復しますが、その間は特に注意が必要です。
・知覚過敏になりやすい
また、ホワイトニング剤の影響で知覚過敏になりやすいと言われています。薬剤が歯の神経に強い刺激を与えてしまうため、神経が敏感になりやすいのです。オフィスホワイトニングで使用する薬剤はホームホワイトニングのものより濃度が高いため、知覚過敏になりやすいのです。知覚過敏になってしまった場合、数ヵ月ほどで回復します。
1-3 費用
オフィスホワイトニングは健康保険の適用外ですので、全額自費で支払います。健康保険が適用される場合は、ご自身の負担割合に応じて1~3割を自己負担しますが、適用されない分高くなります。1万円程度が相場と言われていますが、中には10万円を超えるところもあるようです。
自由診療と言って、歯医者さんが自由に料金設定をして良い分野なので、このような差が出ます。料金が異なるのは、立地やホワイトニングで使用する設備、扱うホワイトニング剤、人件費などによるものです。追加の施術にも都度お金がかかりますので、初期費用だけでなく、その後の費用についても予め確認しておくと良いでしょう。
1-4 お手入れ
ホワイトニングの効果は永久ではありませんので、いずれ色戻りをします。つまり、一度ホワイトニングをすると、その白さを維持するためにはメンテナンス(タッチアップ)が必要になるということです。どのようなメンテナンスがどの程度必要なのか、歯医者さんにやってもらうのか、自分でできるのか、必要な用具など、事前に知っておくと慌てずに済むでしょうし、負担感も軽減されるでしょう。
2.ホームホワイトニングのデメリット
2-1 仕上がりについて
・時間がかかる
ホームホワイトニングはオフィスホワイトニングと違い、弱い薬剤を使いながら時間をかけてゆっくりと白くしていきますので、その効果が表れるまでに時間がかかります。2週間程度でシェードガイドより1段階明るくなる見込みがあると言われています。
・白さの調整が難しい
また、ホームホワイトニングでは歯の白さの調整が難しいと言われています。オフィスホワイトニングでは、歯医者さんが希望の白さに仕上げてくれますが、ホームホワイトニングは自分で行うため、どのような仕上がりになるのか予測がつきにくいという一面があります。
2-2 歯への影響
ホームホワイトニングでは、オフィスホワイトニングで使用する薬剤よりも濃度の低いものを使用しますが、それでも歯に与える影響はあります。過酸化尿素と呼ばれる物質の濃度が10~20%のものを使うと安全性は増しますが、歯の保護膜を溶かしてしまう作用はどちらも同じです。しかし、知覚過敏になる可能性はオフィスホワイトニングより低くなります。
2-3 費用
インターネットの通信販売などで、数千円程度のものから用意されています。歯に塗るだけのタイプのものからマウスピースとホワイトニング剤がセットになったものまで、種類も値段も様々なものがあり、市販品の場合は自己責任で選ぶことになります。マウスピース(トレイ)がどうもしっくりこない、思ったような結果が出ないなどの理由で返品する際も、どのような対応を取る会社なのかしっかりと調べておく必要があります。
歯医者さんでマウスピースを作る場合には、1~3万円程度かかります。安いと捉えるか高いと捉えるかで判断が分かれるところでしょう。
2-4 お手入れ
ホームホワイトニングは、自宅で毎日行います。使う薬剤の濃度が薄い分、効果が出るまでに時間がかかりますので、効果が目に見えるようになる前に嫌になってしまうというケースもあるようです。薬剤の保管やマウスピースなどの道具のお手入れも、自分自身で行います。
また、使用方法や薬剤の量など、きちんと行えているのかどうかの自己判断が難しいという点もあります。マウスピースがしっかりはまっているのか、ホワイトニング剤の量が適切なのかなど、正しくできているのかどうか自分だけでは判断が難しい時にどうするかという問題があります。自分で判断するのが難しい時は、歯医者さんに施術をお願いしましょう。
その場合、歯医者さんに次のことを確認しておくことをお勧めします。
・自分にはどの施術が適切なのか
・施術期間はどれくらいになるのか
・施術料金はどれくらいかかるのか
・思うような白さにならなかった場合の対処は
・追加の施術の料金は
・メンテナンスはどれくらいの頻度で行うのか
・メンテナンスの料金は
・痛みを感じたらどうすれば良いのか
3.ホワイトニングが難しいケース
ホワイトニングを行うのが難しい、もしくは行ってはいけない方がいらっしゃいますので、ご紹介します。
3-1 ホワイトニングを避けた方が良い方
・詰め物や被せ物が多い方
詰め物や被せものが多い方は、自分の歯との色の差が目立つようになってしまいます。その部分も色を揃えるという選択肢もありますが、時間も費用もかかります。また、ホワイトニングをした歯はそのうちに色戻りをし始めるため、あまりお勧めできません。
・人工の歯の方(入れ歯、差し歯)
ホワイトニングは自分の歯であることが前提ですので、入れ歯、差し歯などの人工の歯を白くすることはできません。
・歯にヒビがある方
ホワイトニング剤の強い刺激がヒビから入り、歯がダメージを受ける可能性がありますので、避けるようにして下さい。
・歯の神経を抜いてしまった方
ホワイトニングは、神経が生きている歯に対して有効な方法です。神経を抜いてしまった歯や死んでしまっている歯の場合は効果がありません。
その場合は、ウォーキングブリーチという歯の中に漂白剤を入れて白くする方法が可能です。
・変色の強い方(抗生物質の影響)
抗生物質の影響で歯の変色が強い方は、ホワイトニングの効果が出にくいと言われています。
この場合、神経を取ってウォーキングブリーチをするという方法もありますが、一度歯医者さんに相談してみることをおすすめします。
3-2 ホワイトニングを行ってはいけない方
・無カタラーゼ症の方
ホワイトニング剤に含まれる過酸化水素を分解する酵素がない、無カタラーゼ症の方がいらっしゃいます。万が一体内に取り込まれると、分解されずに残留してしまい、進行性口腔壊死などの重い病気になる可能性がありますので、絶対に行ってはいけません。
・妊娠中、授乳中の方
妊娠中もしくは授乳中の方に問題があったという事例の報告はありませんが、それと同時に妊娠中や授乳中でも安全であると分かっていないため行わないで下さい。赤ちゃんに何かあったら大変ですね。
4.まとめ
オフィスホワイトニングでは、1回の施術では思うような白さにならないことや色ムラが出ることがあります。強い薬剤を使うため、歯の表面が荒れやすく、知覚過敏になりやすいというデメリットもありますし、色戻りの早さや費用の高さも気になるところです。
一方、ホームホワイトニングでは、時間がかかることや白さの調整が難しいことがデメリットとして挙げられます。歯への影響は少なく費用は抑えられるものの、基本的には全て自己責任でホワイトニングを行うことになります。自己判断が難しい場合には、歯医者さんに施術をお願いしましょう。
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監修医貝塚浩二先生
コージ歯科 院長
■院長経歴
1980年 岐阜歯科大学 卒業
1980年~ (医)友歯会ユー歯科~ 箱根、横浜、青山、身延の診療所 勤務
1985年 コージ歯科 開業
1996年~2002年 日本大学松戸歯学部生化学教室 研究生
歯学博士号 取得
2014年 昭和大学 客員講師
現在に至る