自分の歯の色が気になっている方は、白さに不満があるものの、今、自分がどの程度の白さであるかを把握している人は少ないはずです。この記事ではまず、歯の白さを示す指標となっているシェードガイドについて、ご紹介します。今現在の白さのレベルを知り、あと何段階アップすれば、理想的な白さになるのかを把握できれば、モチベーションも高まりますし、施術の回数の目安も分かるはずです。さまざまなホワイトニングシステムに置いて、1回にどの程度白さがアップできるのかを知り、自分に合ったホワイトニング法のチョイスに役立ててください。
1.あなたの白さはどの段階?シェードガイドについて知ろう!
白さを知る基準となるシェードガイド
ホワイトニングで歯が白くなるといっても、どの程度白くなるのか、結構あいまいに思う方もいるでしょう。そこで、白さの段階を示す、具体的な指標となっているのがシェードガイドです。シェードガイドとは、歯の白さを明るい順に並べたスケールで、これを基準にすることで、今の歯の色を把握し、あと何段階アップすべきかを知ることができます。
広く使われるVITAシェードガイド
シェードガイドは、各社からさまざまなタイプのものが作られていますが、VITAシェードガイドというのが一般的です。同じ白でも、赤茶系をA、赤黄系をB、灰色系をC、赤灰色系をDと、4系統に分類して、それを明るさ順に並べ直し、16段階の明るさを示した指標となっています。
結構黄色い?日本人の平均はA3
日本人の歯の色は、欧米人と比較すると黄色みがかっています。これは、日本人のエナメル質が薄く、その下の黄色みがかった象牙質が透けて見えやすいからです。日本人の健康な歯の色は、シェードガイドではA3からA3.5 程度になります。A3であれば、赤茶系のAの中で3番目の明るさとなり、16段階のシェードガイド全体では、9番目の明るさとなります。A3.5であれば、シェードガイドでは16段階で12番目の明るさです。
A1の白さまでは誰でも改善可能です!
シェードガイドによると、日本人の歯は、わりと白さが低いところにありますが、ホワイトニングによって、ほとんどの方がA1の明るさにすることも可能です。A1の明るさとは、赤茶系のAの中でもっとも明るく、VITAシェードガイドの中では、2番目に明るい白です。誰が見ても白い歯く美しい歯に見える白といえます。ただし、そこに到達する速さに関しては、同じではありません。もともとのスタート地点の違いもありますし、ホワイトニングの効きにも個人差があるからです。
2.1回のオフィスホワイトニングでどれだけ白くなる?
たとえば、日本人の平均であるA3の人が、A1の白さにするには、シェードガイドで8段階白くする必要があります。つまり、1回の施術で何段階白くできるかによって、ここに到達するまでの施術回数も変わってきます。ここでは、さまざまなオフィスホワイトニング(歯医者さんで施術するホワイトニング)のシステムで、1回あたりどの程度白くなるか、その目安をご紹介しましょう。ただし、施術の効果には個人差があるので、あくまで参考としてください。
施術1回あたりの白さアップ度比較
ハロゲンライト 1~2段階
松風ハイライト 1~2段階
ビヨンド 2~3段階
マルチアーチホワイトニング 2~4段階
ティオン およそ3段階
レーザー(アルゴンレーザー)4~6段階
スピードホワイトニング 4~6段階
1回のアップ度は高いほうが良い?
さて、上記のように白さのアップ度を比較して並べてみると、アップ度が大きい方が良いと思いがちです。もちろん施術回数が少ない方が、費用がかさむ心配がないといえますが、白さのアップ度は単純にその優劣を示すものではありません。大きく白さをアップするものは、とても痛みを伴う可能性もあります。逆に、アップ度は小さいけど、歯に優しいものもあります。また、そのホワイトニングシステムが自分に合っているかどうかも大切です。ホワイトニングが初めての方は、中程度までのアップ度でトライしてみるのが懸命です。
3.じっくり白くするホームホワイトニング
ホームホワイトニングは、自分でマウスピースを使って薬剤を塗布するものです。毎日数時間程度の塗布を繰り返し、自分の希望する白さになるまで、ホワイトニングを継続します。歯医者さんで施術するオフィスホワイトニングと比較すると、個人が通販などで入手できる薬剤は、白くする成分である過酸化水素の濃度が低くなります。
白くなる段階の目安は?
