当院の予防歯科では、歯ブラシを主体にしたケアを少し見直していただくようにしています。その理由は、「歯ブラシ」はフラットな歯の表面を磨くことには適していますが、デコボコした部分にはアプローチしにくく、歯垢を残してしまうからです。
ブラッシングの主役は、歯と歯の間、歯と歯茎の境目をきれいにするタフトブラシや歯間ブラシです。歯ブラシは最後の仕上げに使う程度でよいと考えます。歯ブラシ中心のクリーニングを続けて汚れが恒常的に溜まるようになれば、年を重ねるほどに歯のトラブルに見舞われるようになるでしょう。ブラッシングとは、歯ブラシで歯の表面だけを磨く「歯磨き」ではなく、タフトブラシや歯間ブラシ中心の「歯垢除去」だと考えていただけるとなによりです。
当院の予防歯科の根本に据えているのは、患者さんにこうした気づきを得ていただくことです。固定観念にとらわれない情報発信やアドバイスを通して、日々の自宅ケアから変えてほしいと願っています。
歯磨き粉には歯を守るためのさまざまな成分が含まれています。その成分の働きを生かすために、ブラッシング後、あまりゆすぎすぎないようアドバイスしています。例えば、フッ素です。フッ素の働きである歯質の再石灰化を促すためには、一定時間、濃度を下げずにお口の中にあるほうがよいと考えます。歯磨き粉を使った後は、少量の水で吐き出すだけにしましょう。
もちろん定期健診時には、歯科衛生士や歯科医師によるていねいなクリーニングでサポートしていきます。