口唇ヘルペスは赤ちゃんにうつる病気なの?見分け方と予防法

口唇ヘルペスは赤ちゃんにうつる病気なの?見分け方と予防法

抵抗力が低下してくると口唇ヘルペスを発症することがありませんか?人から人にうつる病気だけに、お子さんにはうつしたくないと思うお母さん・お父さんも多く、特に妊娠・育児中のお母さんは、赤ちゃんのことを心配してしまうのではないでしょうか。

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口唇ヘルペスは、とても感染力が強いウイルスなので、当然ながら赤ちゃんにもうつります。一度口唇ヘルペスにかかると抗体ができますが、何度でも再発します。発症中に感染しやすく、免疫力が弱い人には特にうつりやすい状態です。
ただし、感染しても症状が出ないこともあり、感染に気づかないケースもあります。ここでは、赤ちゃんに感染した場合の症状の見分け方、うつさないための予防法も含めて、詳しくみていきましょう。

この記事の目次

1.そもそも口唇ヘルペスってどんな病気なの?

誰でも口唇ヘルペスになる可能性がある

ヘルペスウイルスを持っている人は、誰でも口唇ヘルペスになる可能性があります。幼少時にご家族の方から感染するケースがほとんどで、大人の約半数の人はヘルペスウイルスを持っているといわれています。
一度感染すると抗体ができ、再発するたびに軽症化していきますが、ウイルスを持っていても、一生のうちに一度も発症しない場合もあります。感染源は、水ぶくれ内部の液体です。この液体にたくさん含まれているウイルスが皮膚や粘膜に付着して感染します。
感染経路は主に、発症している人との直接的、間接的な接触感染、飛沫感染です。例えば、キスやほおずりなどで患部に直接触れる、患部に触れた手やコップが相手に触れる、咳やくしゃみの飛沫に含まれるウイルスが相手に付着するといったことが原因でうつってしまいます。
また、水疱瘡や帯状疱疹の原因もヘルペスウイルスと言われていますが、口唇ヘルペスはそういったウィルスとはまた別の種類のものです。そのため、水疱瘡の予防接種をしていても、口唇ヘルペスの予防にはならないので注意しましょう。

免疫力が低下したときに症状が出る

免疫力が低下しているときに初感染したり、再感染、再発(ウイルスが潜伏していて症状が出なかったが、何らかのきっかけで発症する場合)すると症状が出ます。症状の強さでは、ほとんどの場合、初感染が一番重く、その後は再発しても次第に症状も軽くなっていきます。
病気や疲れ、胃腸の調子が悪いとき、ストレス、強い紫外線に浴びたあと、生理などで抵抗力が低下すると発症します。

場合によって症状に違いがある

患部にちくちく、むずむずした違和感を感じ、そのあと半日程度で赤く腫れ、3日目には小さな水ぶくれができます。水ぶくれができるころには、痛みやかゆみは感じやすくなります。
その後2週間程度でかさぶたになり、かさぶたがはがれると症状はおさまります。また、症状の現れ方は、子どもと大人では違いがあり、初感染と再発でも同じことが言えます。幼児期に感染した場合は、感染に気づかないほど軽症ですむ場合がほとんどです。
大人になってから初めて感染して症状が出た場合には重症化しやすく、発熱やリンパ節の腫れ、頭痛などの全身症状が見られることがあります。

2.気をつけよう!赤ちゃんへの感染

赤ちゃんの感染でも、まれに重症化する

特に新生児は免疫力がまだ弱く、感染するとごくまれに重症化することがあります。お母さんが抗体を持っていると赤ちゃんにも遺伝し、生後6か月ごろまでは発症しても風邪のような症状で終わることもありますが注意が必要です。
また、感染による病気が原因で赤ちゃんが母乳やミルクなどを飲まなくなることがあります。脱水症状を引き起こすこともあるため、こういった症状を確認した際には、ヘルペスウィルスの感染を疑ったほうがいいでしょう。

