歯が虫歯になったり、欠けてしまうと見た目が気になりますよね。早く治療したいけれど、「不自然な仕上がりになるのではないか」と不安に思う方や、「費用が高いから」と悩む方もいらっしゃるでしょう。そんな方に最適なのが「ダイレクトボンディング」と呼ばれる治療方法です。
ダイレクトボンディングは、自然な色に仕上がるため、治療後に他の人から気づかれにくく、費用も比較的安価なので、気軽に綺麗な歯を手に入れることができます。ここでは、そのメリットや具体的な費用、そしてデメリットについてご紹介します。
※ 掲載する平均費用はあくまで参考のために提示したものであり、施術内容や症状によって費用は変動することがあります。必ず各院の治療方針を確認し、ご自身の症例に合った歯医者さんを選びましょう。
この記事の目次
1.ダイレクトボンディングとは
ダイレクトボンディングは、天然歯のような色や透明感を持つプラスチック素材を歯の表面に貼り付ける治療法です。金属のように目立たず、白い歯を演出できるため、自然な笑顔を作りやすく、審美的にも大きなメリットがあります。自由診療となるため保険診療より高額ですが、最適なプラスチック素材を選び、保険診療の被せ物よりも見栄えの良い仕上がりが期待できます。
2.ダイレクトボンディングのメリットとデメリット
メリット
歯を削らなくていい
ダイレクトボンディングは、直接歯に接着する治療法です。まれに歯の表面をわずかに削ることもありますが、歯への負担は非常に少ないのがメリットです。歯は削るほどダメージが蓄積し、寿命が短くなります。長寿国の日本では8020運動が提唱されていますが、老後に1本でも多くの歯を残すためには、なるべく削らないことが重要です。
金属を使用しない
金属素材を使用していないため、アレルギーがある方でも安心して治療を受けられるのが大きな利点です。また、金属の腐食による虫歯や歯の変色、破折の心配もありません。ダイレクトボンディングの素材であるプラスチックも完全に変色しないわけではありませんが、金属に比べて変色しにくい特徴があります。
短時間で施術可能
ダイレクトボンディングの治療は、平均して1日、30分から1時間半程度で完了するため、治療期間が短いことがメリットです。急いで治療したい方や、忙しくて何度も通院できない方におすすめの方法です。ただし、すきっ歯や歯の形を治したい場合には型取りが必要で、2回の通院が必要です。また、歯科医院によっては後日、研磨や色の微調整を行う場合もあるため、通院回数が気になる場合は事前に問い合わせておくことをおすすめします。
治療費が低価格
オールセラミックの費用は80,000~150,000円、インプラントは約30,000円ですが、ダイレクトボンディングは700~50,000円と、他の美容診療に比べて圧倒的に安価です。ただし、半永久的に現在の状態を保てるわけではないため、定期的なメンテナンスが必要です。メンテナンスの相場は1回約5,000円で(医院によって異なります)、期間は生活習慣などによって異なりますが、3年から10年に一度程度と考えておきましょう。
デメリット
変色の可能性もある
人工ダイヤモンドを使用したセラミックではほとんど見られませんが、ダイレクトボンディングはプラスチックを使用しているため、経年劣化で艶がなくなったり変色することがあります。しかし、気になる場合は歯科医院でリペア(研磨などのメンテナンス)を受けることで改善できるため、心配はいりません。
ダイレクトボンディングの耐久性
歯よりも柔らかい素材を使用しているため、強い力が加わると欠けることがあります。歯ぎしりや食いしばりの癖がある方は注意が必要です。
隙間がうまく埋まらないことも
特に前歯の治療は、施術医の技術によって仕上がりが不自然になる可能性があります。工作や精密な作業が得意な人とそうでない人がいるように、歯科医にも得意不得意があります。特に前歯のすきっ歯を埋めるためにダイレクトボンディングを検討する場合は、評判の良い歯科医院を選ぶことが重要です。
3.ダイレクトボンディングの費用について
ダイレクトボンディングは保険適用外
ダイレクトボンディングは保険が適用されません。虫歯がある場合はレジン充填として保険適用となりますが、その際は色や素材の指定ができません。より自然で美しい仕上がりを希望する場合や、虫歯がなく審美を目的とした治療の場合は、保険適用外となります。保険適用の素材よりも丈夫で、色も細かく指定できるため、一人ひとりの希望に沿った仕上がりが期待できます。
ダイレクトボンディングの費用は高額?
虫歯や歯が欠けた、変色、劣化などの理由で保険が適用される場合、1本あたりの費用は約700~2,000円です。一方、保険適用外の場合は医院によって費用が異なるため、「高価」というイメージがあるかもしれません。しかし、実際には前歯1本あたりの相場は10,000~50,000円ほどで、セラミッククラウンやインプラントのように高額ではありません。
ダイレクトボンディングとオールセラミックの比較
ダイレクトボンディングとよく比較される治療法に「オールセラミック」があります。オールセラミックとダイレクトボンディングの違いは何でしょうか?
オールセラミックは、歯の約60%を削り、セラミッククラウンをかぶせる治療法です。ダイレクトボンディングのように前に貼り付けるだけでなく、360度どの方向から見ても自然な仕上がりで、劣化にも強い特徴があります。しかし、セラミッククラウンの治療費用は1本あたり80,000~150,000円が相場であり、比較的高額です。そのため、気軽に受けられる治療とは言えないかもしれません。
4.ダイレクトボンディング施術後の注意点
歯のメンテナンスは今まで以上に
プラスチックでカバーされていても、虫歯にならないわけではありません。これまで通り、毎日の歯磨きやデンタルフロスを使ってしっかりとケアを続けましょう。
歯ぎしりが多い方は注意!
ダイレクトボンディングはプラスチック製のため、強い力が加わると欠ける可能性があります。歯ぎしりや食いしばりの癖がある方は、奥歯への施術が難しい場合もあります。これらの癖がある場合、歯への負担だけでなく、かみ合わせや肩こりにも影響するため、マウスピースの製作を相談することをおすすめします。
また、かみ合わせの関係で一部に力がかかり欠けることもありますが、天然歯が欠けるよりも被害が少ないと前向きに捉えることができます。
5.まとめ
ダイレクトボンディングは、歯を美しく修復するための手軽で費用対効果の高い治療法です。歯が欠けてしまったり、すきっ歯が気になる方にとって、心強い味方となります。満足度の高い仕上がりを求めるなら、まずは信頼できる歯科医院を探すことから始めましょう。

監修医
小川 隆介先生
後楽園デンタルオフィス 院長
経歴
2005年 日本歯科大学 卒業
2005~2006年 東京医科歯科大学摂食機能構築学 医員
2007~2011年 東京都内歯科医院 副院長
2011年 後楽園デンタルオフィス 院長就任
現在に至る
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