この記事の目次
1.小児歯科で虫歯予防をすべき5つの理由
子どもの歯には高度な専門性が必要
小児歯科は一般的に、歯の生え始めから18歳前後の、親知らずが生え終わるくらいまでの年代が対象となります。
乳歯について、「どうせいずれは抜ける歯だから」と軽視する風潮もありますが、乳歯が生え始めたタイミングから正しいケアをいち早く行うことは、将来の歯の健康や歯並びにも影響を与える大切なことです。
そこで、一般の歯医者さんよりも、乳歯を含めた子どもの歯に対しての高度な専門性がある、小児歯科がとても大きな存在となるのです。
大人より子ども方が虫歯になりやすい
親御さんに虫歯がないからといって、お子さんにも同じケアをしておけばOKと思ったら大間違いです。子どもの歯は大人の歯に比べて、虫歯菌が出す酸に溶けやすい性質を持っています。さらに、歯を守るエナメル質と呼ばれる層が薄く、非常に虫歯になりやすいのです。小児歯科で歯医者さんの助言を受けながら、お子さんの虫歯予防をすべきなのはこのためでもあります。
治療に加えて月齢にあう予防ケアが可能
生まれたばかりでは歯のなかった赤ちゃんに、前歯が生え、奥歯が生え、やがて乳歯が抜けて永久歯に生え変わり…子どもの歯の状態は、大人の歯の状態と比較しても、非常にダイナミックで変化に富んだものです。そんな変化の激しい子どもの歯に対して、幅広い選択肢の中からタイミングにあった適切なケアを提案してくれるのが小児歯科です。赤ちゃんはもちろん、幼児、学童期から思春期まで、お子さんの歯の健全な成長をサポートしてくれます。
将来を見据えたケアを提案してくれる
未来を背負った子どもたちの歯のケアが、その場しのぎの場当たり的なものであってよいわけがありません。将来を見据えた、的確なケアを適切なタイミングで受ける必要があるのです。大切なお子さんに、そんな質の高いケアを提供してくれるのが小児歯科です。
例えば、子どものうちに小児矯正を行い歯並びをきれいにしておくことで、将来的に虫歯や歯周病の予防にもなります。多くの子どもたちを診てきたからこそ、近い将来から遠い未来まで先行きを予測し、正しいケアを提案することができるのです。
定期的に通いやすい工夫が盛りだくさん
小児歯科のなかには、会員制を取り入れたり、スタンプカードを用意したりといった工夫をしているところもあります。こうした仕掛けは、お子さんの通院へのやる気を引き出してくれるありがたい取り組みです。また、絵本やおもちゃ、テレビにDVDなど、院内に子ども向けのアイテムが多く取り揃っているのも小児歯科ならではの魅力です。
2.小児歯科でできる虫歯予防ってどんなもの?
クリーニング・PMTC
毎日丁寧に歯みがきをしていても、歯の汚れを落としきるのは難しいものです。歯医者さんでは、「PMTC(プロフェッショナル・メカニカル・トゥース・クリーニング)」と呼ばれる歯のクリーニング施術があり、専用の器具や薬剤を用いて歯をきれいにしてもらえます。もちろん、小児歯科でも施術は可能です。定期的に受けることで、虫歯や歯周病を予防することができます。
フッ素塗布
子どもの虫歯予防といえば「フッ素」といわれるほどに、近ごろではひんぱんに用いられている治療法がフッ素塗布です。
フッ素は骨や歯を丈夫にし、歯質を強化する役割を担います。歯の表面に適切な濃度のフッ素(フッ化物)を塗布することで、歯の再石灰化を促し、虫歯菌の出す酸に溶けづらい歯を育てることができるのです。フッ素塗布は通常、約3か月おきに通院し、塗布を受けるのが一般的です。
シーラント
虫歯になりやすい奥歯の溝や、前歯の裏の凹みなどに、虫歯になる前にあらかじめ歯科用プラスティック樹脂などを流し込み、凹凸をなくして虫歯になりにくい環境を作るのがシーラントです。日常生活を送るうちに、シーラントが取れたり磨り減ったりすることもあるので、定期的に診療を受ける必要があります。
ブラッシング指導・TBI
虫歯予防のために歯みがきを習慣づけることはもちろん大切です。しかし、「磨いている」状態と「磨けている」状態は異なります。虫歯を予防するために、正しい磨き方を指導する小児歯科も増えてきました。歯間ブラシやデンタルフロスなども活用しながら、より効果的に歯の汚れを落とせる歯みがきの方法を指導してもらえます。
サホライド
すでに虫歯になってしまった部分に処置してその進行を止めるのがサホライドです。フッ素と銀を含んだフッ化ジアミン銀の溶液を患部に塗り、銀の殺菌作用で虫歯の進行を抑えます。もうすぐ抜け替わる乳歯などに対して行われることの多い処置です。
キシリトール指導
樫の木や白樺などから抽出される天然の甘味料・キシリトールには、砂糖と同じくらいの甘さがあります。同時に、キシリトールは虫歯の原因となる酸を発生させず、歯の再石灰化を促す働きまでしてくれます。ガムやタブレットタイプのキシリトールを販売したり、より効果的な摂取方法を教えてくれる小児歯科も増えています。
3.虫歯予防で小児歯科を選ぶチェックポイント
自宅から近く通いやすいか?
