この記事の目次
1.赤ちゃんの舌が赤い!?
月齢1ヵ月~6ヵ月の赤ちゃんの舌に赤いブツブツができた場合に、考えられる病気3つについて解説します。
2.赤ちゃんの舌に赤いブツブツができたときに考えられる病気は?
赤ちゃんの舌に赤いブツブツが出来たときには、口内炎、溶連菌、川崎病である恐れがあります。
人間の舌には、毛細血管や血管が多く集まっています。
赤ちゃんであっても、体調による変化が現れやすい場所が舌です。
溶連菌(ようれんきん)が原因の場合
溶連菌(ようれんきん)は、正しくは「溶連菌感染症」と呼ばれます。
溶血性連鎖球菌(ようかいせいれんさきゅうきん)という細菌に感染することが原因で、発症する病気です。
高熱、喉の痛みといった症状があり、風邪によく似ています。
風邪との違いは、全身に赤い発疹が生じ、イチゴ舌と呼ばれる赤いブツブツができることです。
感染経路は、菌の付着したものを口にした場合や、菌を持つ人の咳やくしゃみによるものがあります。
口内炎の場合
口内炎は、唇、舌、頬の裏などに起こる炎症です。
口内炎にはさまざまな種類があり、原因によって対処法が異なります。
放っておいても自然に治癒していくので、慌てる必要はありません。
ただし、長期間治らなかったり強い痛みを生じたりしている場合には、違う病気が隠れていうことがあるため注意してください。
川崎病の場合
川崎病とは、血管が炎症を起こす病気です。
症状の一つに、イチゴ舌と呼ばれる、舌に赤いブツブツができるものがあります。
他にも、高熱・目の充血・体の各部位に腫れや発疹が見られる、という症状は、川崎病の疑いが強まります。
4歳以下の乳幼児に見られる疾患です。
血管が炎症を起こす根本原因は、現時点では解明されていません。
心配なときはお医者さんへ
赤ちゃんの舌に赤いブツブツが出ている場合は、様々な病気が考えられます。
中には自然と治癒するものもありますが、早急な治療が必要なものもあります。
水分や食事を摂ることが辛そうであれば、早めに医療機関を受診してください。
判断が難しい場合も多いので、自己判断せず、異変を感じたら早めにお医者さんに相談しましょう。
3.溶連菌感染症の症状や治療法
溶連菌が原因で舌が赤いイチゴ舌
溶連菌に感染すると、発病初期では、舌に白い苔のようなものが付着した状態になります。
これは、汚れや細菌が溜まってしまうためです。
発病してから3~4日目には白さが消えて、イチゴ舌へと変化します。
溶連菌の感染経路は?
溶連菌による感染ルートは、主に2つあります。
1つ目は、感染している人の咳やくしゃみ、会話をしたときに飛び散る唾を吸い込んだことによる飛沫感染です。
2つ目は、溶連菌が付着した手で口に触れることによる、経口感染です。
溶連菌に感染した赤ちゃんが舐めたおもちゃから、大人が感染するケースもあります。
赤ちゃんが手にするおもちゃは、常に清潔にしておきましょう。
溶連菌感染が発生する時期は?
溶連菌感染症の流行のピークは、年に2回あります。
「春から夏にかけて」と、「冬の間」です。
インフルエンザやマイコプラズマ肺炎といった感染症と、発症が重なる場合があります。
重復感染すると、症状が重くなってしまいます。
インフルエンザやマイコプラズマ肺炎は、溶連菌感染症とは別のウイルスが原因となります。
溶連菌の検査と治療
発熱や発疹、喉の状態などから溶連菌の感染が疑われる場合、喉の細菌を摂取し、検査をします。
治療は、服薬がメインです。
菌を退治するための抗生物質の服用、熱や発疹といった症状を緩和させるための薬の服用です。
症状が治まったからといって薬の服用を途中でやめると、再発や合併症を引き起こすことがあります。
薬の服用期間は、お医者さんの指示に従ってください。
溶連菌にかかったときの過ごし方
喉に痛みが出ることがあるので、食事は熱すぎず冷たすぎないものを選びましょう。
刺激の強いものも避けてください。
食事が取れない場合には、水分だけでもしっかりと摂ることが大切です。
発疹がある場合は、かゆみから掻きむしって肌を傷付けることがあります。
掻きむしりを防止するために、爪を短く切ってあげましょう。
4.口内炎の症状や治療法
赤ちゃん・乳児の口内炎の原因は?