ホームホワイトニングは、専用マウスピースを使って、自分でホワイトニング剤を塗布し、毎日、数時間程度の施術を継続して行うものです。初日にすぐ白さを実感できるものではありませんが、早くて2、3日、遅くて1週間程度でおよそ1段階、白さがアップします。白くなるスピードには個人差がありますが、2週間から4週間程度でおよそ4段階アップすることができます。さらに継続していけば、A1の白さにすることも可能です。
薬剤の主成分は過酸化尿素
ホームホワイトニングで扱える薬剤は、過酸化尿素です。過酸化尿素は分解されて、過酸化水素を発生しますが、過酸化水素の濃度は3分の1程度となります。つまり、10%の過酸化尿素であれば、過酸化水素の濃度は3%くらいになります。歯医者さんでのオフィスホワイトニング用の薬剤よりもマイルドですが、長期間継続することで、納得できる白さに到達でき、オフィスホワイトニングと比べて後戻りも少なくなります。
代表的なホームホワイトニングジェル
・オパールエッセンス
米国を中心に世界的に人気の高いホワイトニング剤が、オパールエッセンスです。ジェルの粘度が高く、マウスピースで塗布する際に、薬剤がしっかりと歯の表面に広がって流れにくくなっています。また、過酸化水素による歯のダメージの回復を促すフッ素や、知覚過敏の症状を和らげる硝酸カリウムも配合されています。
・ナイトホワイトエクセル
欧米でも定評のあるナイトホワイトエクセルは、就寝中に使用するために作られたホワイトニング剤です。ただし、エナメル質の薄い日本人は、知覚過敏の症状が出やすいので、就寝中の長時間の使用には注意が必要です。その効果は評判が高いものですが、最初は1日2時間程度を目安に、試してみるのが良いでしょう。
・ティオンホーム
日本のメーカーが提供するホームホワイトニング剤が、ティオンホームです。適度な粘り気があり、マウスピース内に均等に広がって、漏れにくくなっています。また、ジェルが白濁しているので、薬剤がまんべんなく広がっているかどうか、目で見て確認しやすくなっています。
・松風ハイライト・シェードアップ
こちらも日本のメーカーによって作られた、ホームホワイトニング剤です。松風ハイライトは、世界に先駆けて作られたホワイトニング剤で、エナメル質の薄い日本人向けに、刺激の少ないものとなっています。
4.白さをキープするのはメンテナンス勝負!
ホワイトニングには後戻りがつきものです。これは、日々の食事による着色などで、元の色へと徐々に戻っていく現象です。ホワイトニング直後には、白さがアップしても、その後の後戻りがあるので、白さをキープするポイントは、この後戻りをいかに軽減するかにあります。
ステインを沈着させないこと
ステインは、歯の表面のペリクル(タンパク質の皮膜)と結びつく、落としにくい汚れです。これを放置すると、やがて、色素がエナメル質に沈着するようになります。ステインに対応した歯磨き粉などを使って、日々の着色汚れを、しっかりと落とすようにしましょう。
着色性の高い食事を見直す
カレーなどの香辛料の強いもの、ワインなどの着色性の高いものなど、飲食物には色の付きやすいものが数多くあります。食生活を見直して、こうした飲食物を控えることでも、後戻りを軽減することができます。
飲食後は口内を洗い流す
毎食後に、ステインを除去する歯磨き粉などで、ブラッシングすることが理想ですが、食後のブラッシングはなかなか面倒なものです。ブラッシングできないときには、水で口内をしっかりゆすぐだけでも、ステインの付着をある程度軽減できます。
定期的なホワイトニング
せっかくホワイトニングして、A1レベルの白さを実現できたとしても、後戻りによって、徐々に、1段階、2段階と白さが落ちてきます。そのまま放置しておけば、最初の歯の色に戻ってしまい、そこから再びA1の白さに戻すのに、同じだけの時間がかかってしまいます。大きく後戻りする前に、定期的なホワイトニングをすることで、手間をかけずに白さを持続することができます。
5.まとめ
日本人の平均的な歯の色はシェードガイドではA3なので、目指す白さをA1とすると、8段階のアップが必要となります。一気に、A1にできる可能性のあるオフィスホワイトニングもありますが、大きな痛みを伴ったり、後戻りが早くなるリスクもあります。ホワイトニング初心者の方は、一気に白くすることを目指さず、3から4段階のアップを2回行うなど、様子を見ながら白くしていくのが懸命です。また、ホームホワイトニングは、オフィスホワイトニングと比較すると、白くする段階をアップするスピードは遅いものですが、時間をかければ希望通りの白さにできますし、後戻りの少ないホワイトニングが可能です。
この記事は役に立った!
監修医松岡浩司先生
松岡歯科クリニック 院長
■院長経歴
1986年 日本歯科大学 卒業
1988年 パール歯科医院 勤務
1995年 松岡歯科クリニック 院長就任
現在に至る