ホワイトニングをしたら白い斑点ができた!その理由と対処法とは

    歯のホワイトニングをした後に白い斑点が現れて、「前はなかったのに」と不思議に思ったことはありませんか?それは「ホワイトスポット」という症状かもしれません。

    この記事では、ホワイトニング後に白い斑点が出てきた方のために、ホワイトスポットの詳しい説明や、なぜ白い斑点が目立つようになったのか、治療法などを紹介します。痛みは感じないものの、見た目が気になることがありますよね。ぜひこの記事を読んで納得したうえで歯医者さんに相談してください。

    この記事の目次

    1.白い斑点は何?ホワイトニングで目立つ理由

    白い斑点(ホワイトスポット)とは

    時折、生えてきたばかりの歯の表面がまだら状に白く濁っていることがあります。これは「ホワイトスポット」または「白斑症」と呼ばれ、歯のエナメル質の成長が部分的に阻害されることで起こります。「エナメル質形成不全」や「エナメル質石灰化不全」とも言われます。

    基本的にエナメル質は一度作られると再生されません。乳歯の歯並びの時期に、顎の中で育っている永久歯のエナメル質が作られている途中で、乳歯の大きな虫歯などの異常があると、「エナメル質形成不全」となり、永久歯に影響が出ることがあります。

    ■軽度の場合
    歯の形には影響はありませんが、表面に白い部分とそうでない部分が点在しています。中には茶色や黄色っぽい縞模様が入ることもあります。

    ■重度の場合
    歯の色だけでなく形状が変化することがあります。例えば、歯の凹凸やくぼみが目立ち、歯面が滑らかでなく尖っている部分やミゾ、欠けがあります。歯自体が小さく隣の歯との隙間が大きい、いわゆる「すきっ歯」になることもあります。重度の場合、エナメル質の内側にある象牙質が透けて見えるため、全体的に黄色っぽく見えます。

    また、エナメル質の形成不全が起こっているということは、エナメル質が弱いことを意味します。そのため、エナメル質形成不全の歯は普通よりも虫歯になりやすい特徴があります。特に歯の形が変形していたり複雑になっていたりすると、汚れや着色が付きやすくなります。

     

    ホワイトニングで白い斑点がでる理由

    ホワイトニングによって既に生えている永久歯が「白斑症」になることはありません。ただし、歯の部分によって組織のムラがあり、ホワイトニングの効果が出やすい部分と出にくい部分があります。効果が出やすい部分では、一時的に歯のミネラルが溶け出し、歯の表面がすりガラスのようになり、透明感が失われて白く見えることがあります。

    また、元々歯面にホワイトスポットがある人がホワイトニングを行うと、白斑がより目立つことがあります。しかし、施術が終了して2~3日も経てば、歯は唾液中のミネラルを吸収して再石灰化が進み、徐々に色が落ち着いて目立たなくなることがほとんどです。

     

    市販のホワイトニングは要注意

    歯医者さんで行うオフィスホワイトニングや、処方された薬剤を使うホームホワイトニングは、医師や歯科衛生士の診断を受けるため安心です。しかし、市販品やネットで購入したものを使う場合は注意が必要です。自己処理で白斑が悪化することもあるので、気を付けましょう。

    特に、海外から取り寄せたホワイトニング薬剤には高濃度の過酸化水素が含まれていることがあり、歯や歯茎にダメージを与える可能性があります。市販のホームホワイトニング用マウスピースの中には、自分で簡単に作成するものもありますが、歯にぴったり合わないと薬剤がはみ出し、歯茎の知覚過敏を引き起こすことがあります。

    2.ホワイトスポットの要因

    栄養が不足している

    乳児期や幼児期に栄養不足だったり、お母さんが栄養失調だった場合、赤ちゃんの歯のエナメル質がきちんと形成されないことがあります。歯を形成するには特にカルシウムやビタミン(D・C・A)が重要です。偏った食事をしていてこれらの栄養素を摂取できていない場合、エナメル質形成不全が起こり、歯の表面にホワイトスポットができることがあります。エナメル質形成不全を防ぐためには、以下のような食品を摂ることが大切です。

    ~カルシウムを含む食品~
    ・煮干し
    ・ひじき
    ・チーズ

    ~ビタミンDを含む食品~
    ・きくらげ
    ・あん肝
    ・しらす

    ~ビタミンCを含む食品~
    ・赤ピーマン
    ・アセロラジュース
    ・せん茶

    ~ビタミンAを含む食品~
    ・レバー
    ・あん肝
    ・うなぎ

     

    外傷

    乳歯の時期に外傷を受けると、その後に生えてくる永久歯がエナメル質形成不全になることがあります。特に乳歯の場合、「そのうち抜けるから」と放置しがちですが、一度歯医者さんで診てもらうことが大切です。また、永久歯でも外傷によって歯にヒビが入ると、歯の結晶の構造が変化し、ホワイトスポットとして現れることがあります。

     

    初期の虫歯

    お口の中が酸性になると、歯のエナメル質に含まれるカルシウムが溶けてしまい、白く濁って見えることがあります。これは初期の虫歯の状態です。放置すると虫歯が進行してしまうので注意が必要です。

     

    遺伝

    お父さんやお母さんに歯の形成障害がある場合は、遺伝によってホワイトスポットが引き継がれることがあります。

     

    高い濃度のフッ素

    歯の形成期間(おなかにいる時から13歳くらいまで)に高濃度のフッ素を摂取すると、ホワイトスポットができることがあります。これを「歯のフッ素症」といいます。地方によっては水道水に高濃度のフッ素が含まれていることがあります。例えば温泉地の水道水や、海外で生活していた場合の飲み水、歯みがき粉に含まれていることがあり、知らないうちに摂取していることもあります。

