食べて治す!食べて予防!口内炎の子どもでも食べられる食事

子ども 口内炎 食事

食べて治す!食べて予防!口内炎の子どもでも食べられる食事

小さい子どもに意外に多いのが口内炎。大人にとっては「たかが口内炎」と軽視しがちですが、お子さんにとっては一大事です。食事のたびに痛がって泣くお子さんのかわいそうな姿を目の当たりにすると、胸が締めつけられてつらくなってしまいますよね。「なんとか痛みを感じずに食べられるものはないかな?」「少しでも早く治してあげられないかな?」。そう考える親御さんのために、口内炎の子どもでも食べやすい食事や、口内炎に効果的な食事、予防のコツなどについてまとめました。

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この記事の目次

1.子どもが口内炎に!食事はどうすればいいの?

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ひどく痛がるときは無理に食べさせなくてもOK

お子さんが口内炎を痛がって食事をとらないでいると、「栄養不足にならないかな?」と心配になってしまいますよね。口内炎も原因によってさまざまですが、通常なら10日前後で治ってしまうものです。ひどく痛がる時期には、栄養面を気にして食べることを無理強いするよりも、「食べられるものを食べて乗り切る」姿勢が大切です。口内炎が治ったらしっかりと栄養をとるとして、痛みがある時点では無理をさせないようにしましょう。

水分補給だけは忘れずにしっかりと

口内炎で食事がとれないお子さんで、一番心配になのが水分不足による脱水症状です。食事は無理でも、お茶や水、イオン飲料や生理食塩水などでの、こまめな水分補給は忘れないようにしましょう。口内炎にしみる可能性があるオレンジジュースなど、酸味の強い飲みものは避けたほうが無難です。冷ましたスープなら、水分と同時に多少の栄養補給も可能です。水分補給も難しく、ぐったりと元気がないようなら、点滴が必要となるケースもあります。調子が悪い様子が見られたら、すぐに病院で診療を受けましょう。

食べやすいものから少しずつ与える

ひどく痛がる際には無理して食べさせる必要はありませんが、徐々に痛みがひいてきたら、まずは食べやすいものから少しずつ食べさせるようにします。食材の選択や調理の工夫で、口内炎でもしみない、痛みを出さない食事を提供することは可能です。お子さんの様子をしっかり観察しながら、しみない食事で栄養補給すれば、いつしか口内炎も治っているでしょう。

口内炎の原因を探るため受診も大切

子どもの口内炎とひと口に言っても、お口の中を誤って噛んだ炎症からウィルス性のものまで、その原因はさまざまです。お口の中を傷つけたことで起こる「アフタ性口内炎」が一般的ですが、ヘルペスウィルスへの感染による「ヘルペス性口内炎」、エンテロウィルス感染による「ヘルパンギーナ」や、コクサッキーウィルスによる「手足口病」などもあります。
たかが口内炎と放置せず、受診して原因を探ることも重要です。口内炎の原因はさまざまなので、自己判断はせず、治りが悪いものに関してはすぐに歯医者さんなどで診てもらいましょう。

2.口内炎でも痛くない子どもの食事・5つのコツ

しみさせない食事のコツは5つ!

お子さんが口内炎になると、食事のたびにお口の中を痛がることがよくあります。これは、食材や調味料が口内炎の患部にしみて、痛みが発生してしまうためです。この痛みを避けるためには、食事のとり方にコツがあるのです。口内炎にしみさせないのための食事のコツは、大きく分けて5つあります。ここに紹介したコツをおさえて、できるだけ上手に栄養をとらせるようにしましょう。

コツ1:熱くないもの

熱い食べものや飲みものは、口内炎の患部に刺激となり、痛みを生み出します。お子さんに熱々の食べものや飲みものを提供する機会は日常的にはあまりないと思いますが、口内炎があるときには、特に食事の温度に気をつけるようにしましょう。逆に、冷たすぎる食べものもしみる場合がありますので注意が必要です。

コツ2:薄味のもの

塩味のきつい食べものは、口内炎の炎症部分にしみてしまいます。しょうゆや塩などの調味料は、普段以上に控えめにして、薄味の食べものを中心に与えるようにしましょう。

コツ3:酸味の強くないもの

酢や柑橘系果物などの酸味は、口内炎の天敵です。患部を刺激して、症状の悪化を招きかねません。酸味の強い食べものは、口内炎がある時期のお子さんには与えないようにしましょう。

コツ4:やわらかいもの

口内炎があるときには、食べものをお口の中で噛むという行為が大きな負担となります。噛まずにつるりと飲み込めるような、やわらかいものを中心に食べさせるようにしましょう。また、食材はやわらかく煮込むなどして食べやすくしてあげましょう。症状がひどいときには、とろみのあるスープ、茶碗蒸しなど、噛まずに食べることができるものや、喉ごしのよい食べものがおすすめです。

コツ5:辛くないもの

お子さんの食事に、刺激物を多用することはあまりないと思いますが、唐辛子やこしょうなどの辛みは、患部に痛みを発生させる引き金となってしまいます。口内炎があるときには、こういった食材は避けるようにしましょう。

3.口内炎の子どもも食べやすい調理のヒント

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食材はできるだけ細かく切る

まず、料理に使う食材はできるだけ細かく切り、しっかり噛まなくても飲み込めるようにしてあげましょう。症状がひどいときは、固形物をすりつぶす、裏ごしするなど、離乳食のようにすることも有効です。

やわらかく、くたくたに煮込む

固いものを噛むのは、口内炎があるときには想像以上に負担となります。食材はくたくたになるまで長めに煮込み、できるだけやわらかく仕上げるようにしましょう。舌で押しつぶせる程度の固さを目安にすると、痛みのあるお子さんも食べやすくなります。

