1.乳歯と永久歯のちがい
まず、乳歯と永久歯では、大きさはもちろんのこと、色や硬さ、虫歯のなりやすさが大きく違っているのをご存じでしょうか?
永久歯は乳歯よりも黄色いため、もしかしたら虫歯になっているんじゃないかと、心配になるお母さんもいらっしゃいます。でもこれは普通のことなので、安心してください。
永久歯の黄色は、エナメル質の下にある象牙質が透けて見えているのです。乳歯でこの黄色が透けて見えないのは、エナメル質の石灰化が不完全であるためです。ですから、乳歯は白く見えるため、一見すると乳歯の方が健康に見えますよね?
また、この色の違いは硬さも反映しています。エナメル質の完成度が高まると、透明性を帯び、硬度も上昇していくのです。そして、虫歯への抵抗性も高まるため、永久歯はそう簡単に虫歯にはならないようになります。
2.乳歯の隙間は生え変わるための準備?
次に気をつけなければならないのは、乳歯の時期にできる歯と歯の間の隙間です。
これらは発育空隙や霊長空隙という正式な名前があるほど、ごく当たり前にどのお子さんにもできます。ですので、こうした隙間ができたからといって、焦って歯列矯正をしたりする必要は全くありません。この隙間は、これから生えてくる永久歯を収めるためのスペースだと考えてください。
20本の乳歯が並んでいた場所に、乳歯よりも大きな永久歯を28本並べるんですから、広めにスペースをとらないと収まりませんよね?逆に、こうした隙間ができていない方が心配なのです。なぜなら、乳歯と同じスペースに永久歯を全て並べるわけですから、どうしても溢れ出てしまう歯が出てきます。
これが八重歯であったり、出っ歯といった歯列不正なのです。歯並びの悪さというのは、こうして生まれてくるのです。
3.上手く生え変わらないこともある!?
乳歯の生え変わりというのは、大体6歳くらいから始まります。まず始めに生えるのが奥歯で、よく6歳臼歯という名前で呼ばれています。ただし、生えてくる時期や順番にも個人差がありますので、目安程度の考えておいてください。
そして、この時期に注意すべきは、なかなか抜けてくれない乳歯です。永久歯は乳歯が抜けることで、その下から生えてきます。それがいつまでも乳歯が居座り続けると、永久歯が無理やり別の場所から生えてこようとすることもあります。
また、居座った乳歯が虫歯になってしまうと、その下に埋まっている永久歯も病気になることがあります。そうなると、せっかく生えてきた永久歯も、その直後に抜け落ちてしまうことだってあるのです。
4.乳歯と永久歯できちんとバトンをつなぐ
このように、乳歯の生え変わりの時期には、お口の中で様々なことが起こっています。
そして大切なのは、永久歯が気持よく生えて来れるような環境を整えてあげることです。
そのためには、永久歯の生えてくる十分なスペースを確保してあげて、なお且つ健康な乳歯のまま、次の永久歯へとバトンをつないであげましょう。
永久歯はその後も70年近く働き続けてくれる歯なのです。