赤ちゃんのお口の中に、できものや水ぶくれのような口内炎ができることがあります。
多くの場合、風邪による免疫力の低下、お口の中の傷・刺激が原因です。
一方で、ウイルスやカビが原因で起こることもあります。
以下では、赤ちゃんが口内炎を起こしやすいウイルス、カビに感染したときの特徴や、対処方法を紹介します。
手足口病
手足口病は、お口の中だけでなく、お口の周りや手の平、足の裏などにも水ぶくれができます。
コクサッキーウイルス、エンテロウイルスの感染が原因で発症します。
発熱を伴うことがありますが、微熱程度で済むことが多いでしょう。
特効薬はなく、解熱剤等で対処をしながら、自然に治るのを待ちます。
一般的に、1週間前後で治癒します。
アフタ性口内炎
アフタ性口内炎は、お口の中に、真ん中が窪んだ小さなできものが1個、または数個出来ます。
治っても再発しやすいのが、アフタ性口内炎の特徴です。
風邪を発症すると、免疫力が低下します。
免疫力が低下しているときに、お口の中をぶつけたり、間違って噛んでしまったりすると、口内炎になることが多くあります。
発熱することは少なく、1週間ほどで自然に治癒します。
食べ物や歯磨きの刺激で痛むことが多いので、ひどく痛がる場合は、軟膏やパッチ、スプレータイプのお薬でケアしてあげましょう。
ヘルペス性口内炎
ヘルペス性口内炎は、舌や頬の内側、歯茎などに、できものや水ぶくれができます。
強い痛みを伴うことが、ヘルペス性口内炎の特徴です。
単純ヘルペスウイルス1型への感染が原因で、突然の高熱(38~40度)、歯茎の出血や腫れ、リンパの腫れ、発疹などの症状が出ます。
完治まで10日ほどかかることもあり、市販薬では対応出来ません。
病院を受診して、抗ヘルペス薬や解熱鎮痛剤などで治療をおこないます。
カンジダ性口内炎
カンジダ性口内炎は、舌や頬の内側に、ミルクのカスに似た白い苔のようなものがつくのが特徴です。
カビの一種であるカンジタが、お口の中で増殖することが原因で発症します。
初期には痛みを感じることはほとんどありません。
しかし、症状が進むと発熱を生じ、舌が赤くただれ、喉から消化器や呼吸器にまでただれが広がる場合があります。
そのため、重症化すると、呼吸困難を引き起こす場合があります。
早めに病院を受診し、抗菌剤や塗り薬を処方してもらいましょう。
5.川崎病の症状や治療法
川崎病とは?
川崎病は、全身にある小~中くらいの太さの動脈に、炎症を起こす病気です。
高熱や発疹、首のリンパが腫れるなど、様々な症状を引き起こします。
冠動脈(心臓を養う動脈)に炎症が起きると、心筋梗塞を起こす恐れがあります。
そのため、命を落とす危険性がある病気です。
動脈に炎症が起こる原因はわかっていません。
小さい子ども、特に乳幼児が掛かりやすく、年間約1万人の人が発症しています。
川崎病の症状
一般的に、5日以上、高熱が続きます。
舌の表面に赤いブツブツが出来てイチゴ舌になり、唇も赤く腫れます。
両目が充血し、手足や体に様々な大きさの発疹ができます。
発疹は、かゆみを伴うことがあります。
加えて、手足が固く腫れる場合があります。
川崎病の治療方法
治療方法は2種類あり、時期により治療法が異なります。
急性期は炎症を抑え、血管が固まらないようアスピリンを内服します。
そして、炎症を鎮めて冠動脈に瘤(こぶ)ができないように、免疫グロブリンを点滴する必要があります。
急性期以降は、冠動脈に瘤がない場合、アスピリンを1ヵ月内服します。
冠動脈瘤が出来てしまったら、瘤の状態や大きさを見て治療を行います。
治ってからも定期的に検査をし、様子を見る必要があります。
川崎病のケア
川崎病は、発症してから7日以内に治療を開始することが大切です。
1~3週間の入院が必要となり、治療後も定期的に検診を受ける必要があります。
38度以上の熱が続く場合や、川崎病の症状が出たら早めに病院を受診してください。
治療後も大切
川崎病は治療後も、アスピリンの内服を数か月から数年続けます。
症状が治まったあとに冠動脈瘤ができることがあるので、アスピリン内服を忘れないでください。
薬はお医者さんの指示に従い、自分の判断でやめないようにしましょう。
退院した後も、様子を見るための定期健診が必要です。
川崎病は2~3%の確率で再発する恐れがあります。
治療が完了したあとに川崎病の症状が出たら、すぐに病院を受診してください。
6.まとめ
赤ちゃんの舌が赤いときに、考えられる病気をご紹介しました。
赤ちゃんは自分で言葉が話せないので、痛みを訴えることが出来ません。
いつも側にいるお母さん、お父さんだからこそ気づくことがあるはずです。
機嫌が悪い、泣き止まない、いつもと様子が違うと感じるときには、すぐに医療機関を受診しましょう。