子どもの歯を守るために知っておきたい「睡眠」のポイント

子ども 歯 睡眠

子どもの歯を守るために知っておきたい「睡眠」のポイント

子どもの健やかな成長のためには、睡眠は重要です。同様に、健康な歯を育てるためにも良質な睡眠は欠かせません。寝る前にどのように過ごす習慣があるかによって子どもの虫歯の数が変わってきます。また、睡眠中の歯ぎしりが及ぼす影響についても知っておかなければなりません。ほかにも歯周病やあごの成長など、睡眠と歯の健康はとても深く関わっているのです。正しい知識を身につけて、子どもの歯を守るための睡眠をとらせましょう。

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この記事の目次

1.睡眠前の過ごし方で虫歯リスクを減らす

寝る1時間前の飲食を控える

睡眠中はお口の中のだ液の分泌量が減るので、虫歯菌がつくりだす酸に抵抗する力が弱まってしまいます。寝る前に食べたり飲んだりすると、寝ている間に虫歯菌が酸をどんどんつくりだすいっぽうになってしまい、歯が溶かされていくのです。
特に子どもの場合は1日の3分の1以上の時間を寝て過ごしますから、寝る直前の飲食は控えてお口の中の環境を虫歯になりにくい環境に整えてから寝ることが重要となります。

寝る前の歯みがきは特にていねいに

歯みがきをしないで寝てしまうと、歯が溶ける時間が長く続くことになるので虫歯になりやすいでしょう。弱アルカリ性のだ液の量が減る睡眠中のお口の中は、酸性に傾きがちです。つまり、虫歯菌にとって好都合な環境になっているというわけです。
寝る前にていねいに歯をみがいて虫歯菌のエサとなる糖分をしっかりと取り除き、食べかすもきれいに除去しておかなければなりません。毎食後に歯をみがくのが難しくても、寝る前の歯みがきだけは決して欠かさないように親子でがんばってくださいね。

フッ素ケアをする

だ液にはお口の中の汚れを洗い流す自浄作用もあります。ところが、睡眠中にはだ液の自浄作用も低下するので虫歯菌がより繁殖しやすくなってしまいます。そのため、寝る前の歯みがきにはフッ素配合の歯みがき粉を使うといいでしょう。フッ素には、溶けだした歯を元に戻そうとする再石灰化の促進や歯の質を強化する働きのほか、虫歯菌の活動をおさえる効果も期待できます。
フッ素入りの歯みがき粉を使った後に、フッ素ジェルを歯に塗っておくとさらに効果的です。もしくは、歯医者さんで処方してもらえるフッ素洗口液でうがいをするのもおすすめです。歯みがきの後にフッ素洗口液をお口に含み、30秒ほどうがいをしてから寝るとフッ素の効果が長続きしやすいでしょう。

2.睡眠中の歯ぎしり

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歯ぎしりをする子どもは多い

子どもの歯が成長するには、歯ぎしりは必要なことです。赤ちゃんや小さな子どもは歯ぎしりをして上あごを鍛えています。乳歯と永久歯が入り混じっている10歳以下の子どもの場合も、乳歯から永久歯へ生えかわるときに歯ぎしりが多くなるといわれています。また、大人のように睡眠リズムがまだ整っていないことも子どもに歯ぎしりが多い原因のひとつです。
子どもが歯ぎしりをしているのを見ると心配になると思いますが、成長するにしたがって自然に歯ぎしりをしなくなっていく子がほとんどです。あまりひどくなければ様子を見ていて大丈夫でしょう。

子どもの歯ぎしりの原因

成長にともなう歯ぎしりのほか、かみ合わせが悪くて歯ぎしりをしている可能性もあります。歯ぎしりが続く場合には、かみ合わせに問題がないか歯医者さんでチェックしてもらいましょう。必要に応じて矯正治療を検討しなければなりません。
また、ストレスを抱えている子も歯ぎしりをしやすいので注意してあげましょう。ストレスをため込んでいる様子がないか、お子さんの状態をよく見てあげましょう。不安感や悲しみを抱えていないかどうかもチェックしてください。怒りっぽい、イライラしやすいなど短気な子も歯ぎしりをしやすい傾向があります。ストレスが原因で歯ぎしりをしていると考えられる場合には、子どもの生活環境を見直してください。特に睡眠時間をたっぷりとって、ゆったりとした気分で毎日を過ごせるようにしましょう。家族そろって楽しく夕食をとるのもストレスを軽減する方法のひとつです。

