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矯正治療の期間は大きく3段階に分けられる

矯正治療には、大きく分けて3つのパートがあります。治療の準備期間、矯正装置を装着して矯正を開始する治療中の期間、そして、治療後の後戻りを防ぐ保定やメンテナンスを行う期間です。矯正方法によっては、すべての期間をトータルすると5年から6年にもおよぶ場合がありますが、医院の技術力や個人差もありますので、あくまで一般的な目安として捉えてください。

治療前の準備期間:およそ1ヶ月から2ヶ月程度

治療前の準備期間は、主にカウンセリングに始まり、精密検査、診断といった流れになります。精密検査では、歯や骨格のレントゲン撮影、噛み合わせの検査など、現状の歯の状態を詳細に調べていきます。診断では、検査結果をもとに治療プランの候補などを立案し、治療の説明や費用などについて説明してもらいます。

矯正装置を付けて歯並びを整えていく期間:およそ半年から4年程度

ブラケット(歯にワイヤーを装着するための固定器具)やマウスピースを装着してから、装置を使わなくなるまでの期間です。

ブラケット矯正の場合は、装置の取り付けにおよそ1時間から2時間程度かかり、歯の裏側に付ける場合には1.5倍程度の時間を要します。それ以降は1ヶ月か2ヶ月に1回程度通院し、ワイヤーの調整を行います。また、1本から数本の矯正を行う部分矯正では、歯の本数が少ない分、短期間での治療が可能です。

マウスピースの場合は、メーカーや歯科医院にもよりますが、1日10時間から20時間ほど毎日装着し、2週間から6週間に1回程度通院して新しいマウスピースに交換していきます。以下が、治療法別の治療期間の目安となります。

■表側ブラケット矯正(およそ1年から3年程度)

上下のすべての歯にブラケット矯正(歯に固定器具をつけてワイヤーの力で歯を動かす矯正法)を行う場合の目安です。

■裏側ブラケット矯正(およそ1年半から3年半程度)

歯の裏側にブラケットを付ける矯正方法で、目立たないことがメリットですが、一般的に表側矯正よりも矯正期間が長くなります。(ただし、医院によっては表側矯正と変わらない治療期間を実現しているところもあります)

■マウスピース矯正(およそ1年から3年程度)

マウスピース矯正は、現在の歯並びから矯正後の歯並びの変化をコンピュータでシミュレーションして、少しずつ形状の違うマウスピースに交換しながら目標の歯並びに導くものです。

■部分矯正(およそ半年から1年程度)

部分矯正は、1本から数本の歯にブラケットを付けて、部分的に矯正するもので、移動する歯の本数が少ないため、比較的短期間で矯正ができます。

治療後の保定期間:およそ1年から2年程度

装置を取り外し、矯正自体の期間が終わったからといっても、まだ治療全体は完了しません。矯正後の歯は後戻りしやすいので、それを防止するために、保定装置(リテーナー)を装着する必要があります。保定装置には、マウスピースタイプのものやワイヤータイプのものがあり、それを終日装着する形になります。

矯正,期間

治療スピードで注目される矯正装置

1章でご紹介した治療期間はあくまで目安ですが、やはり虫歯などの一般的な歯科治療と比較すると、とても長い時間がかかります。
長い期間、装置を付けた生活を続けることを考えると、やはり負担の大きいものです。そこで近年注目されているのが、特殊なブラケットによって矯正作用を高め、治療期間を短縮する方法です。

セルフライゲーションブラケット

これまで、ブラケット矯正では歯に強い力をかけるほど歯が早く移動するものと考えられてきました。その常識を覆したのがセルフライゲーションブラケットです。

一般的なブラケット矯正は、ワイヤーを歯の1本1本に装着したブラケットに固定することで、張力を調整するものです。
一方、セルフライゲーションブラケットは、ブラケットにワイヤーを固定せず、自由に動くようになっています。一般的なブラケットの数百分の1程度の弱い力となりますが、歯をより効率的に移動することが可能で、一般的なブラケット矯正と比べて、およそ2割程度、治療期間を短縮できるといわれています。