お子さんを連れていくことを考えると、何より優先して選びたいのは通いやすさです。自宅から近いだけでなく、交通の便がよいか?雨の日にも通いやすいか?などの観点から、歯医者さんを選択するとよいでしょう。平日夜や土日祝日にも診療しているなど、お子さんや、同行する親御さんの生活リズムに合った診療時間であるかどうかも確認しておきたいポイントです。
丁寧に質問に答えてくれる医師がいるか?
子どもの歯は、大人に向けて成長するために、常に大きな変化を続けています。そんなお子さんの歯の虫歯を予防するうえでは、この先もさまざまな疑問や悩みなどが発生することでしょう。そうした困りごとの一つひとつについて、親身になって話を聞き、質問に答えてくれる医師がいるのかどうか?この点も、小児歯科を選ぶうえでは、非常に重要なポイントとなります。
予約が取りやすく、定期的に通えるか?
人気の歯医者さんはとかく混雑しがちなもの。どんなによい先生がいて、よい設備が整っていても、あまりにも混雑していて、希望日に予約が取れなかったり、予約の時間に診療が受けられなかったりしては、通い続けるのが負担になってきます。そこで、時間の都合がつきづらい生活スタイルの場合は、定期的に通いやすい、混みすぎてない歯医者さんを選んだ方がよいかもしれません。
子どもが嫌がらずに通えるか?
お父さんお母さんにとっての「よい歯医者さん」が、そのままお子さんにとっても「よい歯医者さん」であるとは限りません。もちろん、親御さんの目で歯医者さんを判断することは大切です。そのうえで、お子さんの通院の様子をよく観察し、嫌がらずに通えているかもきちんとチェックしてあげましょう。
特に小さいお子さんの場合、キッズスペースがあるだけでも、歯医者さんへの苦手意識がかなり払しょくされます。さらに、保育士経験のあるスタッフもいたりすると、楽しみの方がまさって逆に歯医者さんに通いたがるお子さんもいるほどです。ホームページなどを見ながら、近所で子どもに評判の歯医者さんを探してみてはいかがでしょうか。
必要な予防メニューが提供されているか?
虫歯予防のための歯科メニューは、すべての小児歯科で提供されているわけではありません。特定の虫歯予防メニューをお子さんに受けさせたい場合、該当の歯医者さんで提供されているか、ホームページや電話などで確認したうえで受診するようにしましょう。
4.まとめ
小児歯科は、子どもの歯の扱いにかけては経験豊富な存在です。子どもの歯は大人へ向けてめまぐるしく成長をしています。その変化のときどきに応じて、より適した治療をしてもらえるのが小児歯科です。
医師が親身に相談にのってくれるか、自宅から通える場所なのか、診療時間が生活スタイルと合っているか、お子さんが喜ぶキッズスペースがあるのかなど、さまざまな要素から、末永くお子さんが通院できる歯医者さんを見つけてくださいね。