当院では2000年頃から臨床応用を始めました。ルートフォームタイプ(歯根状)のインプラントが顎骨とオッセオインテグレーション(チタン性インプラントが顎骨と結合すること)することが発見されてから急速に臨床応用されるようになり、複数の製品が市場に出回り始めたからです。
以前にもインプラント治療は臨床応用されていましたがブレードタイプ(板状)のものが主流であり、それらはチタン製のインプラントではなかったために顎骨とオッセオインテグレーションをしませんでした。それでは予後が悪くロスト(失敗)することが多いことを知っていたため、当院では決して臨床応用しませんでした。
歯が失われた状態をそのまま放置することはけっして望ましいことではありません。隣り合う歯が空いた部分に向かって倒れ始め、噛み合っていた歯も突き出してきてしまうため、1本の歯が失われることで、お口全体の噛み合わせやバランスが乱れ始めます。したがって、歯が抜けた場合にはすみやかに治療を行わなければなりません。
欠損部の機能を改善させる治療としてはインプラント治療のほかにブリッジや入れ歯による治療が検討されます。
ブリッジは歯が抜けた箇所に隣り合う歯を大きく切削する必要があるほか、たかが1歯欠損の場合でも、3本の歯で受け止めるべき荷重を2本の歯で受け止める状態になるため、健康な歯の寿命も短くしてしまうリスクを想定する必要があります。
入れ歯は留め金によって固定されるため残っている健康な歯に負担をかけてしまう場合があります。また、時間の経過とともにお口の中の形態が変化するため、入れ歯が徐々にお口に合わなくなっていくケースも少なくありません。
残っている健康な歯を守るという観点やお口の中の環境を維持するためにも、インプラント治療は利点の多い治療方法です。
インプラント治療では、将来的なサポートやメンテナンスを考慮して治療に使用するインプラントを選択することが大切です。当院ではアストラテック社、GC社、プラトン社のインプラントを採用しており、症例に応じて使用するインプラントを使い分け、インプラント治療を行っております。治療後も十分なケアを受けやすくなっているので患者さまにも不安なく治療に臨んでいただけます。
当院では治療計画は基本的に補綴主導型(トップダウントリートメント)でありますが、条件の悪い場合には無理をせず外科主導型を選択することにしています。
補綴主導型とは顎骨の状態や条件に関係なく、あくまで正しい位置にインプラントを埋入する術式のことで、見た目や機能的も両立させています。ただし、欠点としてGBR等の骨造成術にかなり依存する症例が多いと言うことです。
外科主導型とは顎骨の状態や条件を考慮し、あくまでも初期固定の得られる位置(正しい位置とはずれる症例が多い)にインプラントを埋入する術式です。現実主義的治療法とも言えます。見た目にも機能的にも良い状態ではないのですが、GBR等の骨増生術にあまり依存しないため、造成骨の吸収量等の予後が想定内であることから不安のすくない症例も多いです。
検査データが患者さまのお口の中の状況のすべてを伝えてるわけではありません。手術を開始してからでなければわからない要素もあり、実際にインプラントを顎の骨に埋入した際の締まり具合などは、手術を行う歯科医師の手先の感覚でなければ捉えられないものです。
当院ではCTなどの診療機器を使用してていねいな手術を行いますが、それらに頼りすぎることなく歯科医師の手先の感覚を大切にするようにしております。インプラントの埋入手術でもっとも肝要なポイントは骨への初期固定を十分に得ることです。
※自由診療です。料金は料金表を確認してください。