弱い力なのに矯正力が高まる理由

矯正は、歯根膜(歯と歯を支える歯槽骨の間にある組織)の働きを利用したものです。この働きによって、ワイヤーの力によって移動する方向の歯槽骨が溶け、その反対側の骨が新たに形成されることにより、歯が移動します。しかし近年、過剰な圧力をかけると、逆に歯根膜の働きを弱めてしまうことが分かりました。適度に弱い力を継続的にかける方が、歯根膜の働きを生かすことができ、効率的に歯を移動できるのです。
セルフライゲーションブラケットにはさまざまな供給メーカーがあり、メーカーによって呼び名が異なります。

外科的な処置を併用した矯正方法

ブラケット矯正に、短時間で終わる外科的な処置を併用することで、歯を大きく移動させることができ、治療期間を大きく短縮できる方法もあります。代表的な治療法をご紹介しましょう。

インプラント矯正

従来のブラケット矯正は、いわば氷の上で綱引きをするようなものです。奥歯を支点にして、前歯をワイヤーで引っ張るのが大まかな仕組みですが、奥歯自体も引っ張られて動くので、歯を移動するための十分な力を得にくくなります。そこで考案されたのが、動かない支点を使って歯を効率的に移動するインプラント矯正です。

これは、顎の骨にインプラント(チタン製の小さなネジ)を埋め込み、これを支点にしてブラケットを引っ張るというものです。強い矯正力で歯列全体を大きく動かすことができるので、抜歯をして歯の移動スペースを作る必要も少なくなります。これにより、治療期間を半減できるケースもあります。

【手術時間】
30分程度

【治療期間】
一般的なブラケット矯正のおよそ2分の1程度

コルチコトミー矯正

矯正治療は、歯根膜による歯槽骨の吸収と形成を利用したものですが、歯槽骨にあらかじめ外科的な処置を施すことで、ブラケット矯正の歯を動かす作用を高める方法もあります。

コルチコトミー法は、歯槽骨の固い表層部分(皮質骨)を切除し、歯を移動しやすくする方法です。切除された歯槽骨は自然に再生されますが、新たな骨はそれまでより強く形成される性質があるので、移動後の後戻りが少なく、保定装置の使用期間も短縮できます。

【手術時間】
1時間程度

【治療期間】
一般的なブラケット矯正のおよそ2分の1から4分の1程度

オステオトミー矯正

別名、歯槽骨切断術と呼ばれるのがオステオトミー法です。コルチコトミー法が歯槽骨の一部を切除するのに対し、オステオトミー法では、歯槽骨を大きく切断する手術を行います。歯をその土台となる歯槽骨ごと動かすようなイメージです。

【手術時間】
2時間程度

【治療期間】
一般的なブラケット矯正のおよそ2分の1から4分の1程度

矯正,期間

その他の特殊な矯正方法について

外科矯正(約2年から3年程度)

外科矯正は、一般的な歯列矯正法では対処できない、顎の骨の外科的な処置が必要となる矯正です。顎自体の位置が悪かったり、大きく変形している場合には、顎の骨を切って動かす外科処置が必要となります。こうした外科手術を矯正治療を併用することで、歯列を根本的に改善します。

また、「顎変形症」と認められた場合には、健康保険が適用可能です。適用条件としては、厚生労働省が定める「顎口腔機能診断」の基準を満たす医院による診断を受け、外科手術を伴い定められた手順に従った治療を行うことが必要となります。

セラミック矯正(およそ1ヶ月から3ヶ月程度)

歯を削って、セラミック製の人工歯を貼り付ける矯正法です。これは、歯の移動を行う施術ではなく、歯の形状を加工することによって見た目の歯並びの見た目をきれいにしていくので、一般的な矯正とは異質のものです。また、歯を削ることで形を整える必要があるため、健康な歯を損ないたくないという方には不向きです。

まとめ

矯正治療には長い治療期間がかかりますが、できるだけ若いうちに歯並びを整えてきれいな口元で過ごしたいものですよね。
いずれの施術方法も、お悩みや要望によっては対応ができないこともあります。
まずは矯正治療の専門家である歯医者さんに相談し、どういった方法が自分に合っているかを提案してもらうのがいいでしょう。

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2022-08-16T15:01:11+00:00