唇が割れてしまっている口唇裂ってどんな疾患?かかる影響や治療方法について解説

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口唇裂

「口唇裂」をご存じでしょうか?生まれつきくちびるが割れている状態のことで、赤ちゃんであれば授乳などに問題が生じます。500人に1人の割合で発生しているといわれており、原因の多くは不明とされています。

この記事では、口唇裂の症状や原因、治療方法や費用などについて解説していますので、チェックしてみてください。

この記事の目次

1.口唇裂・顎裂・口蓋裂とは

1-1.上唇が切れている口唇裂(こうしんれつ)

くちびるの形成異常の代表例として、口唇裂があります。口唇裂とは、くちびるの皮膚や筋肉に裂け目が生じている状態を指します。

くちびるのほとんどが裂けている完全口唇裂と、一部が裂けている不完全唇裂があり、さらに裂け目ができている部位によって左側不完全唇裂、左側完全顎口蓋裂といったカテゴリに分けられています。

比較的症状の軽いケースでは見た目の変化も少なく、日常生活での支障もおさえられる一方で、完全口唇裂や口蓋裂のように重度の場合は変化の度合も大きく、暮らしへの影響も広範囲に及んでしまいます。

1-2.歯茎が割れている顎裂(がくれつ)

顎裂とは、歯茎に裂け目ができている症状のことで、口唇裂や高額裂に伴って起こっているケースが多いです。歯茎は歯を支えるための大切な部位であるため、顎裂が生じてしまうと歯並びに悪影響を及ぼすことや、歯の数が減ることがあり、咀嚼(そしゃく)機能が大きく損なわれてしまう恐れがあります。

1-3.口蓋が割れている口蓋裂(こうがいれつ)

口腔と鼻腔を仕切る境目を口蓋といい、その部分が裂けている状態を口蓋裂といいます。口蓋裂には、完全口蓋裂(全体にわたって裂けている状態)、軟口蓋裂(軟口蓋と呼ばれる後方のみが裂けている状態)、粘膜下口蓋裂(粘膜には裂傷がなく筋肉だけが割れた状態)など、いくつかのパターンに分かれています。

口蓋裂では本来ならばふたつの空間として仕切られるべき口腔内と鼻腔内がつながってしまうため、授乳への影響や細菌が入り込むリスクも高くなります。

口唇裂

2.口唇裂による影響と原因

2-1.口唇裂による主な影響

程度にもよりますが、生まれてきた赤ちゃんのくちびるが変形していると驚いてしまう親御さんも少なくありません。子供自身も成長するにつれ、容姿にコンプレックスを感じてしまう恐れがあります。さらに、食事への影響、言語障害、歯並びの悪化、顎や顔面の発育障害など、さまざまな面で生活へ支障が出ることも考えられます。

特に授乳や食事への影響は、栄養がとりづらくなってしまい成長に支障をきたすため、早い段階で病院に相談する必要があります。

2-2.口唇裂の原因

口唇裂は先天性の疾患であり、出生の段階から診断がつけられます。決定的な要因は今のところ特定されていませんが、「出産前の母胎の状態」と「遺伝的要因」のふたつが有力ではないかと見られています。
妊娠中の心理的ストレスや喫煙、薬の服用などもリスク因子として挙げられています。

口唇裂

3.口唇裂の治療方法と費用

3-1.口唇裂の治療方法

口唇裂は自然治癒が望めませんが、口唇形成手術という外科手術による治療方法があります。治療期間は重症度によって左右されますが、手術後の後遺症などが見られなければ1~2週間程度で退院できるケースが多いです。

手術後は、歯科口腔外科や形成外科、耳鼻咽喉科などで定期的な検診を行いながら成長に合わせて、必要な処置を行っていくようになります。

3-2.口唇裂の手術にかかる費用

手術の費用には、一般的な健康保険のほか、乳幼児医療費、育成医療、高額医療費制度などが適用されます。このうち、育成医療は対象となる本人が満18歳をむかえるまで医療費の助成が受けられる制度です。

治療に際してどのような助成制度が利用できるのか、病院や自治体のウェブサイトなどを通じてリサーチしましょう。

4.まとめ

口唇裂とはくちびるに裂傷が生じてしまう先天性の疾患で、重症度や位置によって分類があります。そのほか、よく似た症状や併発する場合があるものに口蓋裂や顎裂があり、いずれも食事や呼吸に支障が生じる疾患として知られています。

乳幼児の段階で治療を行うことが多く、口唇形成手術が主な選択肢となります。要因ははっきりとは特定されていませんが、治療による改善が期待できます。治療費については医療保険の対象となり、乳幼児医療費、育成医療、高額医療費制度などが利用できますので、より詳しい適用条件については病院に確認しましょう。

 

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監修医

貝塚 浩二先生

コージ歯科 院長

経歴

1980年 岐阜歯科大学 卒業
1980年~ (医)友歯会ユー歯科~ 箱根、横浜、青山、身延の診療所 勤務
1985年 コージ歯科 開業
1996年~2002年 日本大学松戸歯学部生化学教室 研究生
歯学博士号 取得
2014年 昭和大学 客員講師
現在に至る

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