重症化した場合の主な2つの症状

・新生児ヘルペスの症状

生後2~7日に、「ミルクを飲む力が弱くなっている」、「活動力の低下」、「呼吸がいつもと違う」、「お口の中や周りが赤い」といった症状を感じた場合は、新生児ヘルペスの可能性が考えられます。
さらに、症状がひどくなると肝機能障害、呼吸障害、黄疸などの症状が出ます。脳症が原因で後遺症が残る可能性もあり、放置すると死に至ることもあるので注意が必要です。

・ヘルペス性歯肉口内炎

高熱が続き、唇やお口の中、のどやのどの奥に、水泡、赤い腫れ、出血などが見られたら、ヘルペス性歯肉口内炎の可能性があります。
お口の中の痛みにより、思うように水分補給ができなくなることもあるので、脱水症状にならないよう気をつけましょう。

3.赤ちゃんに感染させない予防法

発症中はウイルス感染の対策が必要です

発症しているときは、抗体を持っていない人に感染しないように、次のような点に気をつけましょう。特に赤ちゃんに接触するときには要注意です。

・シーツ、タオル、食器などは分け、洗剤でよく洗って完全に乾かす
・マスクをつける。使ったマスクは、こまめに新しいものに交換し、他の人が触れないようすぐに捨てる
・患部にさわらない、水ぶくれをつぶさない
・手洗いを徹底する
・手洗い後はもちろん、こまめに消毒用アルコールで手を除菌する
・キスやほおずりを絶対しない、顔を近づけ過ぎない

日頃から健康的な生活を心がけましょう

発症しなければ赤ちゃんに感染させてしまうことももちろんありません。日ごろからお母さんも健康に気を配り、免疫力を高めましょう。

・栄養バランスのとれた食事を摂る
・疲れやストレスをためないようにする
・胃腸の調子を整える
・体力維持向上のための適度な運動を心がける
・強い紫外線を浴びる際の日焼け止め対策

妊娠中や産後のお母さんは特に注意が必要です!

妊娠中や産後は、口唇ヘルペスの発症率が高くなります。妊娠中の体は免疫機能が低下することに加えてストレスがかかりやすく、産後のお母さんはホルモンバランスの乱れや育児疲れで抵抗力が低下しやすくなるからです。
万が一、口唇ヘルペスに感染した場合は、赤ちゃんへの感染が心配になるかもしれませんが、胎児への直接的な影響はなく、赤ちゃんにあげる母乳からの感染もほとんどありません。
ただし、新生児ヘルペスなどの心配があるため、出産されてからも赤ちゃんの扱いには気をつけましょう。赤ちゃんのお世話の際に注意したいのが、「よく手を洗うこと」、「マスクをすること」です。また、妊娠中や授乳中であってもお薬での治療ができます。
とはいえ、できれば出産前に完治しておくのがお子さんにとってもお母さんにとっても一番でしょう。

4.まとめ

口唇ヘルペスが感染した場合でも、赤ちゃんが重症化するのはごくまれなことです。それでも、ウイルス抗体を持つ人が多いため油断はできません。赤ちゃんにとって最も身近なお母さんが口唇ヘルペスを発症しないためにも、日頃から健康的な生活を送るようにしていきましょう。
また、歯の生え始める生後6か月ごろからは、赤ちゃんも歯科健診を受けることができます。ですので、お口の変化に気づいたら、まずはかかりつけの小児歯科のある歯医者さんへ気軽に相談してみるといいでしょう。

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監修医 高橋貫之先生

本町通りデンタルクリニック

【経歴】
2003年 大阪歯科大学 卒業
2003年 大阪歯科大学 大学院歯学研究科博士課程 入学
2007年 大阪歯科大学 大学院歯学研究科博士課程 修了
2008年 大阪歯科大学 勤務
2016年 大阪歯科大学(歯周病学 助教)退職
2016年 本町通りデンタルクリニック 勤務
現在に至る。
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