この記事の目次
噛み合わせが深くなってしまう原因
噛み合わせが深い状態を、「過蓋咬合(かがいこうごう)」または、「ディープバイト」と言います。前歯の噛み合わせは、下の前歯の3分の1〜4分の1程度が上の前歯によって覆われているのが理想とされています。しかし過蓋咬合では、それ以上に下の前歯が隠れてたり、さらにひどい症状となると、下の前歯すべてが上の前歯によって隠れてしまっていることもあります。ここでは、過蓋咬合を引き起こす主な原因をご紹介します。
早い時期に乳歯をなくした
虫歯などの影響で、通常の生え変わり時期よりも早い段階で乳歯をなくしてしまうと、永久歯が正しい位置に生えてこず、その後の噛み合わせに影響します。
奥歯に問題がある
虫歯で奥歯をなくしたまま放置、何らかの理由で奥歯の高さが十分でない場合は噛み合わせの負荷を奥歯で十分に受け止めることができません。そのため歯全体のバランスが崩れ、前歯の噛み合わせが深くなります。また奥歯が内側に倒れて生えているなど、奥歯がすれちがいがみになっていることも原因のひとつとなります。
前歯に問題がある
上の前歯が大きすぎたり、伸び過ぎたりしている、また下の前歯が口の内側に倒れて生えていることで、噛み合わせが深くなります。下の前歯が内側に倒れる原因としては、生まれつきの生え方の場合もあれば、生活上の癖によって唇が前歯を強く圧迫している場合もあります。
顎の骨格に問題がある
上顎が長い、下顎が小さいなど、上下の顎のバランスがとれていないと噛み合わせが深くなります。また下顎の関節が比較的後ろにある人は、顎先の筋肉によって下顎が圧迫されてしまい、さらに顎の位置が後退して噛み合わせが深くなります。
かむ力の強さや歯ぎしりの問題
物をかむ力が強かったり、食いしばりや歯ぎしり癖があると、奥歯が徐々に削れたり歯茎に押し込まれたりします。奥歯の位置が低くなると上下の歯が正しく噛み合わず、前歯の噛み合わせに影響します。(奥歯が前歯の噛み合わせに影響することは、1-2 を参照)
呼吸や頬杖などの生活上の癖
唇や頬周りの筋肉に力を入れる癖や、頬杖、指しゃぶり、口呼吸、唇を噛んだり吸ったりするという生活上の何気ない癖によっても、噛み合わせが深くなると言われています。
顎や骨に関する遺伝
前述したような顎の成長や歯の生え方は、遺伝的要素も関係していると言われています。虫歯などで歯をなくしたり、生活上の癖がなかったとしても、生まれながらにして噛み合わせが深くなってしまう人もいます。
噛み合わせが深いことによる体への影響
食べ物を咀嚼しにくい
前歯が深く噛み合ってしまうと、前歯で食べ物をかみちぎることができません。また、奥歯が噛み合うよりも先に下の前歯が上顎にぶつかってしまうことで、奥歯で十分に物をかむことができない場合もあります。よくかんで食べることは、食べ物の消化・吸収を高めます。逆に言えば、よくかんで食べることができないと、消化や吸収が悪くなってしまうのです。
顎関節症になりやすい
深い噛み合わせにより下顎が後方に圧迫されると、顎を自由に動かすことができず、顎への負担が増します。そのため、過蓋咬合は顎関節症を引き起こしやすいと言われています。顎関節症には口をあけることが困難になったり、顎を動かした時に異音がするなどの症状があり、悪化すると強い痛みを感じることもあります。
虫歯や歯周病になりやすい
過蓋咬合では上の前歯が乾燥しやすいため、唾液による洗浄ができず、前歯の隙間などに虫歯ができやすくなります。
また、下の前歯によって上の歯茎が刺激されているため、歯茎が下がり歯周病を引き起こします。奥歯の一部しか使えないような噛み合わせになっている場合は、その一部分に大きな負荷がかかり、歯周病になってしまうケースもあります。
口の中が傷つきやすい
下の前歯が上の歯茎に強く食い込んでしまうほど深い噛み合わせの場合、口の中が傷つき、口内炎や歯茎の腫れ、炎症を引き起こします。
歯の被せ物が壊れやすい
噛み合わせが深いと、歯に通常とは異なる方向への負荷がかかります。そのため、被せ物や入れ歯が壊れやすくなってしまいます。壊れた被せ物を直したとしても、噛み合わせが根本的に改善されないうちは再び壊れてしまう可能性もあるため、壊れやすいと感じている人は過蓋咬合の可能性を疑ってみるとよいでしょう。
深い噛み合わせを治す治療法
一見綺麗に見える歯並びの場合、自分で過蓋咬合だと気づくのは難しいものです。少しでも気になることがある場合には、歯医者さんに相談してみるとよいでしょう。過蓋咬合だと診断された場合、歯列矯正や外科手術などによって噛み合わせを治すことができます。
歯列矯正による治療
矯正によって、深い噛み合わせを改善させます。さまざまな矯正方法があるので、噛み合わせの状態と自分の希望とを照らし合わせながら、歯医者さんと相談するとよいでしょう。虫歯や歯周病がある場合には、その治療を行ってから矯正を開始します。
◆ワイヤー矯正
歯の表側にワイヤーをつけ、奥歯の位置を高くすることで前歯の噛み合わせを浅くしていきます。
◆舌側矯正(ぜっそく矯正)
歯の裏側に矯正装置をつけて奥歯の位置を高くします。より深い噛み合わせに効果が期待できるほか、ワイヤー矯正とは異なり外から矯正装置が見えにくいというメリットがあります。一方で、症状によっては矯正期間が長くなる場合もあります。
◆プレートを使った矯正
上顎に取り外し可能な「バイトプレート」や「ジャンピングプレート」という装置をつけ、奥歯が噛み合わない状態を作ります。噛み合う歯を求めて伸びるという歯の性質を利用して奥歯を伸ばし、前歯の噛み合わせを浅くします。
◆ファンクショナルアプライアンス
下顎を前方に成長させるマウスピースを装着します。マウスピースは取り外しが可能です。
外科手術と矯正による治療
矯正のみでは十分な効果が期待できないこともあります。その場合には、外科手術により顎の骨を動かします。手術にあたっては、術前と術後の歯列矯正もセットで行います。術前矯正は、手術後の顎の状態を想定して事前に歯を動かしておくことで、術後すぐにかめるようにすることを目的としています。術後矯正では、動いた顎と口の中の状態をみながら、微調整をしていきます。
普段の生活で意識すること
1-6でご紹介したように、指しゃぶりや頬杖などの生活上の癖が原因で、噛み合わせが深くなっている、または深さの度合いが進行していることもあります。無意識の癖を直すことは難しいかもしれませんが、これ以上、症状を進行させないためにも、意識して癖をやめるようにしましょう。
まとめ
噛み合わせが深いことの原因や、それによる体への影響にはさまざまなものがあります。今、この瞬間に特段気になることがなくとも、加齢や口の中の環境の変化で、いずれ症状が表れてしまうこともあります。また放っておくことで、噛み合わせがより深くなる場合もあります。少しでも気になることがあったら歯医者さんを受診して、適切な治療を行いましょう。
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