子どもの歯ぎしりの影響と治療

睡眠中に強い歯ぎしりをしていると歯がどんどんすり減ってしまい、歯がぐらつきやすくなります。あごの関節への負荷もかなり大きいでしょう。特に乳歯はまだやわらかいので、歯の表面にあるエナメル質がすり減って、その下にある象牙質が出てきたり、歯を支えている組織に負担がかかって歯が動いてしまったりする可能性があります。痛みを感じる場合もあるでしょう。
寝ているときは無意識に歯ぎしりをしていますから、かみ合わせ部分を保護するナイトガードという装置をつけて寝るといいでしょう。こうすると歯やあごの関節への負担を軽くできます。歯ぎしりによって歯の表面が激しくすり減っているようであれば、表面を覆う処置を受けなければなりません。かみ合わせの異常が原因の場合には、歯並びの矯正治療などを早めに受けたほうがいいでしょう。このように適切な治療を受けることができるので、お子さんの歯ぎしりが気になる場合には歯医者さんに相談しましょう。

3.歯周病を防ぐためにも睡眠が大切

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歯周病と免疫

歯周病の原因となる菌は常にお口の中にいる菌ですから、それだけでは歯周病を発症しません。歯周病菌に対して免疫反応が過剰になると、歯周病を発症するという仕組みになっています。

睡眠不足で歯周病リスクが高まる

睡眠不足だと歯周病になる可能性が高くなるといわれているので、睡眠時間をたっぷりととることが大切です。
歯周病は大人だけの病気ではありません。子どもの場合、歯周病になる前の歯肉炎になりやすいので注意してください。お口の中の健康のためにも、早寝早起きを心がけて十分な睡眠をとる規則正しい生活を送れるようにしましょう。

4.健全なあごの成長のために心がけたいこと

睡眠時の姿勢

顔の外側から余計な力がかかると、あごが左右非対称にゆがんでしまいます。また、歯が動いて歯並びが悪くなってしまうでしょう。歯そのものがもろくなってしまう可能性もあります。
うつぶせ寝やいつも同じ側を向いて横になって眠るクセのある子は、睡眠中の姿勢に気をつけなければなりません。

規則正しい生活

子どもが健全に成長するためには、正しい食生活と適度な運動、睡眠が欠かせません。体をバランスよく健康的に維持するためには、どれも重要なのです。そして、健康な体があるからこそ、しっかりと食べ物をかむことができます。
不規則な生活で睡眠時間を十分にとれていない子は、朝食をしっかりと食べることができません。栄養が不足して、ますます不健康になってしまいます。お子さんのためを考えて、早寝早起きを習慣づけてたっぷりと眠れるようにしてあげましょう。そして、栄養たっぷりの食事を用意し、健康な体づくりをサポートしていきましょう。

5.まとめ

成長過程にある子どもには、良質な睡眠は絶対に欠かせません。心と身体だけでなく、歯やあごの健全な成長のためにも、毎日たっぷりと寝かせてあげましょう。早寝早起き・運動・睡眠は歯の健康に不可欠であると覚えておいてください。
また、寝ている間に虫歯菌が増えることを子どもにも話して聞かせてあげるといいでしょう。おふとんに入る前に歯みがきをしっかりとして、虫歯のない歯を目指しましょう。
歯医者さんでの定期的な検診も忘れずに受けてくださいね。

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監修医 高橋貫之先生

本町通りデンタルクリニック

【経歴】
2003年 大阪歯科大学 卒業
2003年 大阪歯科大学 大学院歯学研究科博士課程 入学
2007年 大阪歯科大学 大学院歯学研究科博士課程 修了
2008年 大阪歯科大学 勤務
2016年 大阪歯科大学(歯周病学 助教)退職
2016年 本町通りデンタルクリニック 勤務
現在に至る。
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