【差し歯の費用と種類】保険適用から自費診療まで徹底比較!

    差し歯とは、虫歯などの治療で削った歯に被せるものです。クラウンとも呼ばれ、保険適用のものと保険適用外のものがあります。それぞれにメリット・デメリットがあり、費用も異なります。各種類の差し歯の違いを理解し、自分に最適な治療方法を見つけましょう。

    ※ 掲載する平均費用はあくまでユーザー様のご参考のために提示したものであり、施術内容、症状等により、施術費用は変動することが考えられます。必ず各院の治療方針をお確かめの上、ご自身の症例にあった歯医者さんをお選びください。

    この記事の目次

    1.保険適用と保険適用外による違い

    差し歯の治療には、保険適用のものと保険適用外のものがあります。費用が大きく異なることはよく知られていますが、詳しい違いを知らない方も多いのではないでしょうか。ここでは、費用以外の面も含めて、保険適用と適用外の差し歯の違いについてまとめました。

     

    治療にかかる費用

    保険適用の場合
    治療にかかる費用の自己負担が2~3割で済みます(負担の割合は年齢や所得によって異なります)。また同じ治療方法であれば、歯医者さんを変えても、ほぼ同じ程度の費用が請求されます。

    保険適用外の場合
    自己負担率は100%で、治療にかかる費用はすべて負担しなくてはなりません。同じ治療を行っても、歯医者さんによって料金が大きく異なります。

    また、保険適用の治療の場合は、差し歯1本あたり1万円前後のものが多いのに対して、保険適用外の場合は、安くても数万円程度、オールセラミックのような美しい仕上がりを求める場合は、1本10万円以上するものもあります。

     

    差し歯の仕上がり

    保険適用の場合
    保険適用の差し歯に使えるのは、レジンと呼ばれるプラスチックだけです。奥歯の場合は銀歯になります。レジンは時間が経つと変色などの劣化を起こしやすい特徴があります。

    保険適用外の場合
    保険適用外の差し歯の場合は、陶器(セラミック)やジルコニアなども使うことができます。これらの材料は審美性が高く変色もしません。前歯だけでなく奥歯にも、歯の色に近い白い材質のものを使うことができるので、口を開けたときの印象が全く異なってくるでしょう。

     

    取れたり外れたりしたときの保証

    保険適用の場合
    料金のなかに「補綴物維持管理料」というものが含まれています。これによって、差し歯治療をしたところが取れたり外れたりしてしまっても、2年間の保証期間内であれば無料で対応してもらうことができます。

    保険適用外の場合
    保険適用外で治療した差し歯が取れたり外れたりした場合は、その対応は歯医者さんによって大きく異なります。無償で対応してくれるところもあれば、再作成の場合はもう一度、同じ費用を請求される歯医者さんもあります。

    2.保険適用の差し歯治療

    ここでは、保険で受けることができる差し歯治療について、その治療方法ごとにメリット、デメリット、およその費用についてご紹介します。

     

    硬質レジンジャケット冠

    硬質レジンジャケットとは、レジンという歯科用のプラスチックで作られた差し歯です。あまり強度がないので噛み合わせに負荷がかからない歯に使われます。

    メリット
    ・白い色の差し歯を入れることができる
    ・保険適用なので、安くできる

    デメリット
    ・時間が経つと変色する
    ・色は白いがセラミックのような透明感は望めないので、審美性は高くない
    ・割れたり減ったりしやすいため、強く噛み合わせるところには使えない
    ・汚れが付きやすい

    費用目安
    3,000~5,000円程度/本

     

    硬質レジン前装冠

    外側から見える部分のみ硬質レジンが貼り付けられており、中は金銀パラジウム合金などの金属からできている差し歯です。前歯の差し歯でよく使われます。

    メリット
    ・中が金属なので強度があり、ほとんどの歯に使える
    ・白い色の差し歯を作ることができる
    ・保険適用なので、安くできる(ただし前歯~犬歯のみ)

    デメリット
    ・裏側に金属が見える
    ・長年使っていると変色する
    ・色は白いがセラミックのような透明感は望めないので、審美性は高くない
    ・小臼歯以降の歯は保険適応外となる
    ・金属がさびたり溶けだしたりすることがあり、それによって歯ぐきが変色したり金属アレルギーを起こす場合がある

    費用目安
    5,000~8,000円程度/本

     

    銀歯

    差し歯全体が金銀パラジウム合金などの金属でできているクラウンです。前から4番目にある第一小臼歯より後ろにある歯を差し歯にする場合は、たいていこの方法が取られます。

    メリット
    ・保険適用なので安くできる
    ・金属なので強く噛み合わせができる

    デメリット
    ・見た目が銀色で、審美的には良くない
    ・金属がさびたり溶けだしたりすることがあり、それによって歯ぐきが変色したり金属アレルギーを起こす場合がある

    費用目安
    3,000~5,000円程度/本

    3.保険適用外(自費)の差し歯治療

    ここでは、保険適用外の差し歯治療について、その治療方法ごとにメリット、デメリット、およその費用についてご紹介します。

     

