※ 掲載する平均費用はあくまでユーザー様のご参考のために提示したものであり、施術内容、症状等により、施術費用は変動することが考えられます。必ず各院の治療方針をお確かめの上、ご自身の症例にあった歯医者さんをお選びください。
この記事の目次
1.子供の歯ぎしりの原因
噛み合わせ
子供の歯ぎしりの原因としてまず考えられるのが、噛み合わせです。何らかの理由でズレが出てしまった噛み合わせを自己修復しようとして、出ている歯をすり減らしたり、沈降させたりすることで歯ぎしりが起こると言われています。特に、歯が生え変わる時期の子供は、このことが原因で歯ぎしりが起きることがあり、成長とともに症状が改善されるケースが多いのです。
ストレス
噛み合わせによる歯ぎしりは、夜間だけではなく昼間も表れることがありますが、睡眠中だけに起こるということであれば、ストレスが原因となっている可能性があります。精神的なストレスによって眠りが浅くなっていたり、悪夢を見たりすることで、歯ぎしりが起こると言われています。ストレスに悩むのは大人だけと考えがちかもしれませんが、子供が抱える悩みや不安は少なくありません。睡眠時の歯ぎしりが続くようなら、子供のまわりの生活環境や交友関係などを経過観察する必要があります。
2.歯ぎしりによる悪影響
基本的には問題ない
子供の歯ぎしりは、基本的には大きな問題となることはありません。上記の通り、乳歯が抜けて永久歯が生えてくる年頃に、無意識に歯の噛み合わせの調整のために行っていることが多いからです。しかし、なかには治療しなくてはいけないケースもあるので要注意です。
治療が必要なケース
6歳を過ぎても歯ぎしりが続く
特に、乳臼歯(にゅうきゅうし)が生える2歳頃や、乳歯から永久歯に生え変わる4歳から6歳にかけて、歯ぎしりをする子供が多くなります。この歯ぎしりは、噛み合わせのバランスを調整しながら永久歯が生えてくるスペースを確保するための、無意識の行動であるといわれており、正常な成長のあかしです。もし、6歳を過ぎても歯ぎしりが続いているようならば、他の原因が考えられるので歯科医への相談をおすすめします。
歯の神経に影響が出る
ひどい歯ぎしりが続くと、まれに神経が強い圧力に耐え切れず、神経の炎症や壊死(えし)が起こってしまうことがあります。壊死した神経をそのままにしておくと、細菌感染から壊疽(えそ)になり、歯ぐきが腫れたり強い痛みが出る事があるので早めの治療が必要です。
顎関節症になる
歯ぎしりは、顎まわりの筋肉を緊張させて顎関節に過度の負担をかけます。ひどい場合は顎関節症を引き起こしてしまう場合もあるため、適切な治療を受けなければいけません。
歯の摩耗やぐらつきが出る
強い力で歯と歯をすり合わせるのが歯ぎしりなので、どうしても歯は摩耗していきます。その力は歯根にまで及び、歯をぐらつかせてしまうことさえあるのです。自然放置していても元には戻らないので、必ず歯医者での治療を受けましょう。
3.自宅でできる対策
ではまず、自宅でできる歯ぎしり対策について見てみましょう。
よく噛む習慣をつけさせる
あまり噛まずにあわてて食事をする子供ほど、歯ぎしりが多く見られる傾向があります。これは、よく噛んでものを食べる習慣がないと、顎の成長が阻害され、成長過程で噛み合わせに悪影響が出てしまうためです。「ひとくち100回噛む」などの具体的な目標を持たせながら、よく噛んで食事をする習慣を身につけさせましょう。
そのためには、よく噛んで味わいたくなるようなメニューを工夫することも大切です。丼ものはどうしてもかきこみがちなので、一汁三菜を心がけましょう。食事中はテレビを消して、ゆっくりと会話をしながら食事を楽しむ環境を整えたいものです。
正しい姿勢をおしえる
猫背の子供も歯ぎしりを悪くします。背中を丸めた姿勢が続くと首の前方の筋肉が緊張します。首の前には口を開ける時に使う筋肉があるため、口を開けにくくなり、顎関節の働きが悪くなることで歯ぎしりが生じるのです。
