この記事の目次
1.乳歯の奥歯はいつ生える?
乳歯の奥歯は「第一乳臼歯」から
生まれたばかりではピンク色の歯茎に1本の歯も持たない赤ちゃんですが、月齢にして6~9か月を迎えるころには、下の前歯の先が歯茎からちらりと顔を出します。これが、成長における歯の生え始め。このあと、上の前歯、前歯の両脇の歯と順番に生え揃っていき、1歳半前後を目途に、犬歯と赤ちゃんにとって最初の奥歯である「第一乳臼歯」が生えてきます。
「第二乳臼歯」は2歳半前が平均的
前歯が生え揃い、1歳半を目途に犬歯と奥歯も生えてくると、赤ちゃんの歯に関心を払わなくなる親御さんが多いようです。そのため、最後に生えてくる乳歯である「第二乳臼歯」については、「いつの間にか生えていた」という親御さんもいます。実はこの「第二乳臼歯」は2歳半ごろに生えてきます。これが左右揃った状態になると、乳歯はひとまず生え揃った状態となるのです。
乳歯の奥歯の生える時期には個人差が
1歳半、2歳半ごろにそれぞれ生えてくる2種の乳歯の奥歯。紹介した生える時期はあくまで目安で、赤ちゃんによって個人差があり、場合によっては、数か月程度の開きも現れます。だいたい3歳ごろまでに、上下左右2本ずつの合わせて8本の奥歯が生え揃うというのが標準的です。
乳歯の奥歯は胎内ですでに作られている
実際に乳歯が生えてくる時期は上にあげた通りですが、生え始める前から顎の骨の中では乳歯は作られています。奥歯を含め、乳歯の芽である歯胚はすべて、赤ちゃんがお母さんのお腹の中にいるときに形成されます。そのあと数年の時間をかけて、歯槽骨のなかで発育し、やがて順番に歯として姿を現すのです。
乳歯の奥歯は全部で8本のみ
自分の奥歯が何本あるか、数えたことはありますか?永久歯の奥歯は、「親知らず」と呼ばれ他の歯とは一定の期間を空けて生え始める「第三大臼歯」を入れて、全部で20本です。これに対し、乳歯の奥歯はたったの8本しかありません。
2.乳歯の奥歯はいつ抜ける?
永久歯発育とともに、奥歯も生え変わる
永久歯の芽である歯胚は、最も早い前歯のものでは胎内で形成され始めますが、奥歯の歯胚についても親知らず(第三第臼歯)を除くと出生時から1歳前には形成が始まります。そのあと数年で育った永久歯がお口の中に現れ始めるのがだいたい6歳前後。乳歯と同様、前歯から徐々に生え変わり、9~12歳くらいを目途に奥歯の生え変わりも進行します。
8本の乳歯が16本の永久歯に生え変わる?
上下左右にたったの2本ずつしか生えない乳歯の奥歯ですが、これが抜けて永久歯に生え変わると、奥歯だけでも親知らずを除いて4本ずつと倍の本数がずらりと並ぶことになります。一般的に、小さいサイズの乳歯が生えていたスペースに、大きな永久歯が生えるとなると場所が足りなくなる気もしますが、多くの場合きれいに生えそろうのはなぜでしょう?これは、奥歯では乳歯と永久歯の大きさが逆転しているものもあるためです。乳歯として最後に一番奥に生える「第二乳臼歯」は、それが抜けて生え変わる「第二小臼歯」と比較してかなり大きめとなっています。このために生じた余分な隙間と顎の成長で生まれたスペースによって、倍の本数の奥歯もきれいに並ぶことができるのです。
乳歯の奥歯が抜けるのはいつごろ?