味つけはみそ味やクリーム系がおすすめ

しょうゆや塩などの調味料は控えめに、薄味に仕上げます。口内炎にしみにくく、栄養補給面でも有効な、みそ味やクリーム系の味つけがおすすめです。

ストローで吸わせる方法も

お口に入れて食べるのもつらいという状況であれば、太めのストローで吸わせる形にして食べさせるのも一案です。一般に、タピオカストローと呼ばれる極太のストローであれば、多少の固形物があっても吸うことができます。流動食のイメージで、具材は細かく刻んで吸わせてあげましょう。

熱しすぎず、冷たいものは常温に

熱いもの、冷たすぎるものも口内炎にしみてしまうので、温かい料理は熱しすぎないように気をつけるか、少し冷ましてから与えてください。また、野菜を早めに冷蔵庫から出しておくなど、冷たいものは可能な限り室内に置き、常温に戻してから食べさるようにしましょう。

4.口内炎に効く食事で早期治癒を目指そう

口内炎にはビタミンと亜鉛が有効

口内炎を早く治したいなら、不足しがちなビタミンと亜鉛などのミネラルをしっかりと補給することが大切です。こうした栄養素を補うサプリメントなどもありますが、お子さんでは摂取が難しい場合もあります。できるだけ食事を通して必要な栄養素をとれるように意識しましょう。

ビタミンB群を多く含む食材をとる

口内炎の際に特に大切とされる栄養素は、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6などのビタミンB群です。ビタミンB1は豚肉やレバー、納豆などの大豆製品に、ビタミンB2はうなぎや卵、牛乳を含む乳製品に、ビタミンB6はかつお、まぐろ、さば、鮭などの魚や鶏のささみ、バナナなどに、それぞれ多く含まれています。こうした食材を積極的に取り入れた食事を組み立てるとよいでしょう。

緑黄色野菜は口内炎によいビタミンの宝庫

緑黄色野菜に豊富に含まれるビタミン、特にβカロチンやビタミンAなどには、粘膜を正常にしてくれる働きがあります。これらの栄養素を多く含んだ、ほうれんそうやにんじん、あるいはビタミンCたっぷりのブロッコリーなど、緑黄色野菜を積極的に食事に取り入れましょう。

お子さんの亜鉛摂取は牛肉やチーズで

口内炎の原因のひとつとして、亜鉛不足があげられます。亜鉛は成長期のお子さんにとって欠かせない大切な栄養素でもありますので、積極的に摂取できるように意識しましょう。亜鉛を多く含んだ食材の代表的なものは、生牡蠣です。しかし、お子さんに生牡蠣を食べさせるのは難しいかもしれません。ほかにも、亜鉛を多く含む牛肉や豚肉などの肉類や魚介類全般、チーズなどから摂取させるのがおすすめです。

早く治したいなら食後の歯みがきは必須

口内炎ができてしまうと、お子さんは食後の歯みがきも嫌がるかもしれません。しかし、口内炎を早く治すためには、その原因となる雑菌の繁殖を抑え、お口の中を清潔に保つことはとても重要です。歯みがき粉の成分がしみるのであれば、歯みがき粉はつけず、水だけでブラッシングするのでも十分です。食後には必ず歯みがきを欠かさないようにしましょう。どうしても歯みがきが難しい場合には、うがいでお口をすすいだり、食後にお茶を飲むだけでも有効です。特に緑茶には殺菌作用があるのでおすすめです。

5.子どもの口内炎を予防する、食事+αのコツ

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ビタミンとミネラルの摂取を心がける

口内炎の原因には諸説ありますが、ビタミンとミネラルの不足により、栄養バランスが崩れることが大きいようです。日ごろから、ビタミンB群やビタミンC、ビタミンAなどのビタミン類と、亜鉛、カルシウム、鉄分などのミネラル類を、バランスよく食事に取り入れるように心がけましょう。

睡眠をしっかりととらせる

睡眠不足も口内炎の原因のひとつです。特に成長期のお子さんでは、日中の疲れをとって健やかな成長を促すために、質のよい睡眠を十分にとることが欠かせません。睡眠不足で疲労が溜まると、身体の抵抗力もダウンしてしまいます。早寝早起きと日中はしっかりと体を動かすことを心がけて、睡眠時間をたっぷりと確保しましょう。

普段からお口の中を清潔に保つ

口内炎とは、なかにはウィルス性のものもありますが、基本的にはお口の中の粘膜についた傷に雑菌が繁殖し、炎症を起こした状態です。そのため、お口の中を清潔に保って雑菌の繁殖を防ぐことは、口内炎を予防するうえで大きな意味があります。食後の歯みがきや、外出から戻った際のうがいなどを習慣づけて、お口の中をきれいにキープしましょう。

6.まとめ

口内炎で痛みがあると、食事がしみて食べられなくなってしまうお子さんは多いものです。
親御さんとしては栄養不足が心配になってしまいますよね。そんなときは、ちょっとだけ調理を工夫して、口内炎があっても食べやすい食事を作ってみてください。どうしても痛みがひどいときは、最低でも水分だけは摂取させるようにしてください。また、普段の食事で必要な栄養素をしっかり摂取しておくことで、口内炎の発生を予防することができます。
ポイントを抑えた食事で、お子さんと一緒に上手に口内炎を乗り切りましょうね。

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監修医 飯田尚良先生

飯田歯科医院

院長

【経歴】
1968年 東京歯科大学 卒業
1968年 飯田歯科医院 開院
1971年 University of Southern California School of Dentistry(歯内療法学) 留学
1973年 University of Southern California School of Dentistry(補綴学・歯周病学) 留学
1983年~2009年 東京歯科大学 講師
現在に至る
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