この記事の目次
1.小児歯科の選び方
日本小児歯科学会認定 小児歯科専門医の資格がある
歯医者さんであれば、だれでも小児歯科と名乗ることができます。つまり、小児歯科という看板を出すための特別な資格が必要というわけではないのです。
ただし、「日本小児歯科学会」が認定する「小児歯科専門医」という資格は存在しています。この資格は、小児歯科に関する知識や技量が十分にあると認められた歯医者さんだけに与えられるものです。
ですから、子どもの歯の治療を重点的に学んできた歯医者さんの診療を受けるためには、「日本小児歯科学会認定 小児歯科専門医」の資格を持っているかをチェックすればいいのです。「日本小児歯科学会」のホームページで簡単に調べることができるので、気になる歯医者さんがあったら資格の有無を確認しましょう。
この資格を取得するためには、小児歯科学会会員としての臨床経験が5年以上あり、指定された大学小児歯科学講座などでの研修や定められた教育研修を履修するといったことが義務づけられています。
さらに、資格取得後も学会や研修会への参加や研究発表などの基準を満たさなければ更新することもできません。
子どもが嫌がらない工夫をしている
お子さんが嫌がらずに歯医者さんに通えるようになるためには、歯医者さん側が子どもの扱いに慣れていることも大きなポイントとなります。
なかには、嫌がる子どもを無理やり押さえつけて治療をする歯医者さんもいるようですが、これでは子どもが歯医者さん嫌いになってしまっても仕方ありません。本来の目的である治療や虫歯予防などをきちんとできなくなってしまっては意味がないのです。
そこで、お子さんが少しでも楽しい気分で通えるような工夫をしているかをチェックしておきましょう。また、歯医者さんにお子さんを連れて行くのはお母さんたちにとってもストレスとなるので、同行者の心理的負担まで軽減する考慮がされているとさらによいでしょう。
主なチェックポイントをご紹介します。
●いきなり診療を始めない
歯医者さんという特別な空間に子どもは戸惑いを感じています。緊張を少しずつほぐして慣れさせるために、最初は診療室に入るのを目標とし、それができたらイスに座ってみるなど段階を踏んで進めてもらえるとよいでしょう。
●たくさん褒めてくれる
子どもは褒められるのが大好きですよね。ほんのちょっとしたことでも、上手にできたら笑顔で褒めてくれるスタッフがいると歯医者さんに通うのが楽しみになるでしょう。
●ごほうびをもらえる
小児歯科のなかには、がんばって診療を受けたお子さんにシールやガチャガチャなどのごほうびをくれるところもあります。ごほうびをもらう目的のためには嫌な思いも耐えられるというお子さんも多いのではないでしょうか。
●子どもが親しみやすいスタッフ
子どもに積極的に話しかけてくれるなど、子どもの扱いに慣れているスタッフが多いかどうかも大切です。特に、女性スタッフの数が多いと、お子さんも自然と打ち解けやすいでしょう。
●子どもが好む内装
殺風景な診療室では、歯医者さん独特の緊張感が増してしまいます。壁の色などに子どもの好むピンク色や水色など明るい色を取り入れていたり、子どもの好きなキャラクターの絵やぬいぐるみが飾ってあったりするとくつろいで過ごせるものです。また、子ども向けのやさしいオルゴールの音色などが流れていると気分も落ち着くでしょう。
メリットだけでなくデメリットも伝えてくれる
歯の治療にはメリットだけでなくデメリットもつきものです。そこで都合のいいことだけでなく、問題点などもきちんと説明してくれる歯医者さんであるかどうかも重要な要素となります。メリットとデメリットを理解したうえで正しい治療を受けられるように判断しなければなりませんし、デメリットを話してくれない歯医者さんではどうしても不安になってしまうもの。お子さんも親御さんも満足した気持ちで納得のいく治療が受けられることが大切なのです。
また、疑問点なども遠慮せずになんでも相談でき、きちんと理解できるまで丁寧に説明をしてくれるかどうかも歯医者さん選びには欠かせないポイントとなります。いろいろな性格の子どもがいることを知っており、子どもの気持ちを第一に考えてくれる歯医者さんであればお母さんも不安なく任せられるでしょう。
予防を重視している
子どもの歯は虫歯になりやすく、一度虫歯ができるとあっという間に進行してしまいます。将来の歯の健康を左右する大切な時期でもありますから、小児歯科は特に虫歯予防に力を入れているところを選びましょう。
歯医者さんというのは本来、治療をするときだけに行くところではありません。将来を見据えた予防を考えて診療をしてくれる歯医者さんかどうか見極めてください。
家から近くて通いやすい
