歯の神経を抜くとホワイトニングできない?いえ可能です!

歯の神経を抜くとホワイトニングできない?いえ可能です!

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歯を全体的にホワイトニングしたいけど、神経を抜いて黒ずんだ歯があるという方もいるでしょう。神経がなく黒ずんだ歯は、他の健康な歯と同じような方法ではホワイトニングできませんが、別の方法で白くすることが可能です。この記事では、神経がなく変色した歯に一般的なホワイトニングができない理由や、こうした歯をホワイトニングする特別な方法、ホワイトニング以外の治療法などについて、詳しくご紹介いたします。

この記事の目次

1.神経を抜いた歯は白くできない?

神経を抜いたことにより、黒く変色してしまった歯はホワイトニングできないとされています。ただし、それは歯の表面にホワイトニング薬剤を塗る一般的なホワイトニングができないというもので、神経を抜いた歯でも白くする方法はもちろんあります。具体的な方法に関しては、2章で詳しくお伝えしますが、ここでは、神経を抜いた歯はどうして変色し、なぜ表面的なホワイトニングができないかについてご説明しましょう。

神経を抜いた歯が黒くなる理由

歯の神経を抜くことを抜髄といいますが、これは神経を抜くだけではなく、歯の内部にある血管の組織も取り除くことになります。生きている歯は、血が巡っていることで歯の内部の象牙質に含まれるコラーゲンが維持されますが、血が通わなくなるとこのコラーゲンが劣化して黒ずんできます。また、外傷などによって、歯の内部の神経や血管組織が損傷して、壊死してしまう場合にも、象牙質が黒ずんできます。特に、血液中の鉄分が変色すると、黒ずみも強くなるものです。

なぜ一般的なホワイトニングが効かないの?

一般的なホワイトニングは、歯の表面のエナメル質に沈着した色素を、過酸化水素の作用によって分解するものです。つまり、漂白できるのは歯の表面に限られています。一方、神経が失われたことによる黒ずみは、前述した通り、主に歯の内部の象牙質のコラーゲンや血液が変色しているものなので、一般的なホワイトニングでは白くできないのです。

2.神経を抜いた歯のさまざまなホワイトニング法

神経を抜いた歯の黒ずみを改善するには、歯の表面ではなく、歯の内部の黒ずみをもたらしている色素を分解しなければなりません。つまり、歯の内部にホワイトニング剤を注入して、中から白くする必要があるのです。さまざまな方法をご紹介しましょう。ちなみに、一般的なホワイトニング同様、こちらも保険の適用外となります。

ウォーキングブリーチ

エナメル質に穴を空けて、歯の内部の象牙質にホワイトニング剤を注入する方法が、ウォーキングブリーチです。神経を抜いた歯の黒ずみだけでなく、テトラサイクリン歯(※)にも対応できます。白くする効果は高いのですが、薬剤を入れっぱなしにするので、歯根まで薬剤が浸透してしまうと、歯根の吸収(歯の根が溶けてしまうこと)や痛みをともなうリスクもあります。
※テトラサイクリンは、主に昭和40年代に使われた抗生物質で、歯の内部を灰色に変色させる副作用があり、その作用で変色した歯をテトラサイクリン歯といいます。

メリット デメリット
・歯の内部を白くする効果が高い
・1ヶ月程度(週1回程度の通院)で白くできる
・決められた通院日に薬剤の交換が必要
・歯根の痛みや歯根が吸収するリスクがある

 

インターナルオフィスブリーチ

インターナルオフィスブリーチは、ウォーキングブリーチ同様に、歯の内部にホワイトニング薬剤を注入するものです。その違いは、ホワイトニング薬剤を入れっぱなしにせず、施術後に抜き取ることです。そのため、複数回の施術が必要となる場合もありますが、基本的に一度の施術でも色を少し明るくすることが可能です。また、ウォーキングブリーチよりも安全性が高いものとされています。

メリット デメリット
・白さをコントロールしやすい
・痛みや歯根の吸収などのリスクが少ない
・複数回通わなければならない事もある

 

ブライトスマイルとの併用も可能

ブライトスマイルは、歯の表面をホワイトニングするもので、強い漂白力があるシステムです。これをウォーキングブリーチやインターナルオフィスブリーチと併用することで、歯の表面と内部を同時に漂白し、ホワイトニングの効果を高めることもできます。

3.ホワイトニング以外の方法は?