    オールセラミック

    差し歯全体がセラミック(陶器)でできています。透明感があり、自然な白さが特徴ですが、割れやすいという難点があります。

    メリット
    ・審美性の高い、自然な白さの差し歯ができる
    ・ほとんど変色しない
    ・金属を使用していないので、金属アレルギーの心配がない

    デメリット
    ・割れやすいので、強く噛み合わせる歯には使用できない
    ・歯ぐきが下がると、セラミックとの境目が黒く見えることがある
    ・歯科技工士の腕によって出来上がりの質が左右されがち

    費用目安
    8~15万円程度/本

     

    ハイブリッドセラミック

    歯科用プラスチックであるレジンに、セラミックの微細な粒子を混ぜ、レジンの特性を向上させた差し歯です。

    メリット
    ・保険治療で作られるレジンのみの差し歯より、強度や見た目に優れている
    ・保険適用外の差し歯の中では、比較的費用が低く抑えられる
    ・金属アレルギーの心配がない

    デメリット
    ・陶器ではないため、変色するおそれがある
    ・歯科技工士の腕によって出来上がりの質が左右されがち

    費用目安
    4~12万円程度/本

     

    メタルボンド

    外側から見える部分のみセラミック(陶器)で作られており、中は金属でできている差し歯です。前歯の差し歯でよく使われます。

    メリット
    ・歯が本来持つ自然な白さに近い
    ・中が金属なため強度があり、強く噛み合わせるところにも使える
    ・中に使われる金属は貴金属なので、金属アレルギーのリスクを抑えられる

    デメリット
    ・オールセラミックよりは、審美性に劣る
    ・裏から金属が見える
    ・歯ぐきが下がると、歯ぐきの境が黒ずんでみえることがある
    ・天然の歯よりも強度が高いため、嚙み合う歯を傷めることがある
    ・歯科技工士の腕によって出来上がりの質が左右されがち

    費用目安
    8~15万円程度/本

     

    ジルコニアセラミッククラウン

    メタルボンドの内側の金属に代え、白色ジルコニアを使ったものです。強度、審美性の両面でも優れ、金属アレルギーの心配もありません。

    メリット
    ・審美性、強度、両面で優れた品質を持ち、強く噛み合わせるところでも使える
    ・変色がほとんどない
    ・金属アレルギーの心配がほとんどない
    ・汚れがつきにくい
    ・いったん仮止めをして、色味を確認することができる

    デメリット
    ・オールセラミックよりは、色味が劣る
    ・差し歯をかぶせる歯を、比較的大きく削る必要がある
    ・天然の歯より硬いので、噛み合わせる歯を傷める場合がある
    ・歯ぐきが下がると、歯ぐきの境が黒ずんでみえることがある
    ・歯科技工士の腕によって出来上がりの質が左右されがち

    費用目安
    10~20万程度/本

     

    ゴールドクラウン

    金合金や白金加金などの貴金属を使った差し歯で、主に奥歯に使われます。錆などの心配はありませんが、金色なので審美性は劣ります。

    メリット
    ・古くからの技法なので、実績が十分ある
    ・強い噛み合わせにも耐えられる強度がある
    ・保険の銀歯よりも長もちする

    デメリット
    ・金色なので、審美性が劣る
    ・ごくまれに金属アレルギーの原因になることがある

    費用目安
    4~12万円程度/本

    4.納得のいく治療法を選ぼう

    メリットとデメリットのバランスを考える

    これまで述べてきたように、保険適用の差し歯と保険適用外の差し歯とを比べると、保険適用の差し歯は種類が少なく、全般的に審美性に劣るものが多いことがわかります。具体的には、自然な白さに仕上がるものがない、周囲の歯と色が合わせにくい、汚れやすい、プラスチックがはがれやすく差し歯の隙間から虫歯になりやすい、などのデメリットが挙げられます。

    費用面では安いというメリットのある保険適用の差し歯。費用が抑えられるという点と、デメリットとのバランスをよく考えて判断しましょう。

     

    前歯には自費の差し歯がおすすめ

    歯は口を開けたときの顔の印象を大きく左右します。特に前歯は目につくので、差し歯にするときには審美性に優れたものを選びたいものです。差し歯はいったん作ると簡単に入れ替えのできるものではないからこそ、少し費用がかかっても審美性や強度に納得のいくものを選ぶことをおすすめします。

    5.まとめ

    差し歯治療を考えている人が最も気にしているのは、その費用の高さかもしれません。ただし「差し歯は費用がかかる」とひとくくりに考えるのも良くありません。費用が高い差し歯には、審美面や強度で大きなメリットがあるものがそろっています。長く使う差し歯だからこそ、費用が高い・安いだけにとらわれることなく、納得のいく治療法を選びましょう。

    監修医

    飯田 尚良先生

    飯田歯科医院 院長

    経歴

    1968年 東京歯科大学 卒業
    1968年 飯田歯科医院 開院
    1971年 University of Southern California School of Dentistry(歯内療法学) 留学
    1973年 University of Southern California School of Dentistry(補綴学・歯周病学) 留学
    1983年~2009年 東京歯科大学 講師
    現在に至る

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