立っている時だけではなく、座っている際の正しい姿勢を子供におしえましょう。ソファーに深々ともたれるような体勢は特におすすめできません。背もたれのある椅子に浅めに腰掛けることを心がけましょう。
リラックスできる環境を作る
ストレスもまた、歯ぎしりの原因のひとつであることは前述の通りです。学校生活などでさまざまなストレスに遭遇するのはある程度は仕方のないこととしても、せめて家庭ではリラックスできる環境を整えてあげるようにしましょう。
4.歯医者での治療方法
確実に歯ぎしりを直したいならば、歯医者での治療を受けることをおすすめします。歯医者での歯ぎしり治療は、主に以下の3つです。
マウスピース
歯列矯正によく使用されるマウスピースは、歯ぎしりの治療にも使われます。マウスピースはお湯で柔らかくして作る市販のものもありますが、歯の形状や並びは個人差が非常に大きいので、歯科で作るものの方がフィット感も良く、違和感も少ないです。マウスピースを歯科で制作してもらうと、健康保険の適用であれば5,000~6,000円程度で作ることが出来ます。
最初のうちは、就寝時に装着して使用するのを嫌がったり、寝ているうちに口から外れてしまったりすることも考えられますが、慣れれば異物感もなく熟睡できる子供が多いですよ。
歯列矯正
口内の歯がほぼ永久歯に生え変わっても歯ぎしりが続くようならば、歯並びや噛み合わせを矯正する必要があると考えられます。その場合は、歯科矯正によって歯ぎしりも改善される可能性があります。逆に言えば、歯科矯正が必要なシグナルであるともいえるので、そのまま放置せずに必ず矯正歯科に相談しましょう。
リマインダー
歯ぎしりは夜に起きるとは限りません。昼間、何かに夢中になるとつい出てしまうということもあります。そのようなタイプの歯ぎしりには、歯医者でアドバイスを受けて、リマインダー対策を講じるという手もあります。
リマインダーとは簡単に言うと「思い出させるモノ」。何でもいいのでコレが目に入ったら歯ぎしりをやめるというモノを決めるのです。一種の自己暗示のようなもので「歯ぎしりストップ」などと書いた紙を壁に貼っておくのもよいでしょう。
5.歯ぎしりの原因がもたらすトラブル
歯ぎしりは噛み合わせの調整のために起こるものですが、この噛み合わせの悪さが多くのトラブルを招くことがあります。
虫歯や歯周病の原因になる
歯ぎしりの原因にもなる歯並びの悪さは、特定の歯にだけ過度の負担をかけます。他の歯に隠れ、歯みがきなどで歯垢を除去しにくく、虫歯になりやすくなっている歯もあるかもしれません。
また、たとえ子供でも部分的な歯周病を引き起こしてしまうことがあります。最悪の場合、歯が抜けてしまう可能性もありますし、もしそれが永久歯ならば取り返しがつきません。
消化不良を起こす
早食いもまた歯ぎしりの要因のひとつです。噛み合わせに異常があるということは、それだけでも噛む力を損なわれますが、さらに「よく噛めない」という要素があるという事は、食べ物をしっかりとすり潰せていないという事につながるので、胃に負担をかけてしまい、日常的に消化不良を起こしている可能性があります。
消化不良は、下痢・便秘・胃腸障害など消化器官のトラブルを起こす事になりますし、口内炎やイライラの原因にもなるので、正しい噛み合わせでゆっくりと噛んで食べることは非常に重要なのです。
発音が上手くできない
噛み合わせの異常は、滑舌も悪くします。発音を不明瞭にしてしまい、成長途中の子供の自信を喪失させてしまうこともあります。ハキハキとしゃべれないのは性格のせいだけではなく、じつは噛み合わせが問題なのかもしれません。
6.まとめ
子供の歯ぎしりは、基本的にはあまり心配する必要はありませんが、なかには早急な治療が必要なケースもあります。特に歯並びが原因となっている場合、その影響は全身にまで及びますし、心身の健やかな成長をおびやかしかねません。
問題ない歯ぎしりであれば、放置していてもいつしか自然になくなりますが、歯医者で治療しなくてはいけない場合は、なるべく早く診察してもらうことが大切です。歯ぎしりはひとつのサインととらえて、迅速で適切な対応を心がけましょう。