乳歯がまだ前歯数本しかないような赤ちゃんでも、歯ぎしりをすることがあります。
赤ちゃんの小さな口からギリギリという音が聞こえてくると心配になりますが、これは成長の一過程です。
基本的には心配しすぎる必要はありません。 しかし、時には歯科医院に診てもらわなくてはならないケースもいくつかあります。
ここでは、赤ちゃんの歯ぎしりのメカニズムや、歯科に相談が必要なケースについて詳しく解説します。
1.赤ちゃんの歯ぎしりの原因
歯ぎしりというと、ストレスを抱えた大人がするものというイメージを抱いている人も多いかもしれませんが、赤ちゃんにも同様に見られる現象です。
赤ちゃんおよび幼児の歯ぎしりの発生率は、10%から20%といわれ特別めずらしいことではありません。でははぜ、赤ちゃんは歯ぎしりをするのでしょうか?その原因について解説していきます。
歯ぎしりは成長のステップ
赤ちゃんの歯ぎしりは大人と違って、そこまで心配しなくても問題はないといわれています。なぜなら、赤ちゃんの歯ぎしりは、次に生えてくる歯の位置調節や生えたての歯を正しく使用するための試行錯誤を無意識で行っている結果だからです。
歯ぎしりが始まる時期
個人差もありますが、赤ちゃんの歯ぎしりは生後6カ月前後に始まります。これは、ちょうど乳歯が生え始める時期と重なっています。
赤ちゃんは寝ている時だけでなく、起きている間にも歯ぎしりをすることがあります。心配になる方も多いかと思いますが、成長の証と思ってまずは見守りましょう。
歯ぎしりは自然にやめられる
指しゃぶりなどと一緒で、自然といつしか卒業するものです。無理にやめさせようとして逆にストレスになってしまうこともあります。
精神的ストレス
赤ちゃんの歯ぎしりは、まれにストレス由来のものがあります。たとえば、無理矢理歯ぎしりをやめさせようとして、かえって心因性の歯ぎしりを誘発してしまうことがあります。
また、歯ぎしりはものを噛む力が芽生えていることの証拠でもあります。きつく叱ってストレスを与えることに加えて噛む力まで奪ってしまわないようにしましょう。
生活環境の変化
まだ言葉を喋らない赤ちゃんであっても、実は環境の変化を敏感に感じ取っているため、ストレスを全く感じていないということはありません。まわりの環境や体調の変化で、大人と同じようにあるいはそれ以上に不安を抱えていたりします。
とくに親の転勤などで環境が変わりやすい春先には、ストレス性の歯ぎしりを起こしやすくなっています。忙しくても、心にゆとりをもって接してあげましょう。
2.歯ぎしりによる影響
上記で触れたように、特に心配の必要がない赤ちゃんの歯ぎしりですが、歯ぎしりの度合いによっては気にせざるを得ないこともあるでしょう。度を超した歯ぎしりは、成長段階の歯並びや顎の発達に悪影響を及ぼすこともあります。以下は歯ぎしりを原因に考えられる悪影響の一例です。連日収まらないなど気になる場合は一度歯医者さんに相談してみても良いかもしれません。
顎の発育・歯列
正しい歯並びにするために行っている赤ちゃんの歯ぎしりですが、度が過ぎると歯列不正を引き起こしてしまう場合もあります。顎の成長や歯列に気になる点が見えはじめたら、なるべく早く歯医者に相談するようにしましょう。場合によっては、歯列矯正が必要になることもあります。
乳歯のすり減り・歯神経の炎症
乳歯が生えそろっていても歯ぎしりが続いている場合は、乳歯がすり減ってしまう可能性があるので要注意です。激しい痛みを伴う歯神経の炎症の原因にもなるので、早めに歯医者に診てもらい指示を仰ぎましょう。
歯の痛み
多少の歯ぎしりであれば痛みを感じることはありませんが、長時間の歯ぎしりで歯や顎が痛むことがあります。原因不明のぐずりが続く場合は、喋れない赤ちゃんのサインかもしれません。歯の痛みとして疑ってみてもいいでしょう。
歯茎からの出血
歯茎の出血は、歯槽膿漏(しそうのうろう)の中高年ばかりに起こる症状ではありません。まだ、歯が生え揃っていない赤ちゃんの歯茎でも血出はあります。ガーゼでそっとふきとるなどして、口内を清潔に保つようにしましょう。
3.まとめ
赤ちゃんの歯ぎしりには問題がないことがほとんどであり、成長の一プロセスとして全体の10%から20%程度の割合で見られるものです。
成長の一過程とはいうものの、度合いをみて小児歯科のある歯医者さんに相談してみましょう。