    3.ホワイトスポットの治療・対策法

    虫歯の治療・歯のクリーニング

    初期の虫歯が原因の場合、治療を行うことで改善されます。また、クリーニングやフッ素塗布を受けることで虫歯の進行を抑えることができます。虫歯予防として、食事をした後すぐにブラッシングすることも重要です。ブラッシングをすることで口内が酸性ではなくなり、虫歯菌が増殖しにくくなるというメリットがあります。

     

    ホワイトニング

    ホワイトスポットの範囲が小さい場合や一部分のみ白くなっている場合、ホワイトニングで歯全体を白くして目立たなくすることができます。ある程度の白さまで達すると、ホワイトスポットと元の歯の色が近くなり、目立たなくなります。ただし、元の歯の色やホワイトスポットの大きさによっては、かえって目立つこともあるため、歯医者さんに相談することをおすすめします。

     

    コンポジットレジン充填

    白くなっているホワイトスポット部分を削り、虫歯治療に使われるプラスチック素材のコンポジットレジンを詰める治療法です。元の歯の色に近いレジンを選んで詰めることで、きれいな歯にすることができます。ただし、レジンはプラスチック素材のため、長年経つと変色することがあります。そのため、後からアフターケアを受けることが重要です。

    虫歯が原因でホワイトスポットができている場合は保険適用になりますが、そうでない場合は自由診療となるので、念頭に置いておきましょう。

     

    MIペースト

    軽度のホワイトスポットの場合、MIペースト(カルシウムやリンなどのミネラルが配合されたペースト)を歯面に塗ることで改善することがあります。ただし、即効性はなく、毎日数か月にわたって塗布することが重要です。また、牛乳由来成分が含まれているため、牛乳アレルギーのある人は使用できません。MIペーストは酸性に傾いた口内を中和する働きもあり、虫歯予防にもなります。

     

    エナメルマイクロアブレーション

    ホワイトスポットが浅い層にある場合や白斑が小さい場合、エナメルマイクロアブレーションという治療法で改善することがあります。この治療法では、エナメル質を溶かす薬剤を使い、ホワイトスポット部分を溶解して表面をきれいに磨き、目立たなくします。

    ただし、白斑がエナメル質の深層まで達している場合、薄くすることはできても完全に消すことはできません。また、専用の薬剤が必要なため、一般の歯科ではあまり行われておらず、美容診療の一部のクリニックでのみ提供されています。エナメルマイクロアブレーションを希望する場合は、事前にどの医院で行っているか確認が必要です。

     

    歯のマニキュア

    数日から数週間など、一時的に白斑を目立たなくしたい場合は、歯のマニキュアで改善できます。これは爪のマニキュアと同様に、歯面に白い薬剤をコーティングして歯の変色を目立たなくする治療です。歯のマニキュアは短時間で白くでき、1日で治療が完了する手軽さがメリットです。

    ただし、効果は数日から2週間程度で、表面が剥がれてきます。中には半年から1年ほど長持ちする特殊なものもありますが、費用が高くなります。結婚式など一時的なイベントのために白くしたい方にはおすすめです。

     

    ラミネートベニア

    歯の表面を薄く削り、セラミックで作られた人工歯を貼り付ける治療です。歯面を削る必要があるため、健康な歯の方にはおすすめできませんが、この施術によりホワイトスポットが目立たなくなります。

    4.どうしてもダメなら最後の手段!

    ティーシーズ

    上記の治療でダメな場合は、ティーシーズという治療でキレイな白い歯にすることができます。ティーシーズは元の歯を削らずに、人工歯を歯面に貼り付けることで色を改善する治療です。最短2回ほどで治療が完了します。

     

    ダイレクトボンディング

    美容診療用のプラスチック素材を歯に盛り付けることで歯面の変色を白くキレイに見せる治療です。変色だけでなく、すきっ歯なども埋めることができるメリットがあります。歯を削らずに(もしくは削る量を少なくし)白く均一な歯面にできます。

    5.まとめ

    ホワイトスポットは、長年悩んでいる方も多いです。ホワイトニングをすると白い斑点が目立つこともあれば、逆に歯全体が白くなることで目立たなくなることもあります。

    治療法はたくさんありますが、自己流で歯を削ったり、市販のホワイトニング剤を使ったりすることはおすすめできません。歯や歯茎を傷めるだけでなく、色の差が目立ってホワイトスポットがひどくなることもあります。自己流で改善しようと思っていた方は、考え直してみてください。

    また、治療法の中でもラミネートベニアは健康な歯を削る必要があるため、どうしても改善しないときの選択肢として考えると良いでしょう。

    ホワイトスポットの治療は、どの歯医者さんでも行っているわけではなく、エナメルマイクロアブレーションのような特殊な治療もあります。事前にホームページで確認してから来院することをおすすめします。

    監修医

    矢島 昇悟先生

    青山通り歯科 院長

    経歴

    2007年 第100回歯科医師国家試験合格
    2007年 日本歯科大学 生命歯学部卒業
    2008年 埼玉県羽生市 医療法人社団正匡会 木村歯科医院
    歯科医師としてのホスピタリティの基礎を学ぶ。
    2010年 埼玉県新座市 おぐら歯科医院
    地域に密着した医院で地域医療に携わり、
    小児から高齢者歯科まで治療を行う。
    2011年 東京都文京区 後楽園デンタルオフィス
    施設の訪問診療などにも携わる。
    2015年 東京都港区 青山通り歯科 院長
    現在に至る

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