最初に生え変わった歯の記憶は鮮明でも、「最後に抜けた乳歯は?」と聞かれると回答に困る方も多いかもしれません。乳歯には8本の奥歯がありますが、そのうち1歳半を目途に生え揃う4本の「第一乳臼歯」はだいたい9~11歳ごろに、2歳半を目途に生える「第二乳臼歯」は10~12歳前後で抜け落ちます。歯は下の歯から生え変わるため、最後に抜ける乳歯の奥歯は右上のものになるお子さんが多いようです。お母さんのお腹の中にいたときから育まれ、幼児期を一緒に過ごした大切な歯が抜け、いよいよお口の中が大人の仲間入りをする大切な時です。「最初に抜けた歯」だけでなく、「最後に抜けた歯」の記録も、きちんと残しておいてあげるといいですね。
3.乳歯の奥歯、お手入れのポイントは?
最初の奥歯が生えたら、本格的に歯磨きを
乳歯期で最初の奥歯である1本目の「第一乳臼歯」が生えてきたら、歯磨きを本格的に習慣づけるタイミングです。これまでは歯ブラシに慣れることを目的としてきた歯磨きタイムも、徐々に本格的に歯の汚れを落とす歯磨きにステップアップしていきましょう。この時期の赤ちゃんは生えてきた奥歯である程度硬いものも噛み潰せるようになり、離乳食も進んで大人の食事に近い幼児食に移行する時期。家族から赤ちゃんに虫歯菌が感染する確率も高くなってきます。赤ちゃんのお口の中だけでなく、お父さんお母さんを含めた家族みんなで積極的な口腔ケアを心がけましょう。
乳歯の虫歯の90%は、奥歯と奥歯の間から
乳歯では、なんと90%もの虫歯が、奥歯と奥歯の間から発生しています。生えるタイミングは最後でも、乳歯の奥歯は大変リスクの高い歯であるといえるでしょう。特に、乳歯は永久歯と比較してもやわらかく、一度虫歯になってしまうとあっという間に進行してしまいます。できるだけ虫歯を作らないように、乳歯は奥歯のケアをとりわけしっかりと行いましょう。
乳歯の奥歯ケアはデンタルフロスで
奥歯と奥歯の間の汚れは、歯ブラシでは取りづらいもの。そんなときにはデンタルフロスを活用して、しっかりと汚れを取り除きましょう。毎食後に歯磨きを行っている場合でも、1日1回はお父さんかお母さんがフロスで歯間チェックをしてあげるのが理想です。小さなお口に合わせて小さめサイズのホルダーを採用した赤ちゃん専用のデンタルフロスも各種市販されています。カラフルな色使いやキュートなキャラクターがついたもの、各種フレーバーが楽しめるものなどバラエティ豊かに揃っているので、ぜひお子さんのお気に入りを見つけてあげてください。
奥歯が生えたらフッ素ケア開始
乳歯が生え始めたらフッ素ケアを始めるべきという歯医者さんもいますが、本格的にフッ素ケアを開始するなら乳歯の奥歯が生え揃う2歳前後がおすすめです。そろそろきちんと座って受診することも可能になってくるころ。特に虫歯がなくても、クリーニングやフッ素塗布といった予防的ケアのためだけでも、通いやすい歯医者さんを見つけてよい関係を築いておくことは大切です。虫歯になる前から、定期的な通院を習慣づけておきましょう。
乳歯奥歯にはシーラントもおすすめ
乳歯の奥歯は表面に複雑な凹凸があるうえ、歯ブラシなどの届きづらいお口の奥にあるため、なかなか汚れを落としきることが難しいもの。そんな乳歯奥歯を虫歯から守るためには、シーラント処置も有効です。シーラントとは、虫歯を防ぐために、虫歯菌がつきやすい歯の溝の部分に樹脂を流し込んでコーティングしてしまう虫歯予防法のこと。歯医者さんで受けることができるので、気になる場合は相談してみましょう。
4.まとめ
目につきづらい奥歯は、乳歯の中でも見落とされがちな存在。「いつの間にか生えて、いつの間にか抜けて生え変わっていた」なんてこともあるかもしれません。しかし、乳歯の奥歯は乳児期から幼児期へと移行する赤ちゃんの食生活を支える大切なものです。また、乳歯の中でもとりわけ虫歯リスクの高い存在でもあります。乳歯の奥歯が生えてきたら、歯医者さんにも相談しながら、定期的にしっかりと状態を確認して丁寧にケアしてあげましょう。