2章でご紹介した、ホワイトニング剤を注入する方法は、歯自体を白くすることができますが、通院の手間がかかるものです。ここでは、ホワイトニング以外の方法についてご紹介します。

レジンベニア

レジンベニアは、歯の表面にレジン(プラスチック)を盛り付けることで、歯を白くする方法です。歯を削らずに、レジンを盛り付ける方法と、歯を削って整えてから盛り付ける方法があります。レジン素材は他の歯の色と合わせることができますが、着色しやすく、時間とともに黄ばんしまうというデメリットがあります。

ラミネートベニア

歯の表面を0.5ミリ程度削って、つけ爪のようにセラミック製の人工歯を被せるのがラミネートベニアです。セラミックは着色しにくい上、素材の変色も少なく、健康歯に近い透明感がありますが、健康な歯を削らなければならないというデメリットがあります。

ルミネアーズ

セラミックの進化系といわれる、ポーセレンという素材を使った方法がルミネアーズです。ラミネートベニアと同様に、薄い人工歯を歯の表面に貼り付けるものですが、セラミック製の10分の1程度の厚みなので、天然歯を削らない施術も可能です。また、ポーセレンはおよそ25年程度の耐久性があり、セラミック同様に変色の少ない素材として注目されています。

歯のホワイトコート

歯の表面にUVで固まるプラスチック素材をコーティングするのが、ホワイトコートです。塗って固めるものなので、歯を削る必要がなく、神経を抜いて変色した歯はもちろん、銀歯などにもコーティングすることができます。ただし、コーティングの持続期間は1ヶ月から3ヶ月程度と短いものとなっています。

4.ウォーキングブリーチの治療の流れ

神経がなく黒ずんでしまった歯を白くするさまざまな方法をご紹介してきましたが、ここでは、その代表的な方法であるウォーキングブリーチの治療の流れについて、ご説明しましょう。

1. 他の歯に薬剤が付かないようにカバー

ウォーキングブリーチのホワイトニング剤は強いので、他の歯や歯茎などに付かないように保護します。

2. 薬剤を注入する穴を開ける

歯の内部の黒ずんだ象牙質に、薬剤を注入するための穴を空けます。穴は歯の裏側の目立たない部分に空けるようにします。

3. 歯根を塞ぐ処置をする

注入した薬剤が、歯根の先から漏れてしまわないように、歯根を塞ぎます。また、薬剤が歯根から漏れると痛みを生じる場合もあるので、それを防止します。

4.穴から薬剤を注入

準備が整ったら、穴からホワイトニング剤を注入して、薬剤が十分に満たされたら、穴に仮蓋をします。

5. 1週間ほど経過後に薬剤の入れ替え

薬剤を充填したまま、1週間程度間を空けた後、新しい薬剤に入れ替えます。この充填しておく期間を守らないと、白くなりすぎたりといったトラブルの原因になるので、注意が必要です。このプロセスを4回から5回繰り返し、1ヶ月程度でホワイトニングが完了します。

5.まとめ

神経を抜いたり、損傷したりして、歯が黒ずんでしまい、ホワイトニングを諦めていた方もいるはずです。しかし、ウォーキングブリーチをはじめ、内部から漂白する方法で、十分に白くすることが可能です。また、セラミック素材の人工歯を歯の表面に張る方法などもあります。さらに、近年では歯をまったく削らずに、ポーセレンという薄い素材を張る方法もあります。きっと、自分に合った方法が見つかるはずです。

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監修医本部悠一郎先生

東葉デンタルオフィス 院長

1993年 明海大学歯学部卒業後、千葉県内歯科医院勤務
1995年 すまいる歯科分院長就任
1998年 あすか歯科クリニック分院長就任
2012年 東葉デンタルオフィスを開設

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