子どもの歯を虫歯から守るためには、定期的に歯医者さんに通い、予防処置を絶やさないことが大切です。そのためには、通いやすい場所にある歯医者さんを選ぶことも重要になります。
いくら評判のいい歯医者さんであっても、距離が遠かったりして通うことが苦になってしまっては元も子もありません。ずっと通院できるように、無理なく通える場所の歯医者さんを選びましょう。
待合室にキッズスペースがある
歯医者さんで診療を待つ間もお子さんはずっと緊張しています。歯医者さんに着いてから診療室に呼ばれる間を楽しく遊んで過ごすことができれば、だいぶリラックスした気持ちで診療を受けることができるでしょう。
小児歯科の中には、おもちゃやぬいぐるみ、絵本などが用意されたキッズスペースを完備しているところが増えてきました。靴を脱いで自宅で遊んでいるような感覚でくつろげるように作られているところも多く見かけます。子どもの好きなアニメのDVDが流されていることもあるでしょう。
このように、子どもが楽しめる空間があるかどうかもチェックしておきましょう。
2.矯正治療のための小児歯科の選び方
説明が丁寧である
矯正治療は特に診療システムや治療期間、費用などがわかりにくいこともあり、前もって確認すべき点も多いでしょう。さらに一般的な歯科治療より期間も費用もかかるので、治療を受ける側は不安になりがちです。
そんな患者さんの気持ちを理解して、納得のいくまでカウンセリングをしてくれる歯医者さんがおすすめです。治療を受けるか迷っているときに無理にすすめてこないといった点も大事です。
また、レントゲンや歯型などの検査をきちんと行ったうえで、資料をもとに丁寧に説明してくれるかどうかも確認しましょう。矯正治療に対する不安や疑問を取り除いてくれる歯医者さんとは、よい関係を築いていけるはずです。
治療計画がしっかりしている
どのように治療を進めていき、どのくらいの期間と費用がかかり、どのような歯並びにしていくのかといった計画を明確に示してくれる歯医者さんを選びましょう。経験を積んできた歯医者さんであれば、検査結果から治療方針や治療計画を立てて細かく説明できるものです。
患者さんが正しい情報を知らされたうえで納得して治療を受けられる「インフォームドコンセント」を大事にしている歯医者さんかどうかは大きなポイントとなります。
治療計画があいまいで、言っている内容がころころと変わるような歯医者さんには注意してください。治療計画や治療にかかる総額を提示できない歯医者さんであるとわかった時点でほかの歯医者さんを探すのも選択肢のひとつです。
治療法を選択できる
歯並びの状態は人それぞれですから、すべての子どもに対して同じ治療を行うことは基本的にはありえません。そのお子さんごとに適した治療法を提案してくれる歯医者さんを選ぶようにしましょう。
矯正治療の方法や用いる装置などもひとつとは限りません。複数の選択肢がある場合には、それぞれのメリットとデメリットをわかりやすく説明してもらいましょう。
治療法が最初からひとつしかない場合には注意してください。本当にほかに方法はないのか確認しましょう。
矯正治療費用の比較
矯正治療は保険が適用されない自由診療であることがほとんどですから、歯医者さんによって費用は異なります。
歯医者さんを選ぶ際には、費用だけに目がいかないように気をつけてください。また、費用が安いと技術が未熟、もしくは高いと技術が高いとは一概にはいえません。費用だけにとらわれずに、ほかのポイントを重視して歯医者さんを選ぶようおすすめします。
矯正治療中の引っ越し
矯正治療の途中で引っ越しをする可能性もあると思います。その場合の対応は、一部が返金される、追加費用なく転院先で治療が継続される、あるいは返金されないケースなどさまざまです。このように、治療途中で転院する際に発生する治療の継続法や、治療費の問題などについても忘れず事前に確認しておきましょう。
矯正歯科と小児歯科の違い
矯正治療を専門に扱う矯正歯科には高度な矯正治療技術があると考えてよいでしょう。大人の矯正治療であれば、専門の矯正歯科で治療を受けるようおすすめできます。
ただし、子どもの矯正治療の場合には虫歯予防なども並行して行わなければならないので、歯の生え変わりをはじめとした状況の変化を確認してもらうことも大切となります。お口の中の状況や成長に合わせて、適したタイミングで矯正治療をしなければならないからです。ですから、小児歯科で矯正治療を受けたほうがいいという考えもあります。
3.まとめ
お子さんの歯の健康を保つためには、虫歯がなくても年に数回は歯医者さんへ行かなくてはなりません。お子さんも親御さんも負担にならずに通える歯医者さんを早めに見つけておきましょう。
不安を抱えたまま診療や治療を受けることのないよう、また相性のよい歯医者さんと出会えるよう、焦らず慎重に探してくださいね。