長すぎ注意!?歯磨きの時間は毎回どれくらいが適当なの?

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電動歯ブラシは2分で止まってしまいますが、歯磨きって何分くらいが目安なのかご存じですか?「きちんと歯を磨きなさい」とはいわれますが、具体的に「〇〇分磨きなさい」と指導されることはあまりないですよね。

「時間より、きれいに磨けたかどうかが大切」という歯医者さんもいらっしゃいますが、長すぎると弊害もでるため、一応の目安を知っておくことも大切です。ここでは、歯磨きの目安の時間、長く磨きすぎるとどうなってしまうのかについてお伝えします。

この記事の目次

1.歯磨きに必要な時間の目安は最低3分間

1-1 朝3分、夜3分、仕上げ磨き3分

歯磨きは、「1日3回」や「1日1回」など様々な説がありますが、歯科医は「1日2回」を推奨しています。それも朝・昼や、昼・夜の組み合わせではなく、朝・晩の2回です。

朝の歯磨きは、就寝中に溜まってしまったプラークを磨き落とし、口臭を予防します。夜は、就寝中にプラークが増えやすいので、食べかすをきれいに掃除し、細菌の繁殖を防ぐための歯磨きです。

時間については、最低3分間は磨きましょう。上下永久歯が生えそろっていれば、28本の歯がありますが、1本につき10~20回小刻みに動かしていると3分間を下回ることはありません。

子供の場合、夜は仕上げ磨きをプラスしましょう。小学校に上がるとやめてしまう方も多いですが、6歳臼歯が生えてきて、上手に磨くのが難しい時期なので、仕上げ磨きは必須です。

1-2 3分間の歯磨きの後はデンタルフロスでケア

歯と歯の間はブラシが入りにくく、歯ブラシだけでは十分にケアできず、虫歯になってしまうことも多いですよね。歯ブラシだけでなく、デンタルフロスも使用することで、より口内環境を守ることができます。

歯ブラシだけで磨いた場合と歯ブラシにデンタルフロスをプラスした場合を比較すると、なんと20%もプラークの除去率が高いのです。歯ブラシが入らない部分はデンタルフロスを前後に動かし、汚れをかきだします。

子供がデンタルフロスを使う場合には、持ち手ありのタイプのものが使いやすいので、おすすめです。

1-3 時間の長さよりもキレイになっているかが鍵

10分間歯磨きをしたとても、プラークが除去できていなければ、十分な歯磨きとはいえませんよね。どれだけ時間をかけたかよりも、どれだけ磨けているかのほうが重要です。

歯磨きの目的は口の中をきれいにすることであり、極端にいえば口の中のプラークがすべて除去できるなら、1分間でも十分なのです。

2.歯磨きの理想の時間帯は食後30分以内?

2-1 食後すぐの歯磨きはNG?

食べてすぐに歯を磨くと、エナメル質が削れやすいという説を聞いたことはありますか?
これは、食べ物に含まれる糖をエサにして、プラークに住む細菌が口内環境を酸性に傾け、脱灰(だっかい)が起こり歯が弱くなる時間と関係があります。

脱灰とは、エナメル質からリン酸カルシウムの結晶が、溶け出す現象です。簡単にいえば歯が溶けているということですね。口の中がアルカリ性に戻ると再石灰化が始まり、再び硬いエナメル質に戻ります。

エナメル質がいつもより弱っている時に歯磨きをすると、歯を傷つけやすいため、「食後30分ほどしてアルカリ性に戻ってから磨いたほうがいいのではないか?」という意見があり、「食後30分は歯磨きNG」といわれるようになりました。

2-2 食後すぐをすすめる歯医者さんも

食後すぐは、脱灰が起きているため、歯を磨くのは避けたほうがいいという意見や根拠を紹介しました。しかし、多くの歯科医はこれとは異なる見解で、食後30分以内の歯磨きを推奨しています。

歯磨きをすることで、プラーク自体や、酸を出す原因となる食べかすを排除するほうが、歯を守る効果が高く先延ばしにする必要はないということです。

3.歯磨きの時間が長過ぎると弊害も!

3-1 エナメル質が削れる

歯磨きの最低時間は3分ですが、長く磨けば磨くほど効果があるのでしょうか?実は、長く磨きすぎると、歯を傷つけてしまう危険があり、おすすめできません。

歯磨きしすぎると、歯のエナメル質は削れや傷がついてしまいます。触ると硬いため、「歯磨きくらいで…」と思うかもしれませんが、磨きすぎも知覚過敏の一因となります。これは決して特別な例ではありません。

このことは、子供の歯磨きでも注意しなければなりません。力加減が分からず、ゴシゴシ磨いていませんか?子供の力であっても長時間磨くと影響がでます。親御さんが「虫歯にしないために」と、仕上げ磨きを頑張りすぎて、エナメル質に傷を付けてしまうこともあります。

歯磨きの目的は、プラークを落とすことです。うがいでは落ちづらいですが、100~150gくらいのブラシ圧で1本の歯を10~20回磨く程度で落とすことができ、長時間歯磨きする必要はありません。

3-2 歯茎が傷むことも

エナメル質に傷がついてしまう恐れもある長時間の歯磨きですが、歯茎が下がる歯肉の退縮、フェスツーンというタコができるなど歯茎にも影響を及ぼします。

歯や歯茎は思っている以上にデリケートで、歯ブラシでも簡単に傷付けることができるため、適切な力や時間を守って歯磨きをしましょう。

4.わからないことはプロに聞く

しっかり磨こう、丁寧に磨こうといわれても、具体的にどうしたらいいのか分からないことも多いですね。力加減やどの程度できれいになっているのかなど、分からないことを曖昧にしておくと虫歯や歯周病の原因になる場合もあります。

歯磨きについての疑問があるなら、歯医者さんで歯磨き指導を受けることをおすすめします。もちろん、子供の歯の磨き方を子供自身に教えてくれる歯科医院もあるので、親子で受診してみるのもおすすめです。

歯磨き指導だけでも予約できますが、おすすめは定期検診と一緒に受けることです。3ヶ月から半年に一度、ホームケアでは取りきれない汚れを落とし、歯磨きの疑問を解決することでさらに歯磨き上手になるでしょう。

歯の生えていない赤ちゃんも、定期的に歯医者さんに連れて行って、お口のチェックをしてもらうことで、お口のトラブル知らずに成長します。

5.まとめ

歯磨きは1日2回がベストですが、時間や回数よりも、しっかりとプラークを落とすことが大切です。磨き方のコツが分からない場合は、歯医者さんで歯磨き指導を受けてみることをおすすめします。

 

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監修医

飯田 尚良先生

飯田歯科医院 院長

経歴

1968年 東京歯科大学 卒業
1968年 飯田歯科医院 開院
1971年 University of Southern California School of Dentistry(歯内療法学) 留学
1973年 University of Southern California School of Dentistry(補綴学・歯周病学) 留学
1983年~2009年 東京歯科大学 講